報道発表資料
1.自動車騒音常時監視の実施状況
自動車騒音の常時監視(注1)は、都道府県等が自動車騒音対策を計画的に行うために地域の騒音を経年的に監視することが必要であるとして、平成12年度から実施されております。
令和元年度は、全国845地方公共団体において、騒音に係る環境基準の達成状況の評価が実施されました。評価対象の合計は、道路延長66,536kmに面する地域における、約911万3,400戸の住居等です。
(注1)常時監視は、騒音が一定の道路(注2)の区間に面した道路端から背後50mまでの範囲を対象として、道路端の騒音レベルの測定値等(令和元年度測定実施箇所:約3,400地点)を基に、道路端から直交方向への減衰等を考慮した上で各住居等の騒音レベルを把握するものである。その結果から、各範囲内の住居等のうち、環境基準の基準値を超過する住居等の戸数及び割合を把握することにより評価を行う。なお、各地方公共団体が、5年を基本とする期間内で、地域内の全ての対象範囲の常時監視を実施するための計画を策定し、実際の測定は、地域の実情に応じた頻度や測定方法等で行うこととしている。
(注2)道路とは、沿道に住居等が存在し、原則として2車線以上の車線を有する道路(市町村道にあっては、特別区道を含むものとし、原則として4車線以上の車線を有する区間に限る。)を対象とする。
2.環境基準達成状況
(1)全体の状況
評価対象の全戸数である約911万3,400戸のうち、昼間(6時~22時)・夜間(22時~6時)のいずれか又は昼夜間とも環境基準を超過していたのは約52万6,500戸(5.8%)であり、そのうち昼夜間とも環境基準を超過していたのは約24万1,300戸(2.6%)でした。
幹線交通を担う道路(注3)に近接する空間(注4)における約390万300戸のうち、昼間・夜間のいずれか又は昼夜間とも環境基準を超過していたのは約38万3,900戸(9.8%)であり、そのうち昼夜間とも環境基準を超過していたのは約17万3,400戸(4.4%)でした。
環境基準の達成状況の経年変化に関しては、各年で評価の対象としている住居等の違いはありますが、前年度とほぼ同等の結果となっています。全戸数を対象とした評価において、昼夜間とも環境基準を達成した割合は、平成29年度が93.9%、平成30年度は94.3%であったの対し、令和元年度は94.2%であり、昼夜間とも環境基準を超過した割合は、平成29年度が2.8%、平成30年度は2.7%であったの対し、令和元年度は2.6%でした。
(注3)「幹線交通を担う道路」とは、道路法第3条に規定する高速自動車国道、都市高速道路、一般国道、都道府県道及び市町村道(市町村道にあっては4車線以上の区間に限る。)
「都市高速道路」とは、首都高速道路、阪神高速道路、名古屋高速道路、福岡高速道路、北九州高速道路及び広島高速道路
(注4)「幹線交通を担う道路に近接する空間」とは、2車線以下の車線を有する道路の場合は道路端から15メートル、2車線を超える車線を有する道路の場合は道路端から20メートルまでの範囲
(2)道路種類別の状況
道路種類別(高速自動車国道、都市高速道路、一般国道、都道府県道、4車線以上の市町村道)に分けて集計したところ、昼間・夜間のいずれか又は昼夜間とも環境基準を超過していた割合が最も高かったのは都市高速道路であり、約9万3,600戸のうち約10,000戸(10.7%)でした。
個別地域の状況ついては、国立研究開発法人国立環境研究所が運営するインターネットサイト「全国自動車交通騒音マップ(環境GIS 自動車交通騒音実態調査報告)」において、地図と共に情報提供します。
【全国自動車交通騒音マップ掲載例】
3.今後の対応
環境省においては、引き続き、騒音規制法の規定に基づき都道府県等により常時監視される自動車騒音の状況の取りまとめを実施するとともに、本調査結果を踏まえ、環境基準の達成・維持に向けて、自動車単体対策はもとより、交通流対策、道路構造対策等を、関係省庁等と連携して総合的に推進していきます。
また、近年、従前は人が居住していなかった沿道において宅地開発が行われた結果、新たに居住することとなった者に係る交通騒音問題が懸念されています。環境省では、適切な沿道・沿線対策を選択する上で参照できる指針として、平成26年に「交通騒音問題の未然防止のための沿道・沿線対策に関するガイドライン」を策定し、平成29年6月には地方公共団体における先進的な取組事例等を追加した改定版を公表しました。本調査結果の活用及びガイドラインの周知等を通じて、交通騒音問題の未然防止に向けた取組を推進していきます。
添付資料
連絡先
環境省水・大気環境局自動車環境対策課
- 代表03-3581-3351