報道発表資料

平成24年8月28日
自然環境
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第4次レッドリストの公表について(お知らせ)

 環境省では、平成20年度より、レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)の見直し作業を進めてきました。今般、9分類群について新たなレッドリスト(第4次レッドリスト)を取りまとめましたので公表します。
 絶滅のおそれのある種として第4次レッドリストに掲載された種数は、9分類群合計で3430種(これまでは3011種(第3次リスト:平成18〜19年公表))となりました。
 環境省としては、新たなレッドリストの周知に努めるとともに、必要な保護対策について今後検討する考えです。
 また、今後、レッドリスト掲載種について解説したレッドデータブックの改訂作業を進め、平成26年に公表する予定です。

1 環境省版レッドリストについて

 環境省版レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)とは、日本に生息又は生育する野生生物について、専門家で構成される検討会が、生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を科学的・客観的に評価し、その結果をリストにまとめたものです。
 レッドリストへの掲載は、捕獲規制等の直接的な法的効果を伴うものではありませんが、社会への警鐘として広く社会に情報を提供することにより、様々な場面で多様な活用が図られるものです。レッドリストはおおむね5年ごとに見直しており、分類群ごとに専門家による検討会を設けて評価しています。
 動物では、[1]哺乳類 [2]鳥類 [3]爬虫類 [4]両生類 [5]汽水・淡水魚類 [6]昆虫類 [7]貝類 [8]その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)の分類群ごとに、植物では、[9]植物I(維管束植物)及び [10]植物II(維管束植物以外:蘚苔類、藻類、地衣類、菌類)の分類群ごとに、計10分類群について作成しています。

 見直しの経緯や検討体制は、別添資料1に示すとおりです。
 レッドリストのカテゴリー(ランク)の詳細な定義については、基本的には第3次リストと同様で、別添資料2に示すとおりです。
 評価対象種の基本的条件は、分類群ごとに整理を行っており、詳細は別添資料3に示すとおりです。

 なお、掲載種について解説したレッドデータブック(現行のものは平成12〜18年に発行)はおおむね10年ごとに改訂しており、今後、新たなレッドデータブックの作成を進め、平成26年に公表する予定です。

○カテゴリー(ランク)の概要
絶滅 (EX) 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
野生絶滅 (EW) 飼育・栽培下でのみ存続している種
絶滅危惧I類 (CR+EN) 絶滅の危機に瀕している種
  絶滅危惧IA類(CR)  ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
  絶滅危惧IB類(EN)  IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
絶滅危惧II類 (VU) 絶滅の危険が増大している種
準絶滅危惧 (NT) 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
情報不足(DD) 評価するだけの情報が不足している種
絶滅のおそれのある
地域個体群 (LP)
地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの

2 今回の見直しで明らかになった点について

 対象となる種の生息・生育状況等を評価した結果、9分類群(汽水・淡水魚類を除く)の新たな第4次レッドリストをそれぞれ取りまとめました。9分類群の新レッドリストの掲載種の総数(亜種を含む)は、表1(別添資料4)のとおりです。各分類群の明らかになった点は別添資料5に、注目される種のカテゴリー(ランク)とその変更理由は別添資料6に示すとおりです。
 各分類群の新レッドリスト(分類群順)は別添資料7−[1]7−[9]のとおり、また、各分類群のレッドリスト掲載種の新旧のカテゴリー(ランク)の対照表(五十音順)は別添資料8−[1]8−[9]のとおりです。

平成24年8月28日掲載資料について、表記に誤りがありましたので、正誤表のとおり訂正いたします。なお、現在掲載しております資料はすべて訂正済の資料です。
ご迷惑おかけしましたことをお詫び申し上げます。

 全体として明らかになった点の概要は、以下のとおりです。
 なお、汽水・淡水魚類のレッドリストについては、今後まとまり次第公表する予定です。

「絶滅のおそれのある種(絶滅危惧I類(IA類(CR)、IB類(EN))及び絶滅危惧II類(VU)に選定された種)」の総数は、9分類群合計で、第3次リスト(平成18年〜19年公表)では3011種でしたが、新リストでは3430種となり、419種増加しました。貝類における評価対象の拡大といった事情はありますが、我が国の野生生物が置かれている状況は依然として厳しいことが明らかになりました。(参考:全10分類群合計では3155種→3574種(汽水・淡水魚類については第3次リスト種数))
全体において、新たな調査や研究によって生息・生育状況に関する情報量が増加するなど、知見の蓄積が進んだことにより新たに選定された種や、ランクが変更された種が多くみられました。
絶滅のおそれのある種数の増加が特に多くみられた分類群として、
  • 昆虫類(第3次リスト:239種→新リスト:358種)では、主にガ類や甲虫類等の評価が進んだことにより、91種を新たに絶滅のおそれのある種に選定しました(リスト全体では336種を新たに掲載)。なお、昆虫類については今回から、絶滅危惧I類をさらにIA類(CR)とIB類(EN)に区分して評価を行いました。
  • 貝類(第3次リスト:377種→新リスト:563種)では、主に、これまで陸域および淡水域から汽水域までとしていた評価対象種の範囲を、今回内湾の干潟等に生息する種まで拡大したことにより、177種を新たに絶滅のおそれのある種に選定しました(リスト全体では398種を新たに掲載)。
今回、新たに絶滅(EX)と判断された種が、哺乳類で3種、鳥類で1種、昆虫類で1種、貝類で1種、植物I(維管束植物)で2種ありました。一方で、これまで絶滅したと思われていた種が再発見される等により、絶滅(EX)ではなくなった種が、貝類で4種、植物I(維管束植物)で3種(うち2種は栽培下で見つかったため野生絶滅(EW)に変更)、植物II(維管束植物以外)で4種ありました。

3 注目される種のカテゴリー(ランク)とその変更理由(別添資料6より抜粋)

哺乳類

ニホンカワウソ(北海道亜種)
絶滅危惧IA類(CR) → 絶滅(EX)
ニホンカワウソ(本州以南亜種)
絶滅危惧IA類(CR) → 絶滅(EX)

 ニホンカワウソ(北海道亜種)とニホンカワウソ(本州以南亜種)は、最後の生息記録が前者では1955年、後者では1979年であり、いずれも30年以上が経過している。安藤(2008)は、過去の調査記録や目撃情報等を整理し、北海道亜種は1950年代、本州以南亜種は1990年代に絶滅したと考察した。ニホンカワウソのような中型の哺乳類が、人目に付かないまま長期間生息し続けていることは考えにくく、これまでの生息確認調査等の結果から絶滅したものと判断した。

九州地方のツキノワグマ
絶滅のおそれのある地域個体群(LP) → 削除

 前回のリストで絶滅のおそれのある地域個体群(LP)に掲載していた「九州地方のツキノワグマ」は、最後の確実な捕獲記録が1957年であり、既に50年以上が経過している。また、1987年に大分県で捕獲された個体は、九州以外の他地域から持ち込まれた個体であることが判明している。これらを総合的に判断し、九州地方のツキノワグマはすでに絶滅していると考えられるため、今回のリストから削除した。

鳥類

ダイトウノスリ
絶滅危惧IA類(CR)  → 絶滅(EX)

 1970年代初めの観察記録以降の確認が無く、大阪市立大学が2001年から2011年にかけて実施したダイトウコノハズクとダイトウメジロの調査による長期滞在期間中にも本亜種と推定される個体は確認されていない。北大東島、南大東島のどちらも限られた森林しかない植生環境で、猛禽類が存在した場合には発見が容易であるにもかかわらず確認記録が無いことから、本亜種は絶滅したものと判断した。

トキ
野生絶滅(EW) → 野生絶滅(EW) (変更なし)

環境省
環境省

 2008年より佐渡島での野生復帰を実施し、2012年の春に初めて野生下での繁殖に成功した。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストカテゴリーによれば、「上位のカテゴリーに相当する基準が5年以上にわたって満たされない場合(すなわち下位のカテゴリーの基準を5年以上維持されることとなった場合)には、下位のカテゴリーへと移してよい。」と明記されており、5年以上の状況の継続が必要である。この基準を参考とし、現時点では、絶滅危惧IA類(CR)の定量的要件D(成熟個体数が1〜50未満であると推定される個体群である場合)を5年満たしていないことから、前回と同じ野生絶滅(EW)とした。
 なおIUCNによると、野生復帰個体を成熟個体としてカウントする条件は、「再導入した個体は生存できる子孫(viable offspring)を生産してはじめて成熟個体として数える。」と明記されており、「生存できる子孫」は分類群によっても考え方が異なると考えられるが、モンゴル等で実施されているモウコノウマの再導入の事例では、野外で生まれた個体が繁殖年齢(5歳)に達して初めて、成熟個体としてカウントされている。

昆虫類

ゲンゴロウ
準絶滅危惧(NT)  → 絶滅危惧II類(VU)

提供:北野 忠(東海大学教養学部)
提供:北野 忠
(東海大学教養学部)

戦後までは北海道から九州にかけてごく普通に見られたが、高度経済成長期以降、急激に減少した。現在でも減少に歯止めがかかっていない状況で、多くの生息地が消滅しつつある。生息地に適した環境の減少、外来生物による捕食が大きな原因になっているほか、飼育目的の乱獲も減少の一因となっている。現在、東北地方では比較的多くの生息地があるものの、関東以西の個体群は生息地の消失や個体群の分断化により危機的状況にあることから、本見直しでは絶滅危惧II類(VU)にランクを上げた。

貝類

ハマグリ
新規 絶滅危惧II類(VU)

提供:木村 昭一
提供:木村 昭一
(三重大学大学院生物資源学研究科)

 かつては青森県の陸奥湾から九州地方にかけての内湾、河口域に広く分布していたが、1980年代以降の干潟の干拓や埋め立て、海岸の護岸工事等により生息環境が悪化したため日本各地で急減した。仙台湾や東京湾にも大きな個体群があったが、現在はほとんど見られなくなっており、各地の漁獲量は1970年代の5〜20%まで落ち込んでいることから、今回新たに絶滅危惧II類(VU)に選定した。
 なお、食用に「ハマグリ」として国内で流通しているものの多くは、中国や韓国等から輸入される外来種の「シナハマグリ」や、国内にも自然分布する外洋性の「チョウセンハマグリ」である。

植物I

ウラジロコムラサキ
絶滅危惧IA類(CR) → 絶滅危惧IB類(EN)

提供:自然環境研究センター
提供:自然環境研究センター

 小笠原諸島にのみ生育する日本固有種。台風等の自然災害等による生育環境の変化、外来種のノヤギ、クマネズミ等による食害等により減少し、前回見直しでは絶滅危惧IA類(CR)に選定されていたが、小笠原諸島でのノヤギ駆除の取組によって野生個体群が回復したことから、本見直しでは絶滅危惧IB類(EN)にランクを下げた。

4 今後の対応

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保全は重要な施策であり、生物多様性条約COP10(平成22年10月)で採択された愛知目標においても、その1つに「2020年までに既知の絶滅危惧種の絶滅及び減少が防止され、また特に減少している種に対する保全状況の維持や改善が達成される」ことが位置づけられており、当該目標の着実な達成に向けて保全の取組を体系的・計画的に進める必要があります。
 環境省では、新たなレッドリストについて広く普及を図ることで、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保全への国民の理解を深めるとともに、関係省庁や地方公共団体等に配布することにより各種計画における配慮等を一層促す予定です。
 また、レッドリストの掲載種の中で特に保護の優先度が高い種については、生息状況等に関する詳細な調査の実施等により更なる情報収集を行い、その結果及び生息・生育地域の自然的・社会的状況に応じて「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種に指定する等、必要な保護措置を講じていく考えです。

 なお、今回選定された絶滅のおそれのある種の中には、人為による捕獲・採集圧(密猟・盗掘等を含む)が主な減少要因となっている種が少なくありませんが、レッドリストに掲載されることにより、かえって商業目的や鑑賞目的等による乱獲・盗掘等の対象になるおそれが増加することが懸念される種もあります。今回のレッドリストに掲載された、これらの絶滅のおそれのある種を将来にわたって存続させていくには、国民をはじめ多様な主体がその意味について真摯に捉えることが重要です。このため、環境省としてはこうした観点からの普及・広報や保護措置の充実等の各種対策を一層推進していく考えです。

5 レッドリストの入手方法

以下のいずれかの方法で入手可能です。

[1]
環境省自然環境局野生生物課で直接配布。
[2]
環境省ホームページよりダウンロード。
[3]
返送用封筒(A4版、切手390円分を貼り宛先を記入)を同封し、下記に送付。

〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
環境省自然環境局野生生物課 保護増殖係 宛

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
(直通 : 03-5521-8283)
課長    : 中島 慶二  (6460)
課長補佐 : 山本 麻衣  (6475)
専門官  : 加藤 麻理子(6469)
専門官  : 浪花 伸和  (6469)

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