報道発表資料
アジア太平洋地域地球変動研究ネットワーク(APN)は、地球環境変化の人間的側面研究ワークショップを地球変動に関する分析・研究・トレーニングのためのシステム(START)南アジア委員会(SASCOM)等と共同で1月20~23日、インド・ニューデリーにおいて開催する。
環境庁は、APNの活動を主体的に支援し、アジア太平洋地域における地球環境研究の推進を積極的に図っている。当該地域においては、これまで、地球環境研究に関しては、自然科学的側面が中心であったが、人間活動に起因する地球規模の環境問題の解決のためには、人文社会科学的な視点からの研究(HDP関連研究:参考参照)が重要であるとの認識が高まっている。
APNは、HDP関連研究の一部である土地利用・土地被覆変化(LUCC)に関する東アジア地域ワークショップを昨年11月、京都において開催したところであるが、本ワークショップは、当該分野全体を対象としてアジア太平洋地域で初めて開催されるものであり、地球環境に関心を持つ各国(研究者、行政担当者)及び関連する国際機関の参加を得、地球環境問題の解決に資するHDP関連研究の現状を把握し、当該研究の重要性への認識を高めるとともに、同地域における今後の研究・活動方針を議論し、同地域における地球環境研究を推進する契機となるものである。
なお、結果については会議終了後お知らせ致します。
1.会議名:環境庁は、APNの活動を主体的に支援し、アジア太平洋地域における地球環境研究の推進を積極的に図っている。当該地域においては、これまで、地球環境研究に関しては、自然科学的側面が中心であったが、人間活動に起因する地球規模の環境問題の解決のためには、人文社会科学的な視点からの研究(HDP関連研究:参考参照)が重要であるとの認識が高まっている。
APNは、HDP関連研究の一部である土地利用・土地被覆変化(LUCC)に関する東アジア地域ワークショップを昨年11月、京都において開催したところであるが、本ワークショップは、当該分野全体を対象としてアジア太平洋地域で初めて開催されるものであり、地球環境に関心を持つ各国(研究者、行政担当者)及び関連する国際機関の参加を得、地球環境問題の解決に資するHDP関連研究の現状を把握し、当該研究の重要性への認識を高めるとともに、同地域における今後の研究・活動方針を議論し、同地域における地球環境研究を推進する契機となるものである。
なお、結果については会議終了後お知らせ致します。
地球環境変化の人間的側面研究ワークショップ
-地球環境変化との共存;アジア太平洋における地球環境変化の人間的側面研究-
2.会議の背景:
アジア太平洋地域における地球環境研究については、自然科学的側面からの研究が重点的に進められてきたが、人間的な側面に関する研究が立ち遅れているために、十分な成果が得られていない状況にある。
特にこの地域は、人口が世界の半数以上を占め、今後急速な経済発展が見込まれており、これに伴う環境変化が懸念されていることから、地球環境問題の解決に資するHDP関連研究が重要視されている。
このような観点から、我が国(環境庁地球環境部研究調査室)が事務局を務めるAPNにおいても、96年3月に開催された第1回政府間会合において、HDP関連研究は重点的に取り組むべき分野として合意された。この合意に基づき、今回、SASCOM等と共同でワークショップを開催することとしたものである。
3.日 時:平成9年1月20日(月)~23日(木)
4.場 所:インド・ニューデリー 国立物理学研究所
5.主 催:
・アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)
・地球変動に関する分析・研究
・トレーニングのためのシステム(START)
南アジア委員会(SASCOM)
・地球変動と陸域生態系研究小委員会(GCTE)
6.内容等:
本ワークショップは、地球環境研究の科学的課題及び政策的な課題との緊密な連携を図る形で、アジア太平洋地域における地球環境研究を推進する契機とすることを目的としている。
ワークショップで主に議論される点は次のとおり。・食料と水資源・気候と農業
・健康と地球環境変化
・地球環境変化のための生態系の管理
・産業構造変革
・総合評価モデルと関連する政策・管理手法
7.参加国等:
オーストラリア、バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、ニュージーランド、フィリピン、ロシア、シンガポール、スリランカ、タイ(計17ヶ国)(関係国際機関)地球変動に関する欧州ネットワーク(ENRICH)、米州地球変動研究機関(IAI)、地球変動の人間的次元国際協同研究計画(IHDP)、地圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP)、地球変動に関する分析・研究・トレーニングのためのシステム(START)、START東南アジア委員会(SARCS)、START南アジア委員会( SASCOM)、START温帯域東アジア委員会(TEACOM)
8.日程の詳細:
1月20日(月) 11:00 開会 11:30 世界及びアジア太平洋地域におけるHDP関連研究 (1)地球変動の人間的次元国際協同研究計画(IHDP)の進展について (2)アジア太平洋地域の地球環境変化に関する現在の知見 14:00 地球環境変化と脆弱性 (1)気候と食料確保 (2)水資源 16:30 (3)健康影響 1月21日(火) 9:30 地球環境変化に対する生態系管理 11:30 都市域及び産業構造の変革やそれらに関連する地球環境変化問題をどのように克服すべきか 14:00 政策との連携:政策決定プロセスに如何に地球変動の重要性を反映していくことができるか。 (1)一般の知識と政策決定者の態度 (2)総合アセスメントモデル:AIMモデルの方法論 16:30 (3)持続可能性に関する評価と指標 1月22日(水) 9:30 APN参加諸国からのHDP関連研究に関する国別報告 (1)南アジア地域:インド、スリランカ 10:40 (2)東南アジア地域:タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン 12:00 (3)温帯東アジア地域:中国、日本、韓国、モンゴル、ロシア 14:30 (4)その他の諸国:オーストラリア、ニュージーランド 15:30 欧州地域及び米州地域のHDP関連研究の現状 16:30 今後の活動方針に関する小グループによるディスカッション 1月23日(木) 9:30 今後の活動方針に関する小グループによるディスカッション (前日の続き) 11:30 小グループによる議論のとりまとめ 14:00 包括セッション (閉会)(参考)
・HDP関連研究について
地球環境に関する研究は、これまで主として自然科学的側面からなされてきており、地球環境変動の現象や影響等については、研究の進展とともに次第に理解が深められつつある。しかし、地球環境問題は自然と人間活動との相互関係の結果で生じているものであるため、これらの研究の成果を活用して実社会に適用し、実質的な問題解決に導くための人文社会科学的な視点からの研究(HDP関連研究)の重要性が認識されるようになった。
国際的な取組としては、ISSC(国際社会科学協議会)が1989年にHDP(Human Dimensions of Global Environmental Change Programme:地球環境変化の人間的次元研究計画)を設置し、人間活動と地球環境変動との関係について、主として人文社会科学的視点からの研究を進めてきた。1996年2月には、HDPの名称をIHDP(International Human Dimensions Programme on Global Environmental Change)と変更するとともに、これまで主として自然科学的視点からの地球環境研究を推進してきたICSU(国際学術連合)との連携により体制を強化し、HDP関連研究を一層推進することとしている。
こうした国際的な動向を踏まえ、環境庁は、平成7年度より地球環境研究総合推進費において、新たに「人間・社会的側面からみた地球環境問題」分野を創設し、人文社会科学的アプローチによる地球環境研究を開始した。平成8年2月には「人間・社会的側面からみた地球環境問題の今後の研究のあり方に関する報告書」を公表し、この分野の研究を一層推進することとしている。
・アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)について
1992年に開催された環境と開発に関する国連会議(UNCED)以降、地球変動研究を世界的に推進することを目的として、地域ごとの科学的研究活動を総合的に推進するための研究組織やネットワークを作ろうとする活動が活発化し、南北アメリカ、欧州・アフリカ、アジア太平洋地域の3地域ごとに、地球変動研究の政府レベルでの支援組織を構築することとなった。我が国は、アジア太平洋地域の地球変動研究の推進を担当し、地球規模の環境問題に関する地域研究ネットワークの構築を推進することとなった。
このような状況のもとにAPNの準備作業が進められた結果、1995年(平成7年)3月に開催された第3回ワークショップにおいては、APN発足の共同宣言が採択され、実施段階に入った。
翌1996年(平成8年)3月には第1回政府間会合が開催され、APN事業の今後2年間の活動計画等について、各国政府の合意が成立した。また、同年8月には科学企画グループ会合が開催され、第1回政府間会合で合意された科学的活動プログラムの具体的な進め方等について討議が行われた。
我が国は、APNの暫定事務局を務めるとともに、ワークショップ等の活動資金を提供するなど、APNの活動を積極的に支援している(事務局長は環境庁地球環境部研究調査室長)。本年3月には第2回APN科学企画グループ会合及び第2回APN政府間会合が東京で開催される予定。
現時点でのAPNの事業は以下のとおり
・ | 政府間会合や科学企画グループ会合、優先的に取り組むべき分野に係る域内ワークショップ等の開催を通じた地球変動研究支援活動の実施 |
・ | IAI(米州アメリカ地球変動研究所)、ENRICH(地球変動に関する欧州ネットワーク)、IGBP、WCRP、IHDP等の関係国際機関との連携、START(地球変動に関する分析・研究・トレーニングのためのシステム)及びその地域委員会の支援 |
・ | APN共同観測事業の実施(アジアモンスーンの変動に関する観測等を実施) |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課研究調査室
室長:名執 芳博(内線6743)
うにすが
補佐:宇仁菅伸介(内線6746)
担当:鈴木 渉(内線6759)