報道発表資料

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2012年04月03日
  • 地球環境

OECD環境大臣会合の結果について(お知らせ)

 OECD環境政策委員会閣僚級会合(通称:環境大臣会合)が3月29日(木)から30日(金)にかけ、パリのOECD本部にて開催されました。
 OECD加盟国34か国の他、OECD加盟を目指しているロシアや、中国、インドネシア、ブラジルなどの新興経済国、その他国際機関等が出席し、6月の国連持続可能な開発会議(リオ+20)へOECDからインプットを予定しているグリーン成長戦略等について議論が行われ、その結果はポリシーステートメント(別添参照)という形で取りまとめられました。
 我が国からは寺田達志地球環境審議官他が出席し、我が国の取組をアピールしつつ、積極的に議論に参加・貢献しました。

1.日時 :

平成24年3月29日(木)~30日(金)

2.開催地 :

パリ(フランス)

3.テーマと議題

テーマ
グリーン成長の普及
議題
セッション1
環境分野の進展及びその未来
セッション2
環境政策と科学の連動
セッション3
環境アウトルック2050
~グリーン成長政策の緊急要請~
セッション4
リオ+20へのOECDの貢献
セッション5
マルチレベルガバナンスと都市の役割

4.参加者

  • OECD加盟国(34か国)の環境大臣等
  • OECD加盟を目指しているロシアや、中国、インドネシア、ブラジルなどの新興経済国の環境大臣等
  • その他、国際機関代表等
  • 我が国からは、寺田地球環境審議官が代表として参加

5.会合の概要

(1)開会式
 まず、議長のユ・ヨンスク環境大臣(韓国)から、UNEP設立から40年、リオ・サミットから20年である今年は、環境に関して重要な年であり、本会合も非常に重要な意義を持つという開会の挨拶がなされました。続いて、アンヘル・グリアOECD事務局長より、環境アウトルック2050の内容が紹介され、たとえ現在の経済的状況が芳しくなくとも、環境問題を後回しにしてはならず、デカップリングなど資源利用に対する変革が「今」必要であるとの強いメッセージが発せられました。
(2)セッション1「環境分野の進展及びその未来」
 副議長のレーナ・エーク環境大臣(スウェーデン)より、環境問題について、我々は現在までに大きな進捗を遂げてきたが、さらなる行動が必要であり、今後どのようにして環境政策を強化できるか、またどのようにして環境戦略を効率的に実施できるかを議論したいとの冒頭挨拶がなされました。これを受けて、議場からは、求められるグリーン成長政策とともに、政府の役割やステークホルダーとの連携強化、科学的知識の重要性が指摘されました。
 まず、グリーン成長政策については、グリーン成長戦略や環境アウトルックに掲げられているような規制、課金、市場メカニズム、補助金について言及する国が多く見られました。このような政策論議から異なる視点として、日本やEUからは、まず環境目標を設定した上で、これをグリーン成長において達成していくことが重要であるという意見が示されました。政府の役割については、長期的な政策枠組の提示やステークホルダーの活動支援、一般市民への情報発信などに言及する国が見られました。また、多くの国が、環境をすべての政策において主流化させることが重要であると指摘し、経済産業省や財務省との連携を強化していく必要を強調しました。この連携については、省庁間のみならず、他国や国際社会、ビジネス界や科学コミュニティ、地方自治体や市民社会など、幅広い協力が必要であるとも多くの国から述べられました。科学的知識に関しては、データの蓄積や知識プラットフォームの確立の必要性がEUや世界銀行から強調され、また、生態系サービスの経済的な価値についての理解促進の重要性がスペインやスロベニアなどから指摘されました。
(3)セッション2「環境政策と科学の連動」
 オーストラリア国立大学気候変動研究所所長のウィル・ステファン教授による、現在、地球システムにおける臨界点に関する科学的知識は蓄積されつつあるとの冒頭発表を受けて、本セッションでは、科学と政策の連携をどのように図るべきかについての議論がなされました。様々な意見が聞かれましたが、意思決定においては科学的知見が重要であると指摘する国が多く、そのために科学者などとの対話や国民への情報提供が求められるという意見が聞かれました。また、政策同様、科学的な知識についても細分化より包括的アプローチが求められると指摘する国も見られました。
(4)セッション3「環境アウトルック2050 ~グリーン成長政策の緊急要請~」
 副議長のギラド・エルダン(Gilad Erdan)環境保護大臣(イスラエル)より、冒頭挨拶として、長期的思考の必要性が指摘され、技術革新などの点で、各国の取組は世界のグリーン成長に貢献する余地があるとの発言がなされました。続いて、サイモン・アプトンOECD環境局長から、環境アウトルックについて、現状のままでは2050年に深刻な環境影響が生じるため、様々な政策を相乗効果をもたらすように導入していくことが求められるとの分析結果が示されました。これを受けて、エルダン副議長から、各国における野心的な目標、また、コベネフィットをもたらす政策が議題として提示されました。
 前者について、規制や汚染への課金など、多くの国が自国におけるそれぞれの取組を示した一方、アイルランドやスペイン、ノルウェーなどは国内外において政策が十分でないことを指摘しました。また、後者については、資源効率性改善と経済成長や土地管理・廃棄物処理と雇用創出、気候変動対策と生物多様性対策・大気汚染物質対策など、様々なコベネフィットの可能性が示されました。
(5)セッション4「リオ+20へのOECDの貢献」
 冒頭挨拶において、副議長のキャロライン・スペルマン環境・食糧・農村地域大臣(英国)は、OECDの環境アウトルックやグリーン成長戦略は、リオ+20に対して大きな貢献となると述べました。本セッションの議題として、共同副議長のトマーシュ・ハルパ環境大臣(チェコ)から、グリーン経済に懸念を示す開発途上国への対応、OECDの成果の普及、グリーン成長の測定に必要な指標が提示されました。
 まず、開発途上国の懸念として、グリーン成長による貿易障壁や競争力の格差拡大、環境基準の設定などが、コロンビアや世界銀行から挙げられました。このような懸念に対しEUは、リオ+20はグローバルなアジェンダであり、各国間の信頼構築が求められていると指摘し、そのためにはOECD諸国によるリーダーシップが必要であると強調しました。これに基づき、メキシコやビジネスと産業グループなどは、技術や経験の移転が信頼構築の鍵であるとの見解を示し、GGGIは現在そのような活動を推進していると述べました。このような開発途上国に対する便益を伝えることの重要性は、韓国やスウェーデンからも指摘されました。OECDの成果については、シナリオ分析、進捗評価、ケーススタディなどとともに、経済産業省や財務省など関係各省の巻き込みも有用であるとの意見が聞かれました。また、グリーン成長の測定に係る指標については、自然資本の価値や資源効率性などとともに、健康費用や将来的正義、国際的責任や社会的連帯などの社会的な要素も挙げられました。
(6)非公式パネルディスカッション「環境アウトルック2050及びリオ+20へ向けて」
 ここでは再度、グリアOECD事務総長より、環境アウトルックの結果と政策的提言が紹介され、ユ・ヨンスク議長から、今後さらに必要とされる取組として、社会的・経済的な目標へ貢献する環境政策の立案、経済産業省や財務省との連携、市場メカニズムや規制などのポリシーミックスの採用、そして国境を超えた課題のための信頼構築が挙げられました。EUからはまた、ポジティブなビジョンを示すロードマップの作成の必要性が、さらにデンマークからは、共通な目標に向かう政治的意思の重要性が指摘されました。イスラエルは、このような進捗を測定するための指標が必要であると強調し、ニュージーランドは、様々なデータに基づくグローバル・ガバナンスが急務の課題であると述べました。
(7)セッション5「マルチレベルガバナンスと都市の役割」
 まず、シュトゥットガルト市長のウォルフガング・シュスター氏から、都市間および都市と中央政府とのパートナーシップの重要性が指摘され、リオ+20における新たなアジェンダ21の作成や国家以外も参加できる世界フォーラム設立に対する期待が述べられました。続いて、デビッド・ミラー元トロント市長より、気候変動対策や雇用創出における都市の役割について、コペンハーゲンやトロントの例とともに紹介され、政府や民間企業による都市へのさらなる投資が求められることが強調されました。議論は、各国のそれぞれの取組に基づく意見表明と両者に対する質問という形式で進められ、建築や交通、水管理や海洋などの都市に関する課題ととともに、中央政府やビジネス界、大学などの都市管理における役割について議論がなされました。
(8)閉会
 EPOC議長より、本会合は全体としてOECDの活動に好意的であり、また、指標などに関する意見は非常に有用であるとの発言がなされました。そして最後に、ユ・ヨンスク議長より、本会合へ参加した各国・各人への感謝と、本会合のリオ+20に対する貢献への期待が述べられました。
(9)バイ会談
 会期中、寺田地球環境審議官は、ハイネン・エッサー独・環境自然保護原子力安全省副大臣、ヤネス・ポトチュニック欧州委員会委員、ユ・ヨンスク韓・環境部長官とバイ会談を行い、気候変動交渉、生物多様性の保全、リオ+20等様々な分野について意見交換を行いました。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局国際連携課
(代表  :03-3581-3351)
(直通  :03-5521-8243)
課長   :塚本直也(内:6760)
課長補佐:柴田泰邦(内:6722)
担当   :小島脩平(内:6724)

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