報道発表資料

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2000年10月19日

平成11年度大気汚染状況について

我が国では、大気汚染防止法に基づき、都道府県及び大気汚染防止法上の政令市により全国2,135の測定局(平成11年度末現在、一般環境大気測定局(以下、一般局という):1,720局及び自動車排出ガス測定局(以下、自排局という):415局)において大気汚染の常時監視が行われている。
環境庁が取りまとめたこれらの測定局における平成11年度の測定結果によると、 一酸化炭素及び二酸化硫黄による汚染については引き続き良好な状態が続いている。二酸化窒素及び浮遊粒子状物質については改善がみられるものの、一時的な要因によるところが大きいものと考えられ、また大都市地域を中心に環境基準を達成していない状況がみられる。
 光化学オキシダントによる汚染については、環境基準の達成局数の割合は依然として低い水準である。
 環境庁としては、本調査結果を踏まえ、環境基準の早期達成に向けて、工場・事業場の排出ガス対策、自動車排出ガス規制、低公害車の普及等を総合的かつ一層強力に推進し、都市の大気環境の改善を図っていくこととしている。


1. 二酸化窒素(NO2)
 環境基準達成局数の割合は、一般局で98.9%、自排局で78.7%であった。近年この割合は横這いであったが、平成11年度は平成10年度(一般局:94.3%、自排局:68.1%)に比べて増加した。また、濃度の年平均値の推移を見ると、全国的には近年ほぼ横這いの傾向が続いているが、平成11年度は前年度に比べ減少している。これは平成11年度の一時的な要因によるところが大きいと思われる。


2. 浮遊粒子状物質(SPM)
 環境基準達成局数の割合は、一般局で90.1%、自排局で76.2%であり、平成10年度(一般局:67.3%、自排局:35.7%)に比べその割合が増加した。一方、濃度の年平均値については、全国的には近年横這いからゆるやかな減少傾向がみられ、平成11年度は例年以上に減少しているが、これは平成11年度の一時的な要因によるところが大きいと思われる。


3. 光化学オキシダント(Ox)
 ほとんど全ての測定局で環境基準が達成されておらず、達成状況は依然として極めて低い水準となっている。また、関東地域及び関西地域においては、大都市に限らずその周辺部にまで高濃度日が多く出現しており、光化学大気汚染の広域的な汚染傾向が認められている。


4. 二酸化硫黄(SO2)
 近年、火山等自然要因によるものを除いて、全ての測定局で環境基準を達成しており、良好な状況が続いている。


5. 一酸化炭素(CO)
 ここ十数年、全ての測定局で環境基準を達成している。



<参考>環境基準とその評価方法

1. 環境基準
項目 環境上の条件
二酸化窒素 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること。
浮遊粒子状物質 1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること。
光化学オキシダント 1時間値が0.06ppm以下であること。
二酸化硫黄 1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること。
一酸化炭素 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。

<参考>環境基準とその評価方法

1.環境基準

項目環境上の条件
二酸化窒素 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること。
浮遊粒子状物質 1時間値の1日平均値が0.10mg/m以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m以下であること。
光化学オキシダント 1時間値が0.06ppm以下であること。
二酸化硫黄 1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること。
一酸化炭素 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。

注) 平成9年2月4日にベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレン、平成11年12月17日にダイオキシン類についての大気の汚染に係る環境基準が設定されたが、これらの物質による大気汚染状況については別途取りまとめており、本表からは除いてある。

2. 評価方法
(1) 短期的評価(二酸化窒素を除く)
 測定を行った日についての1時間値の1日平均値若しくは8時間平均値または各1時間値を環境基準と比較して評価を行う。
(2) 長期的評価
二酸化窒素
 1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、低い方から数えて98%目に当たる値(1日平均値の年間98%値)を環境基準と比較して評価を行う。
浮遊粒子状物質、二酸化硫黄及び一酸化炭素
 1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、高い方から数えて2%の範囲にある測定値を除外した後の最高値(1日平均値の年間2%除外値)を環境基準と比較して評価を行う。
ただし、上記の評価方法にかかわらず環境基準を超える日が2日以上連続した場合には非達成とする。

3. 各環境基準設定物質における人の健康や環境に及ぼす影響について
[1] 二酸化窒素 高濃度で呼吸器に影響を及ぼすほか、酸性雨及び光化学オキシダントの原因物質になると言われている。
[2] 浮遊粒子状物質 大気中に長時間滞留し、高濃度で肺や気管などに沈着して呼吸器に影響を及ぼす。
[3] 光化学オキシダント いわゆる光化学スモッグの原因となり、高濃度では粘膜を刺激し、呼吸器への影響を及ぼすほか、農作物など植物への影響も観察されている。
[4] 二酸化硫黄 高濃度で呼吸器に影響を及ぼすほか、森林や湖沼などに影響を与える酸性雨の原因物質になると言われている。
[5] 一酸化炭素 血液中のヘモグロビンと結合して、酸素を運搬する機能を阻害するなどの影響を及ぼすほか、温室効果ガスである大気中のメタンの寿命を長くすることが知られている。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局大気規制課
課長      仁井  正夫(6530)
 課長補佐   戸田  英作(6548)

環境庁大気保全局自動車環境対策第二課
課長      松本  和良(6550)
 課長補佐   吉田耕一郎(6551)

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