報道発表資料

令和2年11月27日
水・土壌
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第4回国連海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する専門家会合の結果について

 令和2年11月9日~13 日に、国連環境計画(UNEP)は、第4回海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する専門家会合(AHEG4、議長:飯野暁 環境省水・大気環境局海洋プラスチック汚染対策室室長補佐)を開催しました。
 AHEG4では、既存の取組の整理や、対策オプションの有効性分析について議論され、その成果が報告書、議長総括として取りまとめられました。
 国連環境総会第5回(UNEA5)に向けて更に検討すべき対策オプションとしては、8つのオプション(a.国際的な共通ビジョン、b.国家行動計画とその実施、c.国内行動を促進するための地域的・国際的な協力、d.科学的基盤、e.マルチステークホルダーの関与、f.既存の仕組みの強化、g.新たな国際的な仕組み、h.仕組み間の調整の強化)が特定されました。加盟国とステークホルダーに対して、特定したオプションを真剣に検討し、UNEA5 に向けて協力的に取り組むことを呼びかけていく意向が示されました。
 今後、本会合を踏まえた報告書、議長総括は、UNEA5に報告され、海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチック対策に関する国際的な議論に活用されることになります。日本国環境省としても、今般の会合の成果も参考に、2050 年までに海洋プラスチックごみによる追加的汚染をゼロにすることを目指す大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向け、国内外での海洋プラスチック汚染対策の取組を進めてまいります。

1.背景・目的

 海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する専門家会合 (AHEG)は、2017年に開催された第3回国連環境総会(UNEA3)において、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策の現状把握や今後の対策オプションの検討を目的として、国連環境計画(UNEP)に設置された組織です。
 これまでUNEP は、2018 年に2回AHEG を開催し、その結果を2019 年に開催されたUNEA4に報告しました。UNEA4では、科学的知見や国際レベルの協調の強化、情報共有の機会の設定等の必要性について議論が行われ、今後の対策オプションの更なる検討の必要性を踏まえて、AHEG をUNEA5まで延長することが決定されました。今回の第4回会合(AHEG4)は、これまでのAHEG での議論を踏まえ、既存の取組の整理や、対策オプションの有効性分析の成果をまとめるために開催されました。
 当初2020 年5月に対面形式での開催が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染状況を踏まえ、11 月にオンライン形式で開催されました。

2.日時と場所

 令和2年11月9日(月)~13 日(金)各19 時00 分~23 時30 分(日本時間)
 オンライン開催

3.参加国・機関

  • 各国・地域代表者(79 の国と地域)
  • UNEP 事務局
  • 国際機関・NGO

4.主な議題

 AHEG4では以下の事項について議論されました。

  • 議題3(マルチステークホルダー・プラットフォーム)
  • 議題4(a)(既存の取組の整理)
  • 議題4(b)(技術及び資金のリソースや支援メカニズムの特定)
  • 議題4(c)(パートナーシップの促進)
  • 議題4(d)(対策オプションの有効性分析)
  • 議題5(UNEA5に向けて更に検討すべき対策オプション)
  • 議題6(議長総括)

5.議論の概要

  • 現状認識
     法的障壁・財政的障壁・技術的障壁・情報障壁が十分に対処されておらず、短期・中期・長期的な行動を通じて克服するにあたり、対策の優先順位づけを急ぐ必要があることが示されました。

  • 既存の取組の整理
     220 件の活動が事務局に提出され、マイクロプラスチック対策があることや、モニタリング手法が調和されていないこと、対策が実施された地域としては沿岸地域や都市環境に重点が置かれていることが分かりました。報告された活動の資金源には、公的資金や民間資金、自主的な寄付が含まれていました。

  • 既存の/潜在的な対策オプションの有効性分析
     以下の1~8のように対策オプションを分類した上で、成熟度、実現可能性、時間枠、影響度の観点から、その有効性の分析が行われました(1. 現在の国際的枠組の強化、2. 国際的デザイン基準の開発、3. 新たな国際的枠組、4. 地域的枠組の強化、5. 地域的な海洋ごみ行動計画の策定と実施、6. 国家海洋ごみ行動計画、7. 規制及び市場ベースの手法を活用した固形廃棄物管理サービスの強化、8. マイクロプラスチック防止の国家戦略)。分析の結果、各対策オプションの効果は多様な状況に応じて変わり得ることや、各国の多様な状況に応じた柔軟性が必要であることが分かりました。また、対策オプションが相互に連関しており、各対策オプションの要素は、他の対策オプションの要素の一部分と考え得ることが示されました。

  • UNEA5に向けて更に検討すべき対策オプション
     以下のa~h のオプションが特定されました(a.国際的な共通ビジョン、b.国家行動計画とその実施、c.国内行動を促進するための地域的・国際的な協力、d.科学的基盤、e.マルチステークホルダーの関与、f.既存の仕組みの強化、g.新たな国際的な仕組み、h.仕組み間の調整の強化 )。そのうえで、AHEG として加盟国とステークホルダーに対して、海洋プラスチック汚染の重要性と緊急性を認識し、特定したオプションを真剣に検討し、UNEA5に向けて協力的に取り組むよう呼びかけていく意向が示されました。

a. 国際的な共通ビジョン
 プラスチックの海洋流出の廃絶に向けた、新たなビジョン・目標の設定及び/又は既存のものの共有。共有ビジョンの例として以下がある。SDG14.1、G20 大阪ブルー・オーシャン・ビジョン、海洋プラスチック憲章、UNEA 決議3/7(ごみやマイクロプラスチックの海洋流出の長期的な廃絶と海洋生態系への損害の回避)。


b. 国家行動計画と実施
 海洋プラスチックごみ対策の基礎となる基本的な枠組として、国家行動計画の策定。当該計画は、上流(持続可能な生産・消費を含む)から下流(環境に配慮した廃棄物管理を含む)までの、プラスチックのライフサイクルのすべての段階を可能な限り対象とする。特に、技術的・財政的なリソースや能力が限られる脆弱な国を念頭に、各国の多様な社会・経済・環境の状況を考慮する必要がある。国家行動計画には、以下の要素が含まれ得る。基本的な政策枠組、進捗状況を確認するための関連指標、透明性と報告を促進するメカニズム、実質的な対策(回避可能なプラスチックの使用の削減や循環経済アプローチを適用するための革新的な解決策・啓発活動等)。


c. 国内行動を促進するための地域的・国際的な協力
 特にリソースや能力が限られており、国家行動計画の策定・実施が困難な国に対する、効果的な国内対策を支援するための地域的・国際的な協力の強化。

①対策及び/又は国家行動計画の実施を支援するための資金的・技術的支援、能力開発及び技術移転
②ピアラーニングのためのベストプラクティス及び国際レベルでの進捗状況の共有


d. 科学的基盤
 共通のビジョンと目標の達成に向けた進捗の把握に必要な根拠及び科学に基づいた政策アプローチを促進するため、海ごみに関する科学的知識の更なる拡大、蓄積及び共有(特にモニタリング、発生源のインベントリ、影響評価)。

①プラスチックの発生源と経路を特定するためのモニタリング技術・システムの開発
②対策の効果に関するモニタリング及びデータ報告の標準化・調和化
③国際的な科学的諮問パネルの設置


e. マルチステークホルダーの関与
 海ごみに対処するための意思決定プロセス・取組の実施を支援するマルチステークホルダーの関与の促進。マルチステークホルダー及びマルチセクターの枠組・プラットフォームのモデル及び/又はパートナー候補の例として以下が挙げられる。

- UNEP が運営するマルチステークホルダー・プラットフォーム
- 化学物質の管理についての取組を支援できる「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ
(SAICM)」
- バーゼル条約の下でのパートナーシップ
- ストックテイキング作業に基づくオンライン・プラットフォーム


f. 既存の仕組みの強化
 既存の仕組み、枠組、パートナーシップ、行動の強化。これには、海洋ごみに関するグローバル・パートナーシップ(GPML)、バーゼル・ロッテルダム・ストックホルム条約の下での進行中の作業、G20 海洋プラスチックごみ対策実施枠組、海洋プラスチック憲章等が含まれる。また、こうした取組の強化には、次のような連携的な取組を含む。

①幅広い官民分野を含む参加主体の拡大
②暫定的な定量的指標や定期的なレビューなど、より効果的なレビューの枠組
③各分野での課題に対処するための共同パイロットプロジェクト
④環境上適正な廃棄物管理の実施を含む、各国の能力の開発及び向上


g. 新たな国際的な仕組み
 国際的な対策の法的枠組の提供や特にリソース・能力が限られている国の国内対策の促進のための、新たな国際的協定、枠組又は他の形態のしくみの策定。これには、以下のような、法的拘束力のある要素及び/又は拘束力のない要素が含まれる可能性がある。

①世界及び国内での削減目標
②デザイン基準
③回避可能なプラスチック製品の段階的廃絶
④国家及び地域行動計画の促進
⑤科学パネルを通じた科学的知識の共有及び国際的な調和モニタリング手法の活用
⑥資金及び技術リソースの国際的な調整
 このオプションについては、政府間交渉プロセス(新たな国際的なしくみの構築及び調整を目的とした政府間交渉委員会の設置等)を必要とする可能性がある。

h. 仕組み間の調整の強化
 共通のビジョンに向けて取り組むにあたっての、強化された連携の追求と取組の重複の回避を目的とした、既存の仕組み間の調整の枠組と、既存の仕組みと将来の仕組み間の調整の枠組の強化。

 多くの参加者が、AHEG は(法的拘束力の有無を問わず)国際合意の交渉の開始を提案すべきとの見解を表明しました。一方で、他の参加者は、別の対策オプションに対する選好を示したほか、「AHEG のマンデートは、潜在的な対策オプションに係る技術的な情報をUNEA に提供することであり、UNEA で議論すべき具体的な政策及び/又は策定プロセスを提案することではない」と指摘しました。なお、上述の対策オプション以外にも言及された対策オプションがあったこと、上述の対策オプションは相互に連関していることに御留意ください。
 加えてUNEP 事務局長から、これまでに得られた成果をUNEA5の第2部が開催される2022 年に向けて維持・最新化されるよう、要請に応じて締約国間の非公式な準備協議の場を整える、協力の意向が示されました。

 議長総括の詳細については、別添資料又はAHEG のホームページ(https://environmentassembly.unenvironment.org/expert-group-on-marine-litter)を御確認ください。

6.今後の予定

 AHEG4の成果である報告書や議長総括は、UNEA5に報告される予定です。

添付資料

連絡先

環境省水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室

  • 代表03-3581-3351
  • 室長中島慶次(内線 6602)
  • 室長補佐飯野暁(内線 6631)
  • 室長補佐安陪達哉(内線 6634)
  • 室長補佐迫口貞充(内線 6963)
  • 担当鎌倉真奈(内線 6965)

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