報道発表資料

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2013年03月29日
  • 保健対策

平成24年度東日本大震災の被災地における化学物質環境実態追跡調査結果の公表について(お知らせ)

 環境省では、平成23年度に引き続き、青森県、岩手県、宮城県及び福島県の被災地沿岸域における残留性有機汚染物質(POPs)及び被災地での取扱量が多い有害化学物質等のモニタリング調査を実施しました(調査実施日:平成24年9月10日~28日(大気)、平成24年11月2日~26日(水質・底質)、平成24年10月16日~平成25年1月16日(生物))。
 この度、今年度調査の分析結果がまとまりましたので、以下のとおり公表します。
 なお、環境省では、来年度も継続して調査を実施していく予定です。

1.調査概要

 環境基準等が設定されていないものの、有害性等が懸念される残留性有機汚染物質(POPs)及び化学物質排出把握管理促進法に基づき排出量等の届出が必要とされる物質(PRTR届出対象物質)等(以下、「POPs等」という。)の被災地における残留状況を把握するため、環境省が従来より実施している化学物質環境実態調査の測定地点等を中心に、被災や津波による影響、PRTR制度に基づく届出情報、前年度に実施した化学物質環境実態追跡調査(以下、「追跡調査」という。)の結果等を踏まえ、調査地点を選定し、今年度の追跡調査を実施しました。

2.結果概要

(1)大気環境試料の調査結果について

[1]今年度の追跡調査と既往調査結果との比較

 POPsの6物質について、12地点(地図別添1参照)での調査を実施し、環境省が別途全国規模で実施している化学物質環境実態調査の震災前直近3年(平成20~22※1年度)の結果(以下、「既往調査結果」という。)と比較したところ、ヘキサクロロベンゼンについて1地点で、既往調査結果の濃度範囲を超えていたものの、その他の物質※2については、全地点で既往調査結果の濃度範囲内でした。(調査結果概要参照)
 なお、前年度の追跡調査で既往調査結果における濃度範囲を超えた物質及び地点(以下、「前年度濃度範囲を超えた物質と地点」という。)はありません。

※1
平成22年度の化学物質環境実態調査については、震災前に各種環境試料の採取を終えていることから、平成20~22年度における同調査を震災前直近3年の結果としました。
※2
大気中のHCH類の調査結果については、今年度に用いた大気試料採取装置の一部から部品由来のHCH類が検出され、測定に影響を及ぼしたことが判明したため、欠測扱いとすることとしました。

(2)水質環境試料の調査結果について

[1]今年度の追跡調査と既往調査結果との比較

 POPs等の20物質について、20地点(地図別添2参照)での調査を実施し、既往調査結果と比較したところ、トリブチルスズ化合物について2地点で、ヘキサクロロベンゼンについて1地点で、既往調査結果の濃度範囲を超えていたものの、その他の物質で当該結果が得られている15物質については、全地点で既往調査結果の濃度範囲内でした。(調査結果概要参照)

[2]前年度濃度範囲を超えた物質と地点における今年度の追跡調査結果

 前年度に既往調査結果の濃度範囲を超えた4物質のうち、トリブチルスズ化合物(2地点)については、今年度の追跡調査でも既往調査結果の濃度範囲を超えた結果となりましたが、昨年度の濃度は超えていません。エンドリン(1地点)、ペンタクロロベンゼン(1地点)及びトリフェニルスズ化合物(1地点)については、既往調査結果の濃度範囲内でした。

(3)底質環境試料の調査結果について

[1]今年度の追跡調査と既往調査結果との比較

 POPs等の20物質について、20地点(地図別添2参照)での調査を実施し、既往調査結果と比較したところ、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン及びN,N -ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドについて各1地点で、既往調査結果の濃度範囲を超えていたものの、その他の物質で当該結果が得られている15物質※3については、全地点で既往調査結果の濃度範囲内でした。(調査結果概要参照)
 なお、前年度濃度範囲を超えた物質と地点はありません。

※3
16物質のうちp-オクチルフェノール類については、追跡調査では4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールとp-n-オクチルフェノールの調査を行いましたが、既往調査ではこのうち前者の物質のみ調査したため、当該調査物質のみと比較しました。

(4)生物環境試料の調査結果について

[1]今年度の追跡調査と既往調査結果との比較

 POPs等の20物質について、9地点(地図別添3参照)での調査を実施し、既往調査結果と比較したところ、トリフェニルスズ化合物について1地点※4で、既往調査結果の濃度範囲を超えていたものの、その他の物質で当該結果が得られている16物質については、全地点で既往調査結果の濃度範囲内でした。(調査結果概要参照)

[2]前年度濃度範囲を超えた物質と地点における今年度の追跡調査結果

 前年度に既往調査結果の濃度範囲を超えたアルドリン(1地点)及びトリフェニルスズ化合物(1地点※4)については、今年度調査では既往調査結果の濃度範囲内でした。

※4
前年度と今年度の追跡調査で既往調査結果の濃度範囲を超えたトリフェニルスズ化合物(各1地点)については、異なる地点でした。

(5)2年間の追跡調査において既往調査結果の濃度範囲を超えた物質及び地点について

 前年度の追跡調査で6物質7地点、今年度の追跡調査で7物質8地点において、既往調査結果の濃度範囲を超えるような調査結果が得られましたが、いずれも既往調査結果の濃度範囲の上限を大幅に超えるものではありませんでした。

3.今後の予定

 2年間にわたる追跡調査の結果を踏まえ、既往調査結果の濃度範囲を超えた調査結果が得られた物質等を中心に、当該地点の周辺で調査地点を追加する等の対象物質や調査地点の見直しを行った上で、平成25年度もモニタリング調査を実施する予定です。

4.その他

 各媒体における検体毎の調査対象物質濃度については、詳細別紙1~4を参照して下さい。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
代表  :03-3581-3351
直通  :03-5521-8261
課長  :上田 康治(内線 6350)
専門官:田畑 康幸(内線 6361)
担当  :森永 茂樹(内線 6355)

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