報道発表資料

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2013年02月25日
  • 自然環境

トキ野生復帰ロードマップの策定について(おしらせ)

 環境省は、トキの野生復帰の当面の目標としている「2015年頃に佐渡島に60羽のトキを定着させる」を着実に達成していくための工程表である「トキ野生復帰ロードマップ」を策定しましたのでお知らせします。
 同ロードマップでは、これまでに放鳥個体の観察等によって得られた知見を用いて、今後のトキの個体数等を予測しつつ、目標達成のために実施すべき事項や時期などについて今後の方向性をまとめています。

1.トキ野生復帰ロードマップの位置づけと検討経緯

 トキの野生復帰は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく「トキ保護増殖事業計画(平成16 年農林水産省、国土交通省、環境省告示第1 号)」に沿って進められており、事業の当面の目標としては、2003 年に環境省が策定した「環境再生ビジョン」に「2015 年頃に小佐渡東部に60 羽のトキを定着させる」を掲げています。
 トキが36年ぶりに野生下で孵化し、38年ぶりに巣立ちを迎えたことを受けて、野生復帰の進捗状況を毎年評価し、評価の結果を翌年の事業の実施方針に的確に反映し、環境再生ビジョンの目標年である2015 年に着実に目標を達成していくための工程表として、「トキ野生復帰ロードマップ」(別添資料)を作成しました。
 同ロードマップについては、トキ野生復帰分科会で検討を重ね、2月12日(火)に開催した同分科会(第4回)において、承認されました。

2.トキ野生復帰ロードマップの主な内容

(1)達成すべき目標

60羽定着の考え方として、「60羽以上の個体が野生下で1年以上生存している」と「野生下で繁殖した個体を含む個体群が形成されている」の両方を満たすことと整理しました。
現在の佐渡島内のトキの生息範囲が小佐渡東部地域に留まらず、広範囲に広がっていることから、「小佐渡東部」を「小佐渡東部を含む佐渡島」と取り扱うよう解釈を修正しました。

(2)放鳥個体数

毎年の放鳥個体数は、野外での巣立ち率(※)に応じて野生下で60羽以上の個体群を維持できる数を個体群シミュレーションモデルを用いて毎回算出した上で決定することとしました。
 ※巣立ち率=営巣に参加したメス当たりの巣立ち巣数

(3)個体群シミュレーションモデルによる放鳥数の試算

同モデルによれば現在の生存率の場合、巣立ち率が0.5以上であれば放鳥しなくても野生下の個体群は安定することが示されました。2012年の巣立ち率は0.19であるため、これを上げていくことができれば放鳥数を減らすことができます。

(4)目標となる飼育個体数

飼育個体群の遺伝的多様性を維持するため、毎年30 ペア程度で繁殖に取り組み、全体で220 羽程度の飼育個体数を確保することを目指すこととしました。この数字は毎年の放鳥個体数が仮に放鳥ケージの施設最大容量の36羽となっても2020年には達成が可能な数字となっています。

(5)目標達成への取組

巣立ち率の改善、生存率の維持及び社会環境整備の推進について、実施すべき事項や時期などについて今後の方向性をまとめています。
極めて重要な巣立ち率の改善については、産卵してもふ化に至らないペアの割合が依然として高いことが最大の課題であることから、計画的なモニタリング、卵殻の分析等により原因究明を行うこととしています。

3.取組の評価

 今回策定したロードマップでは巣立ち率、生存率、生息個体数、トキの採餌可能面積など把握可能な評価指標を設定したため、目標達成のための進捗状況を客観的に評価することが可能となりました。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
直通 : 03-5521-8283
代表 : 03-3581-3351
課長  : 中島 慶二 (内線6460)
補佐  : 山本 麻衣 (内線6475)
専門官 : 中屋 俊満 (内線6464)

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