報道発表資料
環境庁大気保全局では、学識経験者からなる「自動車排出ガス低減効果評価検討会」を本年9月に設置し、自動車排出ガスに係る大気汚染物質の生成メカニズムについて検討を行い、今回、二酸化窒素(NO2)及び光化学オキシダントについて中間的なとりまとめを行った。
(1)二酸化窒素
自動車等からは窒素酸化物(NOx(一酸化窒素(NO)及びNO2))、炭化水素(HC)等が排出されるが、大気汚染に係る環境基準が設定されているNO2については、自動車等から直接排出されるもののほか、NOとオゾン(O3)の反応、光化学反応を介したNOとHC等の反応によっても生成している。特に、大都市地域の日中の道路周辺においてNO2が高濃度の場合には、HC等の関与した光化学反応によって生成されたNO2の割合が大きい。
したがって、NO2濃度を低減させるためには、NOxに加えてHCを低減することが必要である。
(2)光化学オキシダント
高濃度の光化学オキシダント出現と光化学オキシダントによる広域的汚染を同時に抑制するためには、NOx及びHCをともに低減する必要がある。
(1)二酸化窒素
自動車等からは窒素酸化物(NOx(一酸化窒素(NO)及びNO2))、炭化水素(HC)等が排出されるが、大気汚染に係る環境基準が設定されているNO2については、自動車等から直接排出されるもののほか、NOとオゾン(O3)の反応、光化学反応を介したNOとHC等の反応によっても生成している。特に、大都市地域の日中の道路周辺においてNO2が高濃度の場合には、HC等の関与した光化学反応によって生成されたNO2の割合が大きい。
したがって、NO2濃度を低減させるためには、NOxに加えてHCを低減することが必要である。
(2)光化学オキシダント
高濃度の光化学オキシダント出現と光化学オキシダントによる広域的汚染を同時に抑制するためには、NOx及びHCをともに低減する必要がある。
- 検討の背景及び目的
- 光化学大気汚染の生成機構
- 二酸化窒素の生成機構と低減効果
- 光化学オキシダントの生成機構と低減効果
- 今後の予定
自動車排出ガス対策については、これまで、NOx、HC等個々の大気汚染物質に着目してそれぞれ低減対策を進めてきたところであるが、大気汚染物質は、自動車等から直接排出されるもののほか、光化学反応等によって大気中で新たに生成されるものも多く、発生源からの排出抑制効果が、実際の環境中の大気汚染濃度の低減効果として比例的に現れてこない場合が多い。したがって、特にNO2や光化学オキシダントによる大気汚染をより効果的に低減するためには、実際の環境中における物質間の複雑な相互反応作用による生成メカニズムを解明し、これを踏まえた自動車排出ガス低減対策と環境改善効果の分析及び検討が必要である。
大気中にNOx(NO及びNO2)と光化学オキシダントの主成分であるオゾンが太陽光線のもとで共存し、HC等が存在しない場合、NOxの低減に伴ってNO2及びオゾンの大気中濃度は低下する。しかし、実際の大気中にはこのほかHC、アルデヒド等が存在し、光化学反応によってNO2、オゾン、アルデヒド、二次生成粒子状物質等の大気汚染物質が連鎖的に生成され、NO2、光化学オキシダント等の大気中濃度に影響を与えている(図1、図2)。
(1) | 大都市地域における大気環境中のNO2には、(1)自動車の排気管等から直接排出されるもの、(2)NOとオゾンの反応により生成されるもの、(3)光化学反応を介したNOとHC等の反応により生成されるものがある。特に、日中の沿道におけるNO2高濃度時においては、HC等の関与した光化学反応によって生成されたNO2の割合が大きい(図3)。 | |
(2) | 関東地域の冬期における道路沿道を対象とした大気モデルによるシミュレーション結果(図4) | |
(1) | NO2濃度の日平均値を低減する効果は、自動車からのNOx削減による効果の方がHC削減による効果よりも大きい。 | |
(2) | NO2高濃度日の日最高値を低減する効果は、日中の光化学反応の関与により、固定発生源を含むHCの削減による効果の方が自動車からのNOx削減による効果よりも大きくなる。 |
(1) | 光化学オキシダントの生成は、原因物質(NOx、HC)の大気中濃度だけでなく、日射量、気温、大気安定度等の気象条件に大きく影響を受ける。 | |
(2) | 関東及び関西地域においては高濃度光化学オキシダント発生地域の広域化がみられる。この原因としては、NOx発生源自身の広域化及びHC/NOx比の減少が考えられる。 | |
(3) | 関東地域の夏期を対象とした大気モデルによるシミュレーション結果(図5) | |
(1) | NOxとHCの削減による光化学オキシダント濃度の低減効果の大小は、気象条件等により異なる。すなわち、HC削減の方がNOx削減よりも光化学オキシダント濃度がより低減する場合もあり、その逆の場合もある。 | |
(2) | 光化学オキシダントの最高値及び広域的汚染の抑制のためには,NOxとHCを同時に低減することが必要である。 |
標記検討会においては、大気常時監視データの解析、二酸化窒素濃度の低減効果の評価等について今後も引き続き検討を行い、適宜報告を行うこととする。
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※ ○は座長
指 宿 堯 嗣 | 工業技術院資源環境技術総合研究所 大気圏環境保全部長 |
木 村 富士男 | 筑波大学地球科学系教授 |
酒 巻 史 郎 | 国立環境研究所大気圏環境部 大気反応研究室主任研究員 |
坂 本 和 彦 | 埼玉大学大学院理工学研究科教授 |
若 松 伸 司 | 国立環境研究所地域環境研究グループ 都市大気保全研究チーム総合研究官 |
○鷲 田 伸 明 | 国立環境研究所大気圏環境部長 |
- 連絡先
- 環境庁大気保全局自動車環境対策第二課
課 長 三宅 哲志(6550)
課長補佐 野津 真生(6552)
担 当 竹本 明生(6553)