報道発表資料

平成30年8月3日
地球環境
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「適応委員会専門家会合」及び「第27回気候変動に係るアジア太平洋地域セミナー」の結果について

7月24~25日、都内において、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局との共催により、「適応委員会(AC)専門家会合(適応目標及び指標と持続可能な開発目標(SDGs)・仙台防災枠組との関係)」、また続く7月26日には「第27回気候変動に係るアジア太平洋地域セミナー(APセミナー)」を開催しました。両会合にはアフリカ、アジア、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ及びカリブ諸国、さらに国際機関・研究機関から、適応、SDGs、仙台防災枠組の専門家を招聘し、約75名の参加を得て活発な意見交換が行われました。
AC専門家会合においては、ACの三ヵ年作業計画の一環として検討が位置づけられている、3つのグローバルアジェンダ(パリ協定の下での適応、SDGs、仙台防災枠組)の国レベルでの実施方法、モニタリングおよび評価(M&E)、さらにその指標の設定と活用について専門家間の理解を共有することを目的とし、協調的取組の在り方、障壁や能力構築の必要性について議論を行いました。
APセミナーにおいては、UNFCCCの下で行われている適応地域技術専門家会合のひとつ(Regional Technical Expert Meeting (Regional TEM))として位置づけるとともに、AC専門家会合の議論を掘り下げることを目的に、3つのグローバルアジェンダの地方レベルからグローバルレベルでの統合について、議論が行われました。

1.会合の概要

(1)日程・場所

 7月24-26日 東京都港区 三田共用会議所(〒108-0073 東京都港区三田2丁目1-8)

(2)主催

 AC専門家会合(7月24~25日):UNFCCC、環境省

 APセミナー(7月26日):環境省、オーストラリア外務・貿易省(Department of Foreign Affairs and Trade (DFAT))

(3)事務局

一般社団法人 海外環境協力センター(OECC)

(4)参加者

全世界(20ヶ国)の気候変動に関する政策担当者、国際機関や研究機関等(17機関)の気候変動に関する担当官・専門家等、約75名

(5)議論の概要

1)AC専門家会合(7月24~25日)

ACにおいては、2016-2018年作業計画に基づき協議が行われており、気候変動適応について、パリ協定のみならずSDGsや仙台防災枠組での取組とも関連性が見出されていることから、包括的な取組により協調的かつ一貫性をもった成果が期待されている。このような背景から、AC専門家会合では「適応目標及び指標と持続可能な開発目標(SDGs)・仙台防災枠組との関係」について、各枠組の専門家による活発な議論が展開された。

①適応、SDGs及び仙台防災枠組における国内目標及び指標

パリ協定、SDGs、仙台防災枠組はいずれも2015年に採択された国際枠組であり、各枠組において法的な拘束力、目標、時間軸、指標設定などにおいて、相違性があることが認識された。

パリ協定7条の下では適応プロセス、能力構築及び適応報告書等について述べられており、それらは協定13条の透明性、14条のグローバルストックテイクとも関連している。適応指標の検討については、現状各国に委ねられている一方、SDGsや仙台防災枠組については、国連主導による指標の検討が行われている。また、汎用性の高い指標の設定は有益であると考えられるものの、国ごとにアプローチが異なる点についても指摘された。

②国レベルでの適応評価、適応、SDGs及び仙台防災枠組指標の統合

日本、カナダ、モルドバから国レベルにおける適応プロセスについて報告がなされた。日本環境省からは適応計画とそのフォローアップ報告書の内容、更に、先般国会において成立した気候変動適応法の内容について国際的に発信した。また、カナダからは、原住民を含む様々な利害関係者を含めた協議を基に設置された「クリーン成長と気候変動にかかる汎カナダ枠組」とその実施について、モルドバからは国別適応計画(NAP)プロセスに基づくM&Eシステム、包括的な適応目標に向けた分野横断的な取組についての報告があった。

その他、タイにおいてはSDGsを主軸として適応と災害対策が構築されていること、また、災害対策を重視するモザンビークにおいては、5ヵ年計画(2015-2019)に適応の要素が含められたことが報告された。

参加者からは、枠組間での活動の重複が認められるものの、ボトムアップアプローチが必要となる適応においては、その活動進捗や指標設定には各国間で差異がでること、そのため3つの枠組の統合には更なる議論が必要であることが示唆された。また、セクター別専門家や地方自治体との連携、指標のマッピング、汎用性の高いフォーマットの設置、更に「指標」の明確な定義についても、意見交換が行われた。

③能力向上及び障壁の克服等

フィリピンとボツワナから、能力向上及び現状での障壁について発表があった。フィリピンからはデータ収集、制度構築及び関連する能力構築の必要性について、またボツワナからは確実性の高い早期警報システムにかかわる能力構築の必要性について述べられた。また、ドイツ国際協力公社(GIZ)からは、適応M&Eの能力構築は複雑かつ時間を要すること、データのアクセスと利用などの様々な要素を検討すべきこと、能力は各国のオーナーシップとも関連性が高いこと及び国内での連携体制の強化が必要であること等が指摘された。

グループ議論においては、関連省庁間の適切な資金の分配や、統計局の重要性、また国を超えた地域での取組や地方などに対する適応への理解促進を進めるべきとの意見が出された。

2)APセミナー(7月26日)

APセミナーにおいては7月24~25日に実施されたAC専門家会合での議論をさらに深めることを目的にRegional TEMとして位置づけ、3つの国際枠組の統合の可能性について更なる議論が行われた。

①適応、SDGs及び仙台防災枠組における指標の地方・国・グローバルレベルの統合

日本、モロッコ、ガンビア、インドから、各国の取組について報告があった。

日本環境省からは、適応策のM&Eの実施に係り、中央政府、地方政府及び研究機関の連携について紹介を行った。また、適応とSDGs、仙台防災枠組については持続可能かつ強靭な社会の構築という共通の目標があるものの、適応の指標の設定に当たっては各国の実情も踏まえる必要があることが示された。

モロッコからは、国、地域を含めた制度構築と情報共有方法、ガンビアからは仙台防災枠組指標を中心に、SDGsや適応との連携とその応用、インドからはボトムアップアプローチによる災害への強靭性強化に関するスコアカードの開発について報告があった。

この他、国立環境研究所からは、気候変動適応法に基づく同研究所の役割や、アジア太平洋適応情報プラットフォーム(AP-PLAT)を通じた途上国への貢献についての報告がなされ、また、世界気象機関(WMO)からは、島嶼国における早期警戒システムの導入の重要性が強調された。

②適応行動強化のためのSDGs及び仙台防災枠組との連携

適応指標のSDGs及び仙台防災枠組との連携についてグループ議論を行った。国の取組としてUNFCCCで議論が行われている各国の決定による貢献(Nationally Determined Contribution: NDC)についても視野に入れるべきであること、比較的広い分野を網羅する適応目標と、詳細な検討が必要な適応指標に対するギャップについて指摘があった。SDGsや仙台防災枠組で示されている指標と適応の指標の共通性について参加者間での理解が深まったが、一方で、これらの指標だけでは適応策のM&Eを行うのは困難であるとの意見も挙げられた。

連絡先
環境省地球環境局総務課気候変動適応室
代表03-3581-3351
直通03-5521-8247
室長  大井 通博(6730)
専門官 熊丸 耕志 (7727)

環境省地球環境局国際地球温暖化対策担当参事官室
直通03-5521-8330
参事官 小川 眞佐子 (6772)
主査  寺岡 裕介 (6774)

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