報道発表資料

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2022年04月01日
  • 自然環境

生物多様性条約第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA24)及び第3回条約実施補助機関会合(SBI3)等の第二部の結果について

1.令和4年3月14日(月)から同月29日(火)まで、スイス・ジュネーブにおいて、生物多様性条約の二つの補助機関会合及び公開作業部会が開催されました。
2.ポスト2020生物多様性枠組等について各国の意見の隔たりが埋まらず、複数の選択肢つきで、COP15第二部で決定する事項の勧告案等が採択されました。
3.このため、追加の公開作業部会を、6月にケニア・ナイロビで開催することが決定されました。

■ 経緯

愛知目標に続く生物多様性の新たな世界目標となる「ポスト2020生物多様性枠組」は、公開作業部会等での交渉を経て、当初は2020年10月に中国・昆明で開催予定であった生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択される予定でした。

しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、公開作業部会等での交渉はこれまで議題を限定してオンラインによる会合(第一部)で実施され、議題の一部やCOP向け勧告案の採択は対面で開催する第二部まで持ち越されていました(COP15も二部制に変更)。今般、対面会合開催の目途が立ったことから、以下の3会合について、その第二部(再開会合)がスイス・ジュネーブで開催されたものです。

■ 会議の結果

今般開催された3つの会合では、「ポスト2020生物多様性枠組」の1次ドラフトや同枠組みの進捗を測るための指標案を中心に議論が行われました。

各会合には締約国代表のほか、国際機関、NGO等が参加しました(日本からは環境省、外務省、農林水産省、経済産業省が参加)。

多くの議題において各国の意見に隔たりがあったため、複数の選択肢を括弧書きで併記した成果文書(勧告案)が多数採択されました。「ポスト2020生物多様性枠組」の最終ドラフトや指標等は、今次会合の結果を踏まえてCOP15第二部までに再度議論されて作成される予定です。

(1)第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA(サブスタ)24)第二部

① 開催期間

令和4年3月14日(月)~ 同年3月27日(日)

② 主な議題の結果概要

● 「ポスト2020生物多様性枠組」の進捗を測るための指標等

「ポスト2020生物多様性枠組」の実施状況をモニタリングする枠組み(進捗を測るための指標等)の検討が行われました。各指標案について、目標の進捗を測る上で適切か、また、技術的に測定可能か等の観点で議論された結果、多くの指標に修正が提案され、指標の数の絞り込みには至りませんでした。今後は科学的・技術的ワークショップ開催を含め、COP15第二部までに追加的な検討を行う予定です。

(2)第3回条約実施補助機関会合(SBI3)第二部

① 開催期間

令和4年3月14日(月)~ 同年3月28日(月)

② 主な議題の結果概要

● ポスト2020生物多様性枠組の計画、実施報告、評価及びレビューのためのメカニズム(PDCAサイクル)

「ポスト2020生物多様性枠組」のPDCAサイクルについて検討されました。PDCAサイクルの要素として、生物多様性国家戦略の策定・実施状況の報告においては各国共通の指標、様式を用いて実施していくこと、世界的な進捗レビューを定期的に実施すること等について議論が進められましたが、途上国からはPDCAサイクルの強化により生じる負担への支援(資金や能力開発等)が担保されることを条件とする意見が多く寄せられました。今次会合での進捗を踏まえ、COP15第二部までに非公式検討会を開いて本議論を継続することとなりました。

● 資源動員及び資金メカニズム

ポスト2020生物多様性枠組の実施に係る資金については、先進国はあらゆる資金源からの資金の動員の重要性を主張し、また数値目標の設定に慎重又は精査が必要との立場を示しました。一方、途上国からは資金支援の増額を求める意見が表明され、地球環境ファシリティ(GEF)とは別の新たな生物多様性関係の基金の設立等の新たな提案が複数出されました。こうした新規提案も含め、COP15第二部までに非公式検討会を開いて本議論を継続することとなりました。

(3)ポスト2020生物多様性枠組に関する第3回公開作業部会(OEWG3)第二部

① 開催期間

令和4年3月14日(月)~ 同年3月29日(火)

② 主な議題の結果概要

● ポスト2020生物多様性枠組の各目標等

「ポスト2020生物多様性枠組」の各目標案を中心に議論が進められました。目標によって意見の収束状況には幅があるものの、完全に合意に至った目標案はありませんでした。主な目標案に関する議論の状況は以下のとおりです。

・2030年までに陸地と海洋のそれぞれ30%を保護・保全する目標案(30by30)について、多くの国が支持。

・気候変動と生物多様性に関する目標案については、多くの国が自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)により緩和、適応に貢献することを支持。

・ビジネスと生物多様性に関する目標案については、企業が自然への影響と依存度に係る情報開示や負の影響削減を進められるよう政府が取り組むことを多くの国が支持。

    ※いずれも日本を含む。

● 遺伝資源に係る塩基配列情報(DSI)

DSIの取扱いに関する議論をどのように進めるかに関するCOP15への勧告案について議論が進められました。主な議論の状況は以下のとおりです。

・「ポスト2020生物多様性枠組」のゴールやターゲットにDSIについても明記すべきとするか否かについて意見が分かれました

・本議論は複雑かつ多くのステークホルダーに影響を及ぼすため、結論を急がず慎重に議論を進めるべきと主張する国が多く見られました。

(4) 今後の予定

今次会合の議論の進捗を踏まえ、「ポスト2020生物多様性枠組」に関する第4回公開作業部会(OEWG4)が本年6月21日(火)~6月26日(日)にケニア・ナイロビで開催されることが決定されました。なお、COP15第二部は暫定ながら2022年第3四半期(7~9月)に開催されるとの見通しが条約事務局より示されています。[1]

                                    以 上

[1]生物多様性条約事務局プレスリリースより(令和4年3月29日時点)

連絡先

環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8275
  • 室長中澤 圭一(内線 6480)
  • 専門官竹原 真理(内線 7454)
  • 係長友居 洋暁(内線 6482)