報道発表資料

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2000年09月11日

温室効果ガス排出量算定方法検討会の報告書のとりまとめについて

環境庁地球環境部長の私的諮問機関である「温室効果ガス排出量算定方法検討会(座長茅陽一慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)」において、「温室効果ガス排出量算定方法検討会報告書」がとりまとめられた。
 同報告書では、地球温暖化対策の推進に関する法律施行令(平成11年4月政令第143号)に基づき政令で各年度毎に定めることとされている111種類の活動区分に応じた排出係数のうち平成11年度の係数の案(1031個)を示している。
 環境庁では、本報告書を基に温室効果ガスの排出係数を定める政令を本年10月を目途に制定する予定である。
1. 検討会について

 環境庁地球環境部は、地球温暖化対策の推進に関する法律施行令に基づく排出係数を制定するため、学識経験者の意見を聴く必要があり、本検討会を平成11年11月に設置した(構成、開催経緯については参考1及び参考2)。

 施行令に基づく排出係数は、地球温暖化対策の推進に関する法律第7条、8条及び13条により、国及び地方公共団体(都道府県及び市町村)が温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)及び六ふっ化硫黄(SF6))の総排出量を算定、公表する際に用いられるものである。

2. 報告書の内容

 政令では、施行令で定める111種類の活動区分に対する排出係数の設定を行うこととされており、検討会の下の5つの分科会を設置し、排出係数の在り方について詳細に検討が行われた。

 排出係数設定の基本的な考え方としては、「温室効果ガス排出量の算定方法に関する検討結果とりまとめ(平成11年3月)」で以下のようにまとめられている。

 「一般に、排出量の算定に当たっては、[1]科学的であること、すなわち、正確であること(排出の実態に即していること)、透明性があること(第三者による検証が可能なこと)、包括的であること(すべての分野からの排出を対象としていること)が求められるほか、[2]効率的であること(算定に係る費用対効果が優れていること)、[3]公平であること(温室効果ガスを排出する各主体が公平に排出量の算定の対象となること)が求められる。
 また、温室効果ガスの算定方法が、各主体の温暖化防止に向けた取組に対するインセンティブを損ねることのないようにすることが必要である。」

 今回の検討においても、各分科会においてこの基本的考え方のもとに作業を進めたが、現段階においてはこれらの要求を十分に満たすことができない場合もあり、そのような場合は、各活動区分の設定方法、排出係数、活動量のそれぞれについて今後の課題として、各分野の報告書に記載した。

 なお、この係数は、一般的には以下の計算式を用いる。
(各温室効果ガス排出量) =Σ{(活動量)×(排出係数)}
(活動の種類について和をとる)
(温室効果ガス総排出量) =Σ{(各温室効果ガス排出量)×(地球温暖化係数)}
(温室効果ガスの種類について和をとる)
(注)活動量:各種燃料の使用量、自動車の走行距離など

 上記の計算式に含まれる各項に関する基本的な考え方は以下のとおりである。
[1] 「活動量」の種類については、原則として、IPCC(気候変動に関する政府間会合)の1996年改正ガイドラインに示されている活動の区分に従い、施行令に定められている。
[2] 「排出係数」については、今回、本検討会において最新の知見を踏まえて、これまで直近の条約事務局への通報(平成10年10月)において用いてきた排出係数を改訂した。
[3] 「地球温暖化係数」については、IPCCの第2次評価報告書(1995)に基づいて施行令第4条に定められている。

参考1.温室効果ガス排出量算定方法検討会委員(敬称略)
参考2.検討会開催概要

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課地球温暖化対策推進室
室    長: 石飛 博之(6283)
 室長補佐: 世一 良幸(6286)
 担    当: 東利 博  (6285)