報道発表資料
「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令」が本日公布・施行されることとなりましたので、お知らせいたします。
1.改正の経緯
- ◯
- 平成23年12月26日の原子力災害対策本部決定により、警戒区域・計画的避難区域(以下「警戒区域等」という。)の避難指示が見直されることとなったこと受けて、本年4月1日に一部地域で避難指示の見直しが始まる等、今般、避難指示見直しの動きが具体化しているところです。
- ◯
- 警戒区域等内の空間線量の低い区域において、警戒区域等の解除前から、市町村等へ必要な申請等を行った事業者が、製造業やサービス業等の事業活動を再開した場合、相当量の廃棄物(製造工場で生ずる原材料の切削くずや事業所で生ずる紙くず等)が生ずることが想定されます。
- ◯
- 再開された事業活動に伴い生ずる廃棄物を対策地域内廃棄物として国が処理する場合、汚染廃棄物対策地域内の事業者は廃棄物処理費が生じないのに対し、当該地域外の事業者は廃棄物処理費を負担する必要があることから、当該地域内外の事業者の間に、競争上の不公平が生ずることが考えられます。
- ◯
- このため、このような不公平が生ずることのないよう、対応が必要となっています。
2.改正の内容
(1)改正後施行規則第3条第1号関係
- ◯
- 放射性物質汚染対処特措法施行規則第3条の改正により、事業活動に伴い生じた廃棄物については、対策地域内廃棄物から除外し、当該廃棄物を排出した事業者が、事業系一般廃棄物又は産業廃棄物として、自ら処理を行うこととします。
- ◯
- ただし、国又は地方公共団体が施行する災害復旧事業(道路復旧事業等)については、特に迅速に進める必要があることから、当該災害復旧事業に伴い生じた廃棄物は、国が対策地域内廃棄物として処理を行います。
(補足1)
- ※
- 警戒区域等では、事業所付近が一定の空間線量以下であること等を条件として、市町村等が基準に適合していると認める場合に事業活動を再開することができるとされています。
- ※
- 今回の施行規則改正により事業者が自ら処理を行うこととなる廃棄物は、上記のような手続を経て十分に線量の低い事業場で行われる事業活動に伴い生ずるもの(製造工場で生ずる原材料の切削くずや事業所で生ずる紙くず等)が主に想定されます。
- ※
- 環境省が実施した安全評価では、8,000Bq/kg以下の廃棄物については、特別な処理方法をとることなく、住民・作業者のいずれにとっても安全に処理することができることが確認されています。今回の施行規則改正により事業者が自ら処理を行う廃棄物も、特別な処理方法をとることなく、住民・作業者のいずれにとっても安全に処理することができるものと考えられます。
- ※
- 仮に、事故由来放射性物質の放射能濃度が8,000Bq/kgを超える廃棄物がある場合には、指定廃棄物として国が処理を行います。
- ※
- なお、警戒区域等内の災害廃棄物(がれき)や、放射性物質汚染対処特措法に基づく除染に伴い生ずる廃棄物は、今回の施行規則改正の対象ではありません。これらの廃棄物は、今回の施行規則改正にかかわらず、国が処理を行う対策地域内廃棄物になります。
(2)改正後施行規則第3条第2号関係
- ◯
- 汚染廃棄物対策地域の中には、警戒区域・計画的避難区域のいずれにも該当しない区域があります。具体的には、楢葉町の一部の区域が該当します。
- ◯
- 警戒区域・計画的避難区域解除後に当該区域において生じた廃棄物は、対策地域内廃棄物に該当しないこととなっているため、警戒区域・計画的避難区域のいずれにも該当しない楢葉町の区域において生ずる廃棄物についても、楢葉町の警戒区域解除後は、対策地域内廃棄物に該当しないこととする必要があります。
- ◯
- これは、汚染廃棄物対策地域内において、警戒区域・計画的避難区域に該当する区域と、警戒区域・計画的避難区域に該当しない区域の扱いを同一にするための法令の技術的な改正になることから、今回の施行規則改正であわせて措置するものです。
3.施行日
- 平成24年4月13日(公布の日)
4.意見募集の結果
- (1)
- 意見募集対象
- 放射性物質汚染対処特措法施行規則改正案について
- (2)
- 意見募集の周知方法
- 電子政府の総合窓口、環境省ホームページ
- (3)
- 意見募集期間
- 平成24年4月3日(火)~4月9日(月)
- (4)
- 意見提出方法
- 電子メール、郵送またはファックス
- (5)
- 意見提出数
- 5273通
<主な意見>
・汚染された廃棄物を警戒区域等の外に持ち出して処理を行うことは反対である:2041件
・災害廃棄物(がれき)の広域処理に反対である(※):1540件
・汚染された廃棄物は、東京電力又は国が処分すべきである:1041件
等
(※)災害廃棄物は今回の施行規則改正の対象でないため、本意見募集の対象外の意見です。 - (6)
- 御意見に対する考え方
- いただいた御意見に対する考え方は、別添のとおりです。
添付資料
- 放射性物質汚染対処特措法施行規則の一部を改正する省令(条文) [PDF 56 KB]
- 放射性物質汚染対処特措法施行規則の一部を改正する省令(新旧対照条文) [PDF 66 KB]
- 別添:パブリックコメント結果概要 [PDF 100 KB]
- 連絡先
- 環境省廃棄物・リサイクル対策部
代表:03-3581-3351
課長:山本 昌宏
補佐:岡山 俊直
担当:黒瀬 絢子(内線6099)