報道発表資料

平成12年7月14日 この記事を印刷

平成11年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書について

環境庁は、平成11年度のオゾン層の破壊の状況、CFC(クロロフルオロカーボン:いわゆるフロンの一種)等の大気中濃度の状況等の監視結果を取りまとめた。主な内容は、以下のとおりである。
[1] 1999年の南極域上空におけるオゾンホールの規模は、過去最大であった1998年より若干小さいものの規模の大きい状態で推移し、12月下旬まで観測され、過去最も遅い消滅であった。
[2] オゾン全量の長期的傾向については、低緯度を除いた地域で減少傾向にあり、高緯度ほどその傾向が強い。我が国上空でも、札幌で統計的に有意な減少傾向が確認されている。
[3] 北半球中緯度では、CFCの大気中濃度は最近は減少に転じており、1,1,1-トリクロロエタンは既に減少傾向を示している。一方、CFCの代替物質として用いられているHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)及びHFC(ハイドロフルオロカーボン)並びにハロンについては、増加の傾向にある。
[4] 我が国においては、1991年の観測開始以来、紫外光(UV−B)の地上照射量の明らかな増加傾向は見られていない。しかし、晴天時等の同一条件下では、オゾン全量が減少すれば、紫外光の地上照射量が増加する関係にあることが確認されているので、1970年代に比べてオゾン全量が減少している地域においては、UV−B量は増加しているものと考えられる。

1.背景

 環境庁では、今般、「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾン層保護法)第22条第2項の規定に基づき、「平成11年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」を取りまとめた。取りまとめに当たっては、「成層圏オゾン層保護に関する検討会科学分科会及び環境影響分科会(「参考」参照)」の意見を踏まえた。

2.平成11年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書の主な内容

(1)オゾン層の状況
 1999年の南極域上空のオゾンホールの規模は、9月から10月中旬にかけて規模の大きい状態で推移した(図1)。オゾンホールは12月下旬まで観測されており、過去最も遅い消滅であった。
日本上空のオゾン全量は、札幌では平年並か平年より少なく、つくば、鹿児島、那覇では年の前半に平年より少なく、年の後半に平年より多かった。北半球高緯度域では、オゾン全量が平年より少なかった。
 オゾン全量の長期的傾向については、低緯度を除いた領域では減少傾向が卓越しており、高緯度ほどその傾向が強く、減少は春先に顕著である。日本上空でも、那覇を除く国内3地点で減少傾向を示し、特に札幌で統計的に有意な減少傾向が確認されている(図2)。
 モントリオール議定書のアセスメントパネル(1998年WMO/UNEP科学アセスメントパネル報告書)によると、1997年の改正モントリオール議定書によるスケジュールに基づく規制をすべての締約国が遵守した場合、[1]成層圏中の塩素及び臭素濃度の合計(オゾン層破壊物質が分解してできるこれら元素がオゾン層を破壊する)は、2000年前にピークに達する、[2]オゾン層破壊のピークは、2020年までに訪れる、[3]成層圏中のオゾン層破壊物質濃度は2050年までに1980年以前のレベルに戻る、[4]オゾン層破壊にとって重要なその他の気体(一酸化二窒素、メタン、水蒸気等)の将来の増加又は減少及び気候変動がオゾン層の回復に影響を及ぼす、と予測されている。
 
(2)CFC等の大気中濃度
 特定物質の大気中濃度については、北海道の、北半球中緯度の平均的な状況を代表するとみなせる観測点においては、CFC-11、12、113の濃度は最近は減少に転じているほか、大気中寿命の短い1,1,1-トリクロロエタンについては、すでに減少傾向を示している(図3)。また、都市域の状況の一つとして川崎市で測定したCFC-11、12、113、1,1,1-トリクロロエタン及び四塩化炭素の大気中の濃度については、次第に北海道におけるこれらの物質の大気中濃度のレベル(近隣にCFC等の排出源の少ない地域における値)に近づきつつある。
 一方、ハロン1211及び1301については、今なお、増加の傾向が続いている。また、CFCの代替物質として用いられているHCFC-22(図4)、141b、142b並びにHFC-134aの北海道における大気中濃度については増加の傾向にある。
 
(3)太陽紫外光の状況
 我が国においては、国内4ヶ所におけるUV−B量の観測値には、1991年の観測開始以来、累年平均値に対して著しく大きい変化は見られない(図5)。またオゾン全量の変化に敏感な波長300nmの紫外光についても、明らかな増加の傾向は見られていない。しかしながら、UV−B量の観測値はオゾン全量のほか、天候(雲量)や大気混濁度等の影響を受けることに留意する必要がある。
 なお、1999年の国内4ヶ所における晴れた日のオゾン全量とUV−B量の観測結果に基づく気象庁の解析によると、気象条件等が同じであれば、オゾン全量の減少に伴いUV−Bの地上照射量が増加することが確認されている。したがって、1970年代に比べて、オゾン全量が明らかに減少している地域においては、UV−B量は増加しているものと考えられる。
 
(参考) 成層圏オゾン層の破壊に伴い、UV-Bの地上への照射量が増大した場合には、皮膚がんや白内障の増加、さらに免疫抑制などの人の健康への影響のほか、陸上、水界生態系への影響や大気汚染の増加が懸念される。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課広域大気管理室
室    長 :笠井  俊彦(内6511)
 室長補佐 :中屋敷勝也(内6560)
 担    当 :袖野  玲子(内6564)

ページ先頭へ