報道発表資料

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2012年05月15日
  • 総合政策

環境産業市場規模推計、環境成長エンジン報告書等の公表について (お知らせ)

 環境省では、環境産業市場規模等について推計を行っているところですが、2010年版の推計についてとりまとめましたので公表いたします。環境産業の市場規模は世界的な金融・経済の混乱を受けて2009年に約67兆円と、2008年(約75兆円)より減少しましたが、2010年は再び増加に転じ、約69兆円となりました。雇用については、約185万人となり2009年(約180万人)から増加しています。
 また、今回初めて取りまとめた「環境成長エンジン報告書」においては、2000年以降の市場動向、環境ビジネスに取り組む20社の事例調査を実施し、これを踏まえて環境産業の成長要因や求められる政策について、環境産業市場の需要と供給の両面から整理しました。

1.趣旨

 環境省では、環境と経済がともに向上、発展する社会の構築へ向けた、政策立案の基礎とするため、また、広く環境産業に関わる主体への情報提供を通じて環境保全に資する経済活動を推進するための情報整備を行っています。
 今回公表する平成23年度事業では、環境産業分類を改定するとともに、2010年の環境産業市場規模の推計、付加価値額や輸出入額の試算及びアジア5ヵ国の環境産業の動向整理、需給両面に対するアンケート調査から見た分析等を行いました。また、国内環境産業の現状・展望をより総合的に整理するため、新たに「環境成長エンジン報告書」をとりまとめました。

2.公表資料と結果の概要

(1)環境産業市場規模関連

[1]環境産業分類の見直し
従来のOECDの定義に基づいた3大項目より、地球温暖化対策関連産業を確認しやすくする等、日本における環境産業や政策の現状を踏まえて、「環境汚染防止」、「地球温暖化対策」、「廃棄物処理・資源有効利用」、「自然環境保全」の4大項目からなる分類に改定しました。
[2]環境産業の市場規模、雇用規模の推計
[1]を踏まえて2010年の検討を行いました。環境産業はリーマンショックを受けて2009年に縮小しましたが、2010年は景気の持ち直し等を受けて再び増加に転じ、市場規模は約69兆円(前年比約4%増)、雇用規模は約185万人(前年比約3%増)となりました。
[3]推計対象外の環境製品・サービス
継続的な推計に適さない等により今回の推計には含まないが、重要と思われる項目(スマートグリット、インフラメンテナンス等)について市場規模の試算を含めて整理を行いました。
[4]環境産業の付加価値、輸出入の推計
市場規模推計に産業連関表の情報を加味し、環境産業の付加価値額は約32兆円(2010年の名目GDPの約6.7%)との試算結果を得ました。
[5]アジア5ヵ国の環境産業の動向
中国、インド、タイ、インドネシア、ベトナムについて、再生可能エネルギー、その他の環境産業の市場規模推計を行いました。また、推計にあたっては、再生可能エネルギー関連の各国整備計画、海外機関等の推計も参照しながら一定の条件で推計し情報を整理しました。

(2)環境成長エンジン報告書

 環境保全が経済成長を牽引する動きを分析するため、(a)環境産業市場規模の2000年までの遡及改定を行うとともに、(b)特徴的な環境産業分野の分析を行い、また、(c)環境ビジネスに取り組む20社の事例を調査し紹介しながら、環境産業の成長の要因の抽出と、望まれる政策について整理・分析を行いました。
 例えば、成長要因としては、環境産業の供給側における技術力、ビジネスモデル、製品・サービスの本来機能・コストの競争力、地域資源・人的資源、外部連携・人的ネットワークがその要因となっていること、また、需要側からみると、政策、各主体の意識・行動の変化、経済環境の変化、海外需要の高まりが背景となっていることが挙げられます。さらに、環境産業の成長に向けた政策についての検討を行い、供給側に対しては技術開発促進、補助・税制や金融、地域資源の活用、海外市場開拓、規制緩和といった支援策、また、需要側に対しては、規制や標準化、補助・税制、情報的支援、公共調達支援といった需要喚起策が有効であることを明らかにしています。

いずれも環境経済情報ポータルサイト上、「環境産業情報」において公表いたします。
https://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/B_industry/index.html

連絡先
環境省総合環境政策局環境計画課環境経済政策調査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-9265)
室長:永島 徹也 (内6227)
補佐:菊池 武晴 (内6265)
係長:君塚 厚志 (内6281)
担当:弘内 泰樹 (内6290)