報道発表資料

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2013年11月08日
  • 自然環境

東日本大震災が沿岸地域の自然環境に及ぼした影響に関する調査結果の発信について(お知らせ)

 環境省では、東日本大震災が沿岸地域の自然環境に及ぼした影響を調査しており、これまでの調査結果では、海岸林の大規模な消失や干潟の大規模な攪乱、新たな湿地の出現等を確認しています。この調査結果の概要について、11月13日から仙台で開催される第1回アジア国立公園会議において、口頭発表や英語版パンフレット等を通じて海外へ発信するとともに、震災に関する自然環境の情報を効果的に発信するため、新たにウェブサイトを作成します。

1.東日本大震災による自然環境の変化の概要

植生の変化

 青森県から千葉県までの津波浸水範囲(面積約576km2)において、震災前後の植生の状況を比較し、改変状況を表す地図(植生改変図)を作成しました。
 その結果、全域では、津波の被害があった場所に雑草が繁茂している状況(「荒地化」:全体の約30%)が最も多く、次に造成地やがれき置き場など(「人為的改変」:全体の約10%)が多かったことがわかりました。

砂浜の変化

 青森県から千葉県までの太平洋沿岸の砂浜・泥浜(約680km)において、1970年代、震災前(2000年代)、震災後の空中写真・衛星画像を使用して、3 時 期の変化状況を比較しました。
 その結果、震災前後では、砂丘植生や海岸林が合計で約1,300ha 減少し、多くは造成地等の人為的改変や荒地など(「その他」に含まれる)に変わりました。

100年前との土地利用の比較

 約100年前の1903(明治36)年から1917(大正6)年に作成された地図(旧版地図)から「河川」、「湖沼」、「湿地」などを判読し、震災前後の画像と比較しました。
 その結果、約100年前は水域で震災前は水田として利用されていた場所が、津波により再び湿地になったなど、かつての土地の状況を反映した結果を確認しました。

生態系のモニタリング

 青森県から千葉県までの太平洋沿岸地域において、干潟の底生生物、海鳥の繁殖地、アマモ場、藻場についてモニタリングを行いました。
 その結果、干潟では、地域や地理的な位置により様々な影響が確認されました。海鳥繁殖地では、地震の発生は海鳥類が繁殖のために飛来する前だったため、海鳥類に直接的な影響はありませんでした。アマモ場は、津波の力が集中しやすい湾奥部に位置するものが多かったため、底質ごと消失するなど、津波による大きな攪乱が見られました。藻場では、外洋に面した湾口部に位置することが多かったこと、また、一年生のものが多かったことから、大きな影響は見られませんでした。

2. 成果の発表予定

第1回アジア国立公園会議(11月13日~17日:仙台市)における発表

 以下のプログラムにおいて、英語による発表を行います。

・口頭発表:
11月15日(金)
会場 仙台国際センター (添付資料1)
・ポスター発表:
11月14日(木)、15日(金)
会場 仙台国際センター (添付資料2)
詳しくは「3.参考」の第1回アジア国立公園会議ウェブサイト参照

パンフレットの作成

 第1回アジア国立公園会議において海外からの参加者に配布するために、パンフレットを作成しました(添付資料3)。

ウェブサイトでの情報発信

 特に青森県から千葉県までの太平洋沿岸域における自然環境の情報を収集・整理・提供するためのウェブサイト「しおかぜ自然環境ログ」(http://www.shiokaze.biodic.go.jp)を作成し、11月15日に公開する予定です。

3.参考

東北地方太平洋沿岸地域自然環境情報

 http://www.biodic.go.jp/Tohoku_Portal/

第1回アジア国立公園会議

 http://asia-parks.org/j/index.html

添付資料

連絡先
環境省自然環境局生物多様性センター
直通      :0555-72-6033
センター長   :中山 隆治
総括企画官   :鑪 雅哉
生態系監視科長 :佐藤 直人
保全科長    :木村 元

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