報道発表資料

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2019年03月26日
  • 水・土壌

平成29年度 水環境における放射性物質のモニタリング結果について

 平成29年度分の水環境における放射性物質モニタリング(①全国、②福島県及び周辺地域、③原子力規制委員会実施分)について、その結果をとりまとめましたので、お知らせします。

1.経緯

 環境省では、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、「福島原発事故」という)を受けて、平成23年から福島県及び周辺県での放射性物質モニタリングを実施するとともに、水質汚濁防止法の改正(平成25年12月施行)を踏まえ、平成26年度から全国の公共用水域及び地下水における放射性物質の常時監視(モニタリング)を実施しています。これらの結果は、随時、速報値として公表してきました。

 今般、平成29年度分のこれらのモニタリング(①全国の放射性物質モニタリング、②福島県及び周辺地域の放射性物質モニタリング)結果及び③原子力規制委員会が実施した放射性物質モニタリング結果について評価し、取りまとめました。

 本取りまとめの概要は、次のとおりです。また、詳細は次の環境省ホームページに掲載しています。

https://www.env.go.jp/air/rmcm/index.html

2.概要

2-1.全国で実施する放射性物質のモニタリング

○ 水質汚濁防止法に基づき全国の公共用水域及び地下水における放射性物質の存在状況の把握を目的として、全国47都道府県において、公共用水域、地下水とも各110地点で平成26年度から開始したモニタリングである。

○ 全β放射能及び検出されたγ線放出核種は、全て過去の測定値の傾向の範囲内であった。検出下限値は、核種ごと、地点ごとに異なるが、概ね水質で0.001~0.1Bq/L程度、底質で1~100Bq/kg程度であった。

○ 自然核種では、公共用水域水質の一部の地点で、K-40及び全β放射能が高い地点があったが、海水の影響によるものと考えられた。

○ その他の自然核種では、公共用水域水質の一部の地点で、Ac-228、Bi-214、Pb-212及びPb-214について過去の測定値より高い値が検出されたが、トリウム系列またはウラン系列の核種であり、通常天然の土壌岩石などに含まれるものと考えられた。

○ 公共用水域の一部の地点で、検出下限値を超える人工核種Cs-134、Cs-137が確認されたが、過去の測定値の傾向の範囲内であった。

○ 水環境における放射性物質の存在状況を把握するため、次年度以降も継続して本モニタリングを実施することが適当である。

2-2.福島県及び周辺県での放射性物質モニタリング

○ 福島原発事故を受けて、当該事故由来の放射性物質の水環境における存在状況の把握を目的として、福島県及び周辺地域において、公共用水域約600地点、地下水約400地点で、平成23年8月以降継続的に実施してきたモニタリングである。

○ 平成29年度の放射性セシウムの測定結果の概要は、以下のとおりであった。

 <公共用水域>

  1) 水質(検出下限値:Cs-134、Cs-137ともに1Bq/L)

 湖沼の数地点で検出されている他は、すべて不検出であった。

  2) 底質(検出下限値:Cs-134、Cs-137ともに10Bq/kg)

【河川】

 地点別の増減傾向については、ほとんどの地点が減少傾向で推移していた。各調査地点の放射性セシウム濃度の変化傾向を見るため、年平均値を大きな値から小さな値へ順に並べ、初めから数えて全体の任意の割合に位置する値であるパーセンタイル値の経年変化をみると、減少傾向を示しており、平成29年度は平成24年度の2割程度まで低下した。(参考に50パーセンタイル値(最初から数えて全体の50%に位置する値)の変化を示す。以下、同じ。)

地点平均値の経年変化(河川底質)50パーセンタイル

【湖沼】

 地点別の増減傾向については、ばらつきがみられる地点はあるものの、おおむね減少又は横ばいで推移していた。パーセンタイル値の経年変化はほとんどが減少傾向を示しており、平成29年度は平成24年度の1/2程度まで低下した。

地点平均値の経年変化(湖沼底質)50パーセンタイル

【沿岸域】

 地点別の増減傾向については、ばらつきがみられる地点はあるものの、おおむね減少傾向で推移していた。パーセンタイル値の経年変化は多少の変動はあるものの、おおむね減少傾向を示しており、平成29年度は平成24年度の1/2程度まで低下した。

地点平均値の経年変化(沿岸域)50パーセンタイル

 <地下水>

 地下水の水質については、全地点において不検出であった(検出下限値:Cs-134、Cs-137ともに1Bq/L)。

○ 平成29年度の他の核種の測定結果の概要は、以下のとおりであった。

 <公共用水域>

  1) 水質(検出下限値:Sr-90 1Bq/L)

 すべて不検出であった。

  2) 底質(検出下限値:Sr-90 1Bq/kg)

 河川及び湖沼の一部の地点で検出されているものの、比較的低いレベルであった。

 <地下水>

地下水の水質については、全地点において不検出であった。(検出下限値:Sr-89、Sr-90ともに1Bq/L)

○ 放射性物質濃度は、地点によっては数値の増減傾向にばらつきがみられ、採取回ごとの試料の採取場所及び性状のわずかな違いによるほか、福島原発事故の影響の可能性もあると考えられることから、次年度以降も継続して本モニタリングを実施することが適当である。

2-3.その他の全国規模で実施された放射性物質のモニタリング

 全国における原子力施設等からの影響の有無を把握することを目的として、原子力規制委員会が実施する環境放射能水準調査の結果は、全てが過去の測定値の傾向の範囲内であった。

添付資料

連絡先

環境省水・大気環境局水環境課

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8306
  • 課長熊谷 和哉(内線 6610)
  • 課長補佐冨野 正弘(内線 6616)
  • 係長雪野 裕介(内線 6614)

環境省水・大気環境局土壌環境課地下水・地盤環境室

  • 直通03-5521-8309
  • 室長神谷 洋一(内線 6590)
  • 室長補佐清丸 勝正(内線 6604)
  • 担当久喜 真吾(内線 7628)

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