報道発表資料

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2019年10月15日
  • 地球環境

国連気候変動枠組条約第25回締約国会議閣僚級準備会合(プレCOP)の結果について

10月8日(火)~10日(木)にコスタリカ・サンホセにて国連気候変動枠組条約第25回締約国会議閣僚級準備会合(プレCOP)が行われましたので、お知らせいたします。

1 会合の概要

(1)日程・場所

 10月8日(火)~10日(木) 

(2) 場所

コスタリカ・サンホセ

(3)出席者等

•参加者:約90か国・地域から1500人程度

•主催:コスタリカ政府

•日本:髙杉外務省国際協力局審議官、瀬川環境省大臣官房審議官のほか、外務省、経済産業省、

  環境省から出席

2 本会合での議論の概要

(1)各国の削減目標・長期戦略(野心(Ambition))

 コスタリカ環境大臣による議長の下で野心に関するセッションが開催され、30カ国程度から発言があった。

 我が国からは、2020年以降の削減目標(自国が決定する貢献(National Determined Contribution)。以下、「NDC」)に掲げられた行動を具体的に実施していくことが重要であり、本年6月に閣議決定した長期戦略に基づき、政府として、また、企業や自治体、さらには関係国とも連携して具体的な行動をとり、積極的に気候変動対策を実施していく旨を発言した。

 各国からも、具体的な行動の実施が重要である旨の発言が相次ぎ、国内における緩和・適応施策や資金支援の内容についての紹介がなされるとともに、2020年のNDC更新、1.5度目標に向けた資金支援の強化、国連気候アクションサミットのCOP25におけるフォローアップ等について言及があった。

(2)市場メカニズム(パリ協定6条)

 コスタリカによる議長の下でパリ協定6条の実施ルールに関するセッションが開催され、40カ国程度から発言があった。

 我が国からは、ダブルカウント(削減目標に対するクレジットの二重計上)を防止するため、パリ協定6条4項メカニズム(6.4)にも相当調整が必要であること、適応基金のための課金(SOP)については6.4の詳細ルールとして議論すべき等の考え方を説明した。

 多くの国から、ダブルカウントを許すようなルールは2021年以降の野心を弱めることになるとの懸念が示されたが、一部の国は6.4は相当調整の対象外、京都議定書の下でのクリーン開発メカニズム(CDM)のプロジェクトや発行済みクレジットを含めて全て6.4に移管するべきなど、これまでの各国の立場を繰り返す主張があった。

(3)ロス&ダメージ

 コスタリカによる議長の下でロス&ダメージに関するセッションが開催され、30カ国程度から発言があった。

 我が国からは、ロス&ダメージに関して既に設置されている「ワルシャワ国際メカニズム(Warsaw International Mechanism。以下「WIM」)」に関し、その設置要領の範囲で、気候変動枠組条約内だけでなく広く国際機関や各国の研究機関等と知見の充実を図ることが望まれること、まずはWIMの執行委員会(Executive Committee)の5カ年作業計画の実施進捗をレビューした上で、課題の検討等を通じて次の作業計画の策定に適切に反映するべきであると発言した。

 各国からは、ロス&ダメージの意義、将来の長期的視野に立ったレビューを基にした作業計画の必要性等について言及された他、過去の活動における目標達成状況や効果を評価した上で、他機関との連携も図りつつ今後の活動内容を検討すべきとの考え方が示された。

(4)ジェンダーと気候変動

 コスタリカによる議長の下でジェンダーと気候変動に関するセッションが開催され、ジェンダーに関するリマ作業計画(Lima work programme on gender)及びジェンダー・アクションプラン(gender action plan))のCOP25におけるレビューについて議論。30カ国程度から発言があった。

 我が国は、気候変動と防災といった分野においてもJICA等を通じてジェンダーの主流化を進めるべく、研修等を実施していることを紹介し、キャパシティ・ビルディングの重要性を指摘した。我が国をはじめ、各国とも、ジェンダー・アクションプランの改定について肯定的な意見を述べ、COP25議長国チリからは、COP25で議論を主導する強い決意が示された。

3.主要なサイドイベントでの議論

(1)海洋

 「Blue COP」としてCOP25議長国のチリが考えている内容について説明があり、フィジー、コスタリカ等による共同提案として、COP決定案が提示された。内容は、SB52(2020年6月を想定)での気候変動と海洋の統合についてのダイアログの開催等に関するものであり、各国は自国の経験等を2020年3月末までに提出することが求められている。

 また、海洋に関わる様々な機能(ブルーカーボン(海洋生態系による炭素固定)、生物多様性、防災、漁業、住民生活等)に着目した各種イベントが開催された。とりわけ中南米地域を中心に、サンゴ礁やマングローブに関する保全や、温室効果ガスの吸収やインベントリ等についての研究成果、活動・施策に関する知見が多数交わされた。

(2)都市・地方

 都市や地方などの地域にフォーカスし、交通・建築物・先住民等に関連するサイドイベントが多く開催された。特に、本会合の開催国であるコスタリカが発電電力のほぼ全てを再エネで賄っている状況を踏まえ、交通部門や建築部門で電動化・省エネ化を進めることで脱炭素化を達成することができるとの考えのもと、そのための具体策について議論されるものが多くみられた。

 我が国からは、関連の会合において、我が国の関連の取組(循環共生型社会、横浜市、京都の事例、地方公共団体実行計画等)について資料を配付し出席者の理解を促進した。

(3)適応

 生態系を活用した適応策(Ecosystem-based adaptation:EbA)に関連した様々なサイドイベントが開催された。マングローブ等の生態系を活用した防災(DRR)、小規模農家による適応、サンゴ礁の損失予測と回復に向けたソリューション等、科学的知見や有用事例に関する各発表やパネルディスカッションが開かれた。

4.その他

(1)バイ会談

 COP25議長国のチリ等とのバイ会談を行い、パリ協定6条交渉、フロン類のライフサイクルマネジメントの重要性などについて我が国の考えや取組を説明した。

(2)特別セッション

 オープニングセッションでは、フィゲレス・前UNFCCC事務局長の総合司会のもと、各国政府・国際機関のハイレベルによるパネルディスカッションやプレゼンテーションが行われた。基調講演はフィゲレス女史及びランベルティーニ・WWF事務局長。閉会挨拶はアルバラド・ コスタリカ大統領。パネルディスカッションでは、気候変動と関連する事項、例えば、生物多様性、ファイナンス、人権等について、ロドリゲス・コスタリカ環境エネルギー大臣、パルマー・生物多様性条約事務局長等、4回のパネルにそれぞれ5名ほどが参加して議論を行った。特に、気候変動と生態系の保全を統合的に扱うNature based solutionsにフォーカスされ、今後の気候変動対策の在り方についての議論が行われた。

連絡先

環境省地球環境局国際地球温暖化対策担当参事官室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8330
  • 参事官辻原 浩(内線 6772)
  • 企画官小圷一久(内線 6757)
  • 係長岡野泰士(内線 6773)