報道発表資料

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2021年03月26日
  • 大気環境

令和2年度 冬の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果について

 環境省では、星空観察を通じて光害(ひかりがい)や大気汚染、環境保全の重要性について関心を深めていただくことに加え、良好な大気環境や美しい星空を地域資源(観光や教育)として活用していただくことを目指し、平成30年度から星空観察を推進しています。
 この度、令和2年度の冬期観察で実施した、デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果を取りまとめましたので、お知らせいたします。

1.趣旨

 環境省では、屋外照明による光害を防止することが重要になってきていること等を踏まえ、平成30年度から星空公団との共同で夏と冬の2回、肉眼による観察とデジタルカメラによる夜空の明るさ調査を呼びかけています。

 星空観察は、環境保全の重要性について関心を深めていただく良い機会となるだけでなく、星空を地域資源として宿泊客の誘致に活用するなど、地域づくりにも貢献することが期待されています。

 この度、令和2年度の冬期観察で実施した、デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果を取りまとめましたので、お知らせいたします。なお、この調査は星空公団と共同で実施しました。

2.デジタルカメラによる夜空の明るさ調査概要

(1)観察期間と観察時間

   令和3年1月4日(月)~同年1月17日(日)

   日没後1時間半~3時間半まで

   (データ投稿受付期間:令和3年1月4日(月)~同年2月15日(月))

(2)調査方法

 デジタルカメラを用いて天頂付近の星空を撮影し、その画像データから「夜空の明るさ」(星空の見やすさ)を測定しました。具体的には、(1)の観察期間中に、全国各地の調査参加者により所定の条件下で撮影された天頂付近の星空の画像データを、報告サイトを通じて環境省に送付していただき、画像解析によって「等級(mag/□"):(マグニチュードパー平方秒角)」を単位とする「夜空の明るさ」を求めています。

 「夜空の明るさ」の値が大きいほど夜空が暗いことを示し、星が見えやすい状態になります。

 こうしたデータを継続的に調査することで、地域における光害や大気汚染の状態に関する啓発材料として、積極的に活用することが期待されます。また、星空の地域資源としての活用にも資するため、今後継続的なデータの蓄積を進めつつ、我が国の実態に即した活用手法の検討を進めます。

※夜空の明るさを測る単位及び測定方法は、参考資料(添付「夜空の明るさについて」)を御覧ください。

3.調査結果

(1)実施状況

 令和2年度冬の星空観察の有効データ数は500件(うち、継続観察登録地点における有効データ数は235件)でした。また、継続観察登録地点として登録されている357地点のうち、176地点からデータの投稿があり、116団体と個人60名が星空観察に参加していました。継続観察登録地点の登録の推移は表2の通りとなっています。

表1:令和2年度冬期観察参加状況

データ投稿総数

558 件

有効データ数(注1)

500 件

継続観察登録地点(注2)におけるデータ投稿総数

242 件

継続観察登録地点における有効データ投稿数

235 件

投稿のあった継続観察登録地点

176地点

投稿のあった継続観察登録地点の参加者内訳

団体 116団体

個人 60名

(注1) 有効データとは、投稿されたデータ(総数558件)から、雨天、観察時間外、観察期間外、カメラ設定が 極端に異なるデータを除いたもの。

(注2) 継続観察登録地点とは、平成30年度から実施している「夜空の明るさ」調査において、継続的に同じ撮影場所で観察(夏冬)を実施する方を対象に、環境省が一つの撮影場所につき一つの番号を発行し、継続的なデータの蓄積を行っている地点のこと。

表2:継続観察登録地点の登録の推移

H30夏

H30冬

R1夏

R1冬

R2夏

R2冬

継続観察登録地点総数

91地点

282地点

317地点

345地点

348地点

357地点

※令和2年度冬期観察における継続観察登録地点の新規登録については、登録地点数の少ない県のみ申請を受け付けました。(9地点:別紙1参照)

(2)結果の概要

①「夜空の明るさ」等級ごとの件数

表3:「夜空の明るさ」等級ごとの件数(有効データ)

等級(mag/□")

有効データ投稿数

継続観察登録地点における有効データ投稿数

21 以上

71 件

38 件

20 以上~21 未満

210 件

104 件

19 以上~20 未満

108 件

46 件

18 以上~19 未満

64 件

21 件

17 以上~18 未満

39 件

22 件

17 未満

8 件

4 件

500 件

235 件

※継続観察登録地点のうち、天の川が見えやすいと考えられる20等級以上であった地点については、別紙2を御覧ください。

(参考):「夜空の明るさ」の目安(個人差があります)

等級(mag/□")

21 以上

天の川の複雑な構造が確認でき、星団などの観測ができる

20 以上~21 未満

山や海などの暗さ、天の川がよく見られる

19 以上~20 未満

郊外の暗さ、天の川が見え始める

18 以上~19 未満

住宅地の明るさ、星座の形がよく分かる

17 以上~18 未満

市街地の明るさ、星座の形が分かり始める

17 未満

都市部の明るさ、星はほとんど見られない

(星空公団提供資料より)

②継続観察登録地点における地域区分ごとの「夜空の明るさ」等級

表4:継続観察登録地点における地域区分ごとの件数及び「夜空の明るさ」等級について(有効データ)

地域区分

件数

平均値

(mag/□")

最大値

(mag/□")

最小値

(mag/□")

住宅地域

57 件

19.10

21.37

16.61

商業地域

17 件

17.94

19.99

16.67

農業地域

39 件

20.23

21.64

17.99

森林山間地

55 件

20.70

21.84

17.28

自然公園等

51 件

20.35

21.62

17.49

工業地域

1 件

18.29

18.29

18.29

その他

15 件

20.53

21.89

18.70

235 件

        図1:地域区分ごとの「夜空の明るさ」等級の割合(単位:等級(mag/□"))

4.その他

(1)星空観察の推進について

 平成29年度の「星空観察の推進手法に関する検討会」の結果について、環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/press/104711.html)で公表しています。

(2)星空公団による「デジカメ星空診断」

 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査は、星空公団と共同で実施しています。

星空公団では、環境省が昭和63年から平成24年まで25年間にわたって続けてきた全国星空継続観察が休止となった後、その代わりとなる夜空の明るさ観察を実施してきました。詳細は、星空公団ウェブサイト(https://dcdock.kodan.jp)を御確認ください。

添付資料

連絡先

環境省水・大気環境局大気環境課大気生活環境室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8298
  • 室長山本 郷史(内線 6540)
  • 室長補佐石関 延之(内線 6541)
  • 担当山 眞實(内線 6549)

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