報道発表資料
本答申は、「今後の有害大気汚染物質対策の健康リスク評価のあり方」の改定について及びマンガン及びその化合物に係る指針値に関するものです。
1.経緯
平成7年9月20日に環境大臣が中央環境審議会会長に対して諮問した「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(諮問)」により、有害大気汚染物質対策のあり方について審議が重ねられております。
第十次答申については、平成23年10月から、大気環境部会健康リスク総合専門委員会において審議がなされ、意見募集(パブリックコメント)を経て、平成26年4月18日開催の大気・騒音振動部会で第十次報告が取りまとめられました。
これを受けて、大気・騒音振動部会長から中央環境審議会会長への報告がなされ、4月30日付けで中央環境審議会会長から環境大臣に対し答申がなされました。
(1)「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方」の改定について
平成8年の大気汚染防止法の改正により、有害大気汚染物質対策の制度化がなされ、同年10月18日付け中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第二次答申)」において、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」が選定され、そのうち、当該物質の有害性の程度や我が国の大気環境の状況等に鑑み、健康リスクがある程度高いと考えられる物質については「優先取組物質」として列挙されました。
このうち、優先取組物質については、平成15年7月31日付け中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第七次答申)」(以下「第七次答申」という。)において、「環境目標値の一つとして、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下「指針値」という。)を設定すること」とされており、同答申において、今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価を行う上での基礎となる考え方が明示され、指針値に係る諸事項等について定められました。平成18年11月8日付け中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)」(以下「第八次答申」という。)においては、指針値算出の具体的な手順の一部が改定されました。
環境目標値が設定されていない優先取組物質等について指針値を設定するために、有害性に係る評価値(以下、「評価値」という。)を算出する際に、人に関する疫学知見がない、あるいは、定量評価に用いることのできる人のデータが得られないことが予想されます。このような場合は、動物実験の知見を用いてリスクを評価し、評価値を算出することが必要となりますが、動物実験に基づく評価に関しては、これまで人への外装手法や不確実係数の設定について、具体的な手順が示されていませんでした。
このため、今般の答申では、「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」及び別紙「指針値算出の具体的手順」について全面改定を行ったものです。
(2)マンガン及びその化合物に係る指針値について
有害大気汚染物質のうち、優先取組物質については、これまで、第七次答申に基づきアクリロニトリル等の4物質、第八次答申に基づきクロロホルム等の3物質、平成22年10月15日付け中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次答申)」に基づきヒ素及びその化合物について指針値を設定しています。また、第七次答申において、「指針値が示されなかった物質についても、今後、迅速な指針値の設定を目指し、検討を行っていくことが適当である」とされています。
こうした状況の中、今般の答申に基づきマンガン及びその化合物について、指針値を設定することとしました。
2.答申の内容
(1)「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方」の改定について、別添1の健康リスク総合専門委員会報告を了承する。
(2)マンガン及びその化合物に係る指針値の提案について、別添2の健康リスク総合専門委員会報告を了承する。
これに基づき、マンガン及びその化合物について、別表の通り指針値を設定することとする。
別表 環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)
マンガン及び無機マンガン化合物 |
年平均値 0.14 μg Mn/m3 以下 |
(注)指針値との比較評価に当たっては、総粉じん中のマンガン(全マンガン)の大気中濃度測定値をもって代用して差し支えない。
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局総務課
担当:横山、稲井
電 話:03-3581-3351(内線6516、6603)
03-5521-8290(直通)
FAX:03-3581-7173
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