報道発表資料

平成30年6月29日
地球環境
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「ペータースベルク気候対話IX」の結果について

6月18日(月)~6月19日(火)、ドイツ・ベルリンにて開催された「ペータースベルク気候対話IX」に、環境省から高橋地球環境審議官が出席しました。結果概要を以下のとおりお知らせします。

1 会合の概要

(1)日程・場所

 6月18~19日 於:ドイツ・ベルリン

(2)主催

 ドイツ及びポーランド(共同議長: シュルツェ・独・環境・自然保護・建設・原子炉安全大臣、コヴァルチク・ポーランド環境大臣及びクリティカCOP24議長(ポーランドエネルギー副大臣))

(3)出席者等

 ドイツ(議長国)及びポーランド(COP24議長国)並びに、35か国の主要先進・途上国の閣僚級、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長、パリ協定に関する特別作業部会(APA)共同議長等が出席。日本からは高橋環境省地球環境審議官ほか、塚田外務省国際協力局参事官、岸本経済産業省審議官他が出席した。

2 議論の概要

 今次会合は、 5月のボン(ドイツ)におけるAPA会合及び補助機関(SB)会合が終了し、9月のバンコクでの追加会合を控える中、(1)公正な移行(低炭素社会の実現に向けた対策により生じる経済構造の変化による雇用等への影響に着目しつつ、包摂的で公正な社会経済への移行を目指すこと)を実現するための気候行動と国際協力をいかに強化していくか、(2)いかにCOP24でのパリ協定の実施指針採択に向けて前進するかを中心に、閣僚レベルで議論が行われ(基調講演のみ公開、それ以外については非公開)、共同議長による総括が発出された(https://www.bmu.de/fileadmin/Daten_BMU/Download_PDF/Klimaschutz/entwurf_schlussfolgerungen_pcd_ix_en.pdf)。

多くの出席者が、パリ協定の着実な実施と、そのための実施指針採択の重要性を強調するとともに、交渉を前進させるための建設的な意見が多く述べられた。また、気候変動対策と経済成長は両立可能であるとの認識の下、多様な非政府主体を巻き込みながら、パリ協定の目標と整合的な社会に変革していく必要があること、その移行過程は公正であるべきこと、気候変動対策の実施のためには気候資金が重要な要素となること、タラノア対話は世界全体の気候変動対策の機運を高める良い出発点であること等が、多くの出席者から指摘された。各議題の議論の概要は以下のとおり。

(1)野心的な行動の遅れによる影響

 多くの出席者が、パリ協定は変革をもたらすものであり、グローバルな発展の転換点となったことに触れつつ、強い政治的なリーダーシップのもと、パリ協定の目標達成に向けて、国際社会が協力していくべきであることに言及した。また、気候変動により、貧困撲滅、平和、食料安全保障、持続可能な発展に深刻な影響が生じており、対策の遅れはコストを増大させること、気候変動対策が経済的な利益にも繋がること、Pre2020の取組の重要性等が指摘された。さらに、カーボンプライシングや長期戦略の策定を含む、各国の具体的な国内政策や経験等も共有された。

我が国からは、カンクン合意に基づく2020年目標の下、国内の温室効果ガス排出削減を着実に実施していること、総理からの指示を受け、長期戦略策定に向けた作業を加速させていること、気候変動適応法が成立したこと等を紹介した。

(2)公正な移行の確保

 多くの出席者が気候中立に向けた変革を実現するためには、それに伴う構造改革により影響を受ける雇用への十分な配慮が重要であるとの認識を示し、公正な移行に向けた各国の事情に応じた対策及び経験から相互に学び合う国際協力の重要性が強調された。また、化石燃料利用からの段階的な脱却に伴う影響への対応や、再生可能エネルギーの導入による雇用創出等、公正な移行に関する各国の様々な経験が共有されたほか、様々な関係者を巻き込んだ誠実な議論の重要性が強調された。また、現在、労働市場に参加していない人々を含めた社会的包摂・保護の必要性及び公正な移行が気候行動に広く便益をもたらす可能性について言及された。

(3)パリ協定実施指針の完成

多くの出席者が、パリ協定の効果的な実施のため、COP24において、堅固な実施指針を採択するという強い決意をあらためて示した。COP24の成功に向け重要な点についても議論がなされ、緩和、適応、資金、技術移転、キャパシティ・ビルディングをカバーし、パリ協定で合意されたバランスを維持すること、「各国の異なる事情に照らした共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力に関する原則」について、パリ協定及びCOP21決定に忠実な形で反映すること、技術的な論点での合意を得る努力を重ねるよう交渉官に指示を出すこと等が言及された。

また、COP24まで残された時間は少なく、交渉を更に加速化させる必要があること、9月のバンコク追加会合を有効活用すべきことも指摘された。他にも、途上国がパリ協定を実施するためには、支援及び継続的改善を実現するための柔軟性が必要であること、気候資金に関する多くの国の懸念に対処するべきであること等が言及された。

我が国からは、これまでの交渉で築いた締約国間の共通認識(common ground)を拡大していくべきこと、バンコク追加会合が重要であること、政治レベルの強いメッセージで交渉を後押しすべきこと等を指摘した。

(4)気候資金

 多くの出席者が、COP24において、気候資金が交渉の中心的な議題になるとの認識を示し、気候資金の予見可能性や透明性の他、1000億ドルロードマップの進捗や資金フローのシフトといった、幅広い論点について議論がなされた。その中で、グリーンボンドやカーボンプライシングを含む様々な手法の活用や民間資金動員の重要性、気候資金へのアクセス改善の必要性等が指摘された。また、NDCの実施が、国家予算及び国内の財政プロセスや民間部門・市民社会の参加も確保した各セクターの投資計画等に組み込まれることが重要であり、それが民間セクターの投資拡大にもつながることにも言及があった。

我が国からは、 2020年に途上国に対して約1.3兆円の気候変動対策支援を行うコミットメントやNDCの実施支援等の着実な実施について紹介した。さらに、資金の予見可能性については、定量的な情報のみでなく、途上国との政策協議を通じて策定される事業計画等といった定性的な情報をパートナー国同士が共有することも予見可能性の向上に貢献するものである点を強調した。

(5)タラノア対話

 冒頭、COP23の議長である、バイニマラマ・フィジー首相から、1.5度目標に向けて野心の向上が必要であることを強調しつつ、タラノア対話準備フェーズで得られた成果について説明があった。その後、コヴァルチク・ポーランド環境大臣から、COP24の議長国として、タラノア対話の成功に向けて尽力する旨の発言があった。出席者からは、タラノア対話を優良事例の共有だけでなくNDCの野心向上につなげる必要があること、IPCCの1.5℃特別報告書等の科学的知見が重要であること、先進国による途上国への支援の必要性等が指摘された。

我が国からは、日本版タラノア対話ポータルの立ち上げを通じ、様々な非政府主体のタラノア対話への理解や参加を促進し、COP24で開催されるタラノア対話政治フェーズへのインプットを準備していることをアピールした。また、政治フェーズについて、建設的な対話とすべきであり、他のハイレベル会合との重複を回避すべきである旨指摘した。

(6)メルケル・ドイツ首相及びモラビエツキ・ポーランド首相の基調演説

 メルケル首相は、気候変動問題に対する米国の対応は遺憾であると述べつつ、気候変動は事実であり、環境上の必要性と経済的合理性を両立させる行動の必要性を強調した。また、エネルギー転換の重要性にも触れながら、再生可能エネルギーの導入拡大や送電網整備における課題、気候資金等につき、ドイツ及びEUにおける取組を紹介した。

モラビエツキ首相は、国境を越えた影響を及ぼす気候変動に対処するため、市民が主体的に行動すること、また各国の協力が重要であると述べた。COP24の開催地であるカトヴィツェは、重工業と鉱業で栄えた町であり、タラノア対話等を通じて、持続的な成長のための転換を図った好事例となり得ると述べた。

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策担当参事官室
代表03-3581-3351
直通03-5521-8330
参事官   小川 眞佐子(内線6772)
参事官補佐 吉田 諭史(内線6773)
担当    友居 洋暁(内線6775)

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