報道発表資料

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2019年12月02日
  • 保健対策

「水銀に関する水俣条約第3回締約国会議」の結果について

 本年11月25日(月)から29日(金)まで、スイス・ジュネーブにおいて「水銀に関する水俣条約第3回締約国会議」が開催されました。今次会合では、条約実施のための技術的ルールや運営に係る事項に関する議論が行われ、条約の詳細ルールづくりが進展しました。
 また、会場内に我が国の水銀対策等に係るブースを設置し情報発信を行いました。

<経済産業省同時発表>

1.概要

 本年11月25日(月)から29日(金)まで、スイス・ジュネーブにおいて「水銀に関する水俣条約(以下「条約」という。)第3回締約国会議」(COP3)が開催されました。会合には1,000名以上が参加し、本会議のほかに水銀に関する8つの啓発イベント、7つの教育イベントが実施されました。

2.主な結果

 条約実施に係る詳細ルールや条約事務局の組織体制等の運営に関する事項について、事務レベルでの議論が行われました。

 我が国は、会期間の専門家会合に参画し会合文書の作成に寄与するとともに、今次会合において欧州連合と共同で1本の決議案を提出する等、国際的なルール作りに積極的に貢献しました。また、条約の実施を推進し、締約国の規定の遵守状況を確認する実施・遵守委員会委員に、アジア・太平洋地域からヨルダンと中国と共に推薦され、選出されました。

(1)世界税関機構で定める製品コード

 税関において製品中の水銀の有無を識別するため水銀使用製品に製品コードを付与することについての報告に対し、条約事務局が手引書の作成、有用性に関する調査を実施することとされました。

(2)附属書A及び附属書Bの見直し

 条約発効後5年以内に、附属書A(水銀添加製品)及び附属書B(水銀又は水銀化合物を使用する製造工程)について見直しを行うこととされています。このため水銀添加製品及び水銀又は水銀化合物を使用する製造工程について、水銀を含まないものへの代替に関する技術的及び経済的な可能性、ヒト健康及び環境へのリスク及びメリット等について情報収集等を行い、今後設立される臨時の専門家グループの意見を踏まえて、条約事務局がCOP4に向けて報告を取りまとめることになりました。水銀を含む歯科用アマルガムは、条約事務局が代替製品の有無や健康上の影響等について報告書を取りまとめることとされました。

(3)水銀の放出

 条約は特定可能な水銀の発生源の目録と、利用可能な最良の技術(BAT)及び環境のための最良の慣行(BEP)の手引書の速やかな作成を求めており、今次会合ではこの規定に基づいて設置された技術専門家グループによるこれまでの作業について報告書が提出されました。技術専門家グループは会期間に引き続き目録と手引書を作成することとされ、今次会合ではその対象範囲について議論がなされました。

(4)汚染された場所の管理に関する手引書

 条約事務局が技術専門家グループと協力してまとめた手引書案について議論が行われ、一部を修正し、採択されました。手引書は、汚染された場所の特定及び評価、リスク評価、リスク管理等に関する方法についてとりまとめています。

(5)水銀廃棄物の閾値

 技術専門家グループがまとめた報告書等に基づき議論が行われ、条約上の水銀廃棄物の3つの区分のうち「廃金属水銀等」及び「水銀使用製品廃棄物」に関しては閾値を設定せず、それぞれの廃棄物の種類の一覧に該当すれば水銀廃棄物と見なすこと、「水銀汚染物」に関しては閾値として含有量濃度を用いることの妥当性について更なる検証を行いつつ、閾値について引き続き検討することを合意しました。また、技術専門家グループの設置期間をCOP4まで延長し、会期間中にこれらを含めた検討を行うこと等が決定しました。

(6)条約の有効性評価

 臨時の専門家グループがまとめた報告書に基づき、条約の有効性評価を実施するため枠組みや組織、指標等について議論が行われました。さらなる情報収集と検討を行うため、COP4に向けて評価指標に必要な項目に関する情報交換をすることと、条約事務局がモニタリングのための手引書、国別報告の統合報告書及び貿易供給報告書を作成することが決定しました。

(7)運営にかかる事項

  • 条約事務局の2020年~2021年の活動計画と予算が決定しました。
  • 条約の資金メカニズムは、条約の規定に基づいて2回目のレビューを進めるため、条約事務局が委託条項案をまとめることが決定しました。
  • 締約国による報告義務により、供給・貿易や水銀廃棄物の処理に関する一部の情報については2年に1回とすることで合意されており、初回の報告の期限が原則2019年1231日であることが確認され、報告様式が決定しました。
  • 本条約事務局と、合同事務局として運営されているバーゼル・ロッテルダム・ストックホルム条約事務局が引き続き連携して運営されることが決定しました。

3.関連イベント

(1)会合期間中、日本の水銀対策を紹介したフライヤー等の配布、水俣市、水俣高校等と連携した情報発信、水俣市関係者からのCOP3に向けたメッセージの放映等を行いました。

(2)我が国が拠出した予算で、条約事務局が水銀に関する科学と政策の繋がりについてスペシャルイベントを実施しました。

(3)COP3に先立ち、11月23日(土)に世界水銀パートナーシップ第10回アドバイザリ会合が開催され、我が国がリードする水銀廃棄物分野について進捗報告を行いました。

4.今後の予定

 第4回締約国会議は、インドネシアが議長国となり、2021年10月から11月にインドネシア・バリにて開催される予定です。

5.参考URL

 「水銀に関する水俣条約第3回締約国会議」(COP3):UNEP ウェブサイト

 http://www.mercuryconvention.org/Meetings/COP3/tabid/7854/

連絡先

環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課水銀対策推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8260
  • 室長須田 恵理子(内線 6353)
  • 主査黒田 一樹(内線 6368)
  • 担当伊藤 悟志(内線 6356)