報道発表資料

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2018年10月26日
  • 地球環境

「気候変動に関する日中政策研究ワークショップ」の結果について

10月17日(水)~18日(木)の2日間、中国・北京にて「気候変動に関する日中政策研究ワークショップ」が開催されました。
この会合では、二国間における1)気候変動政策の現況、2)長期戦略研究の現状、3)排出削減と持続可能な発展との相乗効果、4)アジア地域2度目標達成に向けた日中両国の協力のあり方、を中心に議論を展開しました。その後、地球環境戦略研究機関-気候変動戦略研究・国際協力センター(IGES-NCSC)の共同研究の可能性や方向性、仕組みについて活発な意見交換が行われました。
今次ワークショップを通じて共有した知見、とりわけ共同研究の方向性は、両国の更なる気候変動政策の推進に寄与することが期待されています。

1.会合の概要

本ワークショップは、気候変動対策に関する研究・実務面からの知見について、両国の研究者が意見交換を行うため、環境省の支援により地球環境戦略研究機関(IGES)と気候変動戦略研究・国際協力センター(NCSC)が協力して開催したものです。

今次ワークショップには、日中両国の研究機関を中心に、計15名程度の研究者等が参加し、二国間における1)気候変動政策の現況、2)長期戦略研究の現状、3)排出削減と持続可能な発展との相乗効果、4)アジア地域2度目標達成に向けた日中両国の協力のあり方、5)IGES-NCSCの共同研究のテーマや研究の方向性、研究実施の枠組について、活発な意見交換を行いました。

(1)日程・場所

 10月17(水)~18日(木)、於:中国・北京

(2)主催

環境省

(3)共催

IGES、NCSC

(4)主な出席者

(日本)環境省、IGES、東北大学

(中国)NCSC、中国国家発展改革委員会・エネルギー研究所(ERI)

(5)議題ごとの結果

1)気候変動政策の現況

日本の研究者から、国内の再生可能エネルギーの普及状況、2030年エネルギーミックスの展望、2050年目標を中心とした最新の気候変動政策を、削減目標の実施に伴う社会・経済的影響等についても紹介した。

中国の研究者から、気候変動に係る政策枠組を中心に、政策形成、計画策定・実施、政策効果の検証等のプロセスについての発表ののち、市場メカニズムや低炭素都市(コミュニティ)パイロット事業の進展状況、国際協力の取組状況等についても言及があった。その他、野心的な目標設定に向けた中国国内の課題(創造的な政策手法や実効性のある対策の導入等)についても言及があった。

2)長期戦略研究の現状

日本の研究者から、長期戦略の検討状況等について報告し、シナリオ検討の効率的なプロセス等について発表を行った。また、長期戦略を実施し見直していく上で、社会経済的影響を考慮していく必要性について指摘した。

中国の研究者からは、2050年中国近代化二段階発展目標(2020年~2035年、2036年~2050年)が紹介された。本目標の達成のため政策評価モデルを開発し、GHG削減に係る政策と社会経済便益の評価を行うことで、効果的な政策決定をしていることが発表された。

3)排出削減と持続可能な発展との相乗効果

日本の研究者から、NDCとSDGsの相乗効果等の把握を目的とした評価指標を紹介し、SDGsに基づく気候変動対策への取組みは、NDCの実効果的な実施に貢献できることが示された。

中国の研究者からは、低炭素都市発展指標の開発により、GHGs削減に向けた都市の低炭素発展レベル、目標達成に向けた取組状況の把握、さらには36のパイロット都市へのケーススタディを通じ、それぞれ都市の発展モデルの長所と短所を整理していること、これが政策担当者の将来の政策決定の材料となっていることが紹介された。

4)アジア地域2度目標達成に向けた日中両国の協力のあり方

中国の研究者から、2度目標達成シナリオをベースとして、中国からアジア諸国に対する海外投資や技術移転・普及がアジア地域の目標達成に対し大きな貢献可能性があることが示された。

5)IGES-NCSCの共同研究のテーマや研究の方向性、研究実施の枠組

上記議論を踏まえ、共同研究のテーマや研究の方向性、研究実施の枠組について、議論を行った。その結果、長期の低炭素社会への移行に伴う社会・経済的影響について、要素の特定を行うとともに、政策への効果的なフィードバックについて検討することに両機関の知見を活かせることが分かった。今後、両機関は具体的な共同研究のあり方についてさらなる議論を行い、具体的な枠組を検討することとなった。

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策担当参事官室
直通 03-5521-8330
代表 03-3581-3351
参事官 小川眞佐子(内線6772)
主査  寺岡裕介(内線6774)