報道発表資料

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2010年10月05日
  • 自然環境

生物多様性条約第10回締約国会議等における環境配慮への取組及びカーボン・オフセットに用いるクレジットの公募結果について(お知らせ)

 平成22年10月11日~10月29日に愛知県名古屋市で開催される生物多様性条約(以下「CBD」という。)の第10回締約国会議(以下「COP10」という。)およびカルタヘナ議定書第5回締約国会議(以下「MOP5」という。)において、会議開催に伴い発生する廃棄物やCO2の削減努力等の環境配慮への取組を行い、その一環としてカーボン・オフセットを実施します。カーボン・オフセットに使用するクレジットについては、公募により選定し、以下のとおり結果を公表いたします。

1.CBDのCOP10/MOP5における環境への取組について

 国際会議における環境配慮については、2005年のG8グレンイーグルス・サミットで広く知られるようになり、CBDのCOP9/MOP4、気候変動枠組条約のCOP15など、一般化しつつあります。国内においても北海道洞爺湖サミットやG8環境大臣会合をはじめ、大小様々な会議において環境配慮及びカーボン・オフセット※1が実施され、「会議等の環境配慮のススメ」(環境省)や「カーボン・オフセットイベントの手引き」(カーボン・オフセット推進ネットワーク)など、こうした取組に関する指針等も整備されつつあります。

※1
日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方。

 COP10/MOP5には世界193の国と地域から約8,000人の参加が予定されており、参加者の移動や会議の開催に伴ってエネルギーの使用や廃棄物の発生などで大きな環境負荷が発生します。そこでCOP10/MOP5では、これまでに実施された国際会議における環境配慮への取組や、既に各国から公表されているイベントの環境配慮に関するガイドラインを参考にしつつ、本会議の開催地に適した環境負荷低減への取組を行います。
 具体的には、【1】会議開催に伴う様々な業務におけるグリーン購入の推進、【2】愛知県名古屋市の基準に準拠したごみの分別をはじめとした3Rの促進、【3】会場のエネルギー管理の徹底や自然エネルギーの活用などを通じた資源・エネルギーの節約、【4】低公害車の利用や公共交通機関利用の推進、【5】参加者及び関係者への事前及び会場における呼びかけ、【6】これらの削減努力を行っても排出されるCO2についてカーボン・オフセットを実施する等により、環境負荷の低減に取組みます。詳細についてはCOP10/MOP5日本政府公式ウェブサイト(http://www.cop10.go.jp/env/actual.html)をご参照ください。

2.CBDのCOP10/MOP5におけるカーボン・オフセットの概要

 これらの環境配慮の取組を行った上で会議開催に伴って排出されるCO2は約31,000t-CO2eと見込まれています。この中には、参加者の航空機及び鉄道による移動、会場でのエネルギー利用、会議参加のための宿泊、廃棄物の処理、会場で利用する紙の製造、関係者の自動車による移動など、幅広なバウンダリにおけるCO2排出量が含まれています。
 こうしたCO2排出削減の取組を行った後のCO2排出量を対象に、国内における排出量についてはオフセット・クレジット※2(以下「J-VER」という。)を購入して無効化し、国外における排出量については京都クレジット※3(以下「CER」という。)を購入し取消を行うことでカーボン・オフセットを実施します。実施にあたり、取組の客観性及び信頼性を高めるために、カーボン・オフセット認証制度に基づいて第三者認証機関による認証を取得します。

※2
国内の排出削減・吸収プロジェクトにより実現された温室効果ガス排出削減・吸収量をクレジットとして認証する制度。平成20年11月に環境省が創設。
※3
京都議定書に定められた手続に基づいて発行されるクレジットであり、京都クレジットは京都議定書に基づく削減目標達成のために用いられる。クリーン開発メカニズム(CleanDevelopment Mechanism, CDM)プロジェクトにより発行されるクレジット(Certified EmissionReduction, CER)等がある。

3.クレジットの公募結果について

 平成22年9月17日~9月24日にカーボン・オフセットに用いるクレジットについて公募を実施したところ、J-VERについては13件、CERについては10件の応募がありました。これらの応募について、有識者によって組織された生物多様性条約COP10/MOP5カーボン・オフセット検討委員会にて審査を行った結果、下記のJ-VER13件及びCER1件の合計26,571t-CO2eを購入して無効化することでカーボン・オフセットを実施することとしました。

クレジット
種別
プロジェクト番号 プロジェクト名 購入量
(t-CO2e)
購入予定先
J-VER 0001 高知県木質資源エネルギー活用事業B 200 高知県
0002 北海道4町連携による間伐促進型森林づくり事業 10 森林バイオマス吸収量活用推進協議会
0003 住友林業株式会社社有林管理プロジェクトI(宮崎事業区山瀬地区) 800 住友林業株式会社
0005 徳島県那賀郡那賀町における森林吸収源事業 183 株式会社アドバンテック
0009 鳥取県県有林J-VERプロジェクト 55 鳥取県
0011 諸塚村森林炭素吸収量活用プロジェクト 60 宮崎県諸塚村
0012 熊本県小国町間伐推進プロジェクト 100 一般社団法人more trees
0013 紋別市有林間伐促進型森づくり事業 200 北海道紋別市
0015 梼原町木質バイオマス地域資源循環事業 200 高知県梼原町
0016 森の町内会(間伐サポーター企業群と岩手県岩泉町・葛巻町の連携による間伐促進プロジェクト) 486 三菱UFJリース株式会社
0022 三重県大台町宮川流域における持続可能な森林管理プロジェクトト 217 三重県大台町
0031 北秋田地域振興事業における上小阿仁村J-VERプロジェクト 50 グリーンプラス株式会社
新潟県J-VER
0001
新潟県佐渡市「トキの森」整備事業 10 社団法人新潟県農林公社
CER 0998 インド・カルナタカ州NSL27.65MW風力発電プロジェクト 24,000 大和証券キャピタル・マーケッツ株式会社

4.今後の取組方針について

 現在約31,000t-CO2eと見込まれているCO2排出量は、会議開催前における試算値であることから、カーボン・オフセットの対象とする排出削減の取組を行った後の実際のCO2排出量は、会議開催後に改めて各種データを収集・集計し、適格審査機関による第三者審査を経て確定する予定です。
 また、今回の公募によるクレジットの購入量は全体の約9割にあたる26,571t-CO2eであることから、実際のCO2排出量が上記の適格審査機関の審査を経て確定した後、クレジットが不足する場合には追加でクレジットを購入する予定です。
 これらの手続きが全て完了した後に、CBDのCOP10/MOP5のカーボン・オフセットの取組の最終結果を公表することとしています。

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8150)
室長:鳥居 敏男(内線:6480)
室長補佐:三村 起一
      (外務省COP10日本準備事務局併任)
担当:吉田 勇輝
    (外務省COP10日本準備事務局併任)
    (直通:03-5501-8495)