報道発表資料

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2021年02月12日
  • 保健対策

生態毒性予測システム「KATE2020 version 2.0」への更新について

 環境省と国立研究開発法人国立環境研究所は、令和3年1月28日(木)に「生態毒性予測システム(通称:KATE(ケイト))のインターネット版「KATE2020 version 2.0」を公開しました。
 KATEは生態毒性QSAR(定量的構造活性相関)モデルの1つです。化学物質の構造式等を入力することにより、魚類急性毒性試験の半数致死濃度、ミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度等を予測するシステムとして利用されてきました。
 本年度公開した「KATE2020 version 2.0」は、平成23年に公開した「KATE on NET」の機能を大幅に充実させ平成31年1月から公開している「KATE2017 on NET」(令和2年1月に「KATE2020 version1.0」へ更新)の更新版です。入力された化学物質の部分構造に対する構造判定結果を表示する機能の追加及び構造クラス名の改良等を行っています。

1.生態毒性予測システム「KATE(ケイト)」について

 生態毒性予測システムKATE(ケイト、KAshinhou Tool for Ecotoxicity)は、環境省の請負業務として国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康研究センターで開発されている生態毒性QSAR(Quantitative Structure-Activity Relationship:定量的構造活性相関)モデルです。

 KATEは、CAS登録番号※1検索や、構造式エディタを用いた作図により、SMILES※2と呼ばれる文字列等を入力し、化学物質の部分構造等から魚類急性毒性試験の半数致死濃度(LC50)及びミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度(EC50)等を予測することができます。

※1 化学物質を特定するための最大10桁の数値からなる識別子

※2 化合物の分子構造等を印刷可能な文字で線形表記した識別子

2.これまでのKATEの公開状況と「KATE2020 version 2.0」の概要

 KATEは平成23年に「KATE on NET」として初めて公開し、平成31年には、「KATE2017 on NET」を公開しました。KATE2020は、「KATE2017 on NET」の更新版です。

 今回公開した「KATE2020 version 2.0」の主な機能と改良点は以下のとおりです。

 ■KATE2020の主な機能

 1,化学物質の構造にもとづく生態毒性値の予測

 (急性影響)

  ・魚類急性毒性試験(OECD TG 203)における半数致死濃度(LC50)

  ・ミジンコ急性遊泳阻害試験(OECD TG 202)における半数影響濃度(EC50)

  ・藻類生長阻害試験(OECD TG 201)における半数影響濃度(EC50)

 (慢性影響)

  ・魚類初期生活段階毒性試験(OECD TG 210)における無影響濃度(NOEC)

  ・ミジンコ繁殖試験(OECD TG 211)における無影響濃度(NOEC)

  ・藻類生長阻害試験(OECD TG 201)における無影響濃度(NOEC)

 2,予測結果が適用範囲内であるかの判定(構造とlog Pについて)

 3,QSARモデルのグラフ表示

 4,複数の化学物質に対する毒性値の予測

 ■主な更新内容

 (1)QSARモデルの更新

 (2)表示・操作方法の改良

 (3)構造クラス名の改良

 ※KATEのこれまでの公開状況及び更新内容の詳細については別紙を御参照ください。

3.参照データについて

 KATEの構築に当たっては、環境省が実施した生態毒性試験結果※3及び米国環境保護庁のデータベース※4の魚類急性毒性試験結果を参照データとして用いています。

※3 https://www.env.go.jp/chemi/sesaku/seitai.html (環境省)

※4 https://archive.epa.gov/med/med_archive_03/web/html/fathead_minnow.html (米国環境保護庁)

4.公開日

 令和3年1月28日(木)

5.アクセス先

 https://kate.nies.go.jp/

6. 問合せ窓口

 KATE担当(国立研究開発法人国立環境研究所環境リスク・健康研究センター内)
 担当 大野、山本
 TEL 029-850-2455 / FAX 029-850-2920 / Email kate@nies.go.jp

7.KATEの利用に当たっての注意事項

○ KATEによる予測結果については、化学物質の生態毒性影響の程度について、参考値を得るためのツールの一   つとして御利用ください。環境省及び国立環境研究所はKATEによる毒性予測値を保証するものではなく、また、KATEによる毒性予測値の使用により生じた損害については一切の責任を負いません。

○KATEによる予測が可能な化学物質の範囲など、利用に当たっての留意事項については「KATE2020操作マニュアル」を御参照ください。

○ 本システムで得られた予測結果は、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づく届出に必要な生態毒性試験結果として利用することはできません。

添付資料

(別紙)これまでの公開状況と更新内容について[PDF:113KB]

連絡先

環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8253
  • 室長柳田 貴広(内線 6309)
  • 室長補佐工藤 俊祐(内線 6324)
  • 室長補佐川原 志郎(内線 7329)

国立環境研究所環境リスク・健康研究センター

  • 直通029-850-2455
  • センター長鈴木 規之
  • 副センター長山本 裕史
  • 主席研究員大野 浩一
  • 高度技能専門員今井 宏治
  • 高度技能専門員伊丹 悠人

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