報道発表資料

この記事を印刷
2018年04月06日
  • 地球環境

「地域適応コンソーシアム事業」の調査内容の拡充について

 環境省は、地域での適応の推進のため、平成29年度より3カ年の計画で、環境省・農林水産省・国土交通省の連携事業として、「地域適応コンソーシアム事業」を実施しています。本事業の中で、各地域のニーズに沿った気候変動影響に関する調査を実施しているところですが、地域での適応の取組を更に充実するため、平成30年度からその調査内容を拡充(従来から実施してきた26項目の調査に加え、新たに9項目の調査を追加)し、全35項目の調査を実施します。

1.概要

 気候変動の影響は、地域の気候、地形、社会経済状況などによって異なります。また、気候変動の影響への適応は、地域の生活基盤を守ることや、地域振興にもつながることから、その地域に合った適応の取組を進めていくことが重要です。

 気候変動の影響への適応計画(平成27年11月27日閣議決定)では、「地域での適応の推進」を基本戦略の一つとしており、政府として、地方公共団体における気候変動影響評価の実施や適応計画の策定及び実施を促進することとしています。

 これを踏まえ、平成29年度より3カ年の計画で、環境省・農林水産省・国土交通省の連携事業として、「地域適応コンソーシアム事業」を実施しています。本事業では、各地域のニーズに沿った気候変動影響に関する調査を行うとともに、国の地方支分部局、地方公共団体、大学、研究機関など、地域の関係者との連携体制を構築し、具体的な適応策の検討を進めています。

2.地域における気候変動影響に関する調査

(1)先行調査と率先調査

 平成29年度から3カ年の予定で、農業、水産業、自然災害、自然生態系などの様々な分野において、「地域における気候変動影響に関する先行的調査(以下「先行調査」という。)」を26項目実施しております。

 平成30年度からは、これに加え、これまで得られた科学的知見を活用しつつ、地方公共団体がより主体的に参画(※)する「地域における気候変動影響に関する率先的調査(以下「率先調査」という。)」として、新たに9項目の調査を実施します。これにより、調査項目は全35項目になります。

 なお、率先調査の内容については、各都道府県・政令市から地域のニーズを募集し、外部有識者による調査計画の審査を経て決定しました。

※率先調査では、特定の地方公共団体が調査計画の作成や調査の進捗管理などを率先して実施します。

(2)具体的な調査項目

 地域における気候変動影響に関する調査の具体的な調査項目は、以下のとおりです。

 ※各地域の一覧表の太字が新たに実施する率先調査です。このうち、調査名の【】には、主体的に参画する 地方公共団体名を記載しています。

① 北海道・東北地域

 (北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の区域)

調査区分

調査名

分野

先行調査

気温上昇や気象災害によるリンゴへの影響調査

農業

先行調査

海水温の上昇等によるホタテガイ及びワカメ等の内湾養殖業への影響調査

水産業

先行調査

海水温の上昇等によるシロザケ等の漁獲量への影響調査

水産業

先行調査

気候の変化や極端な気象現象による観光業への影響調査

産業・経済活動

率先調査

気候変動によるサクラマスの越夏環境に与える影響調査【山形県】

水産業

率先調査

気温上昇や降水量の変化等による釧路湿原の水環境・生態系への影響調査【北海道】

水環境・水資源、自然生態系

② 関東地域

 (茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、静岡県の区域)

調査区分

調査名

分野

先行調査

夏期の高温・少雨による茶栽培への影響調査

農業

先行調査

降水量の増加と社会経済状況の変化を考慮した都市圏の内水氾濫リスク評価

自然災害

先行調査

気候変動による印旛沼とその流域への影響と流域管理方法の検討

自然災害、水環境

先行調査

気候変動による節足動物媒介感染症リスクの評価

健康

先行調査

熱中症リスクの評価手法の整理・構築

健康

率先調査

気候変動による高山・亜高山生態系への影響調査【群馬県】

自然生態系

率先調査

気候変動による湿地環境への影響調査【新潟市】

自然生態系、水環境・水資源

③ 中部地域

 (富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県の区域)

調査区分

調査名

分野

先行調査

気候変動による水産業及び生物生息基盤(藻場、アマモ場)への影響調査

水産業

先行調査

降雪量と融雪時期の変化が水資源管理及び地下水資源の利用に与える影響調査

水環境・水資源

先行調査

気候変動による三方五湖の淡水生態系等に与える影響調査

自然生態系

率先調査

気候変動による能登大納言小豆の生育への影響評価【石川県】

農業

率先調査

局地的豪雨の増加による災害発生リスク評価【名古屋市】

自然災害・沿岸域

④ 近畿地域

 (滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県の区域)

調査区分

調査名

分野

先行調査

降水量等の変化による丹波黒大豆への影響調査

農業

先行調査

海水温の上昇等によるイカナゴの資源量への影響調査

水産業

先行調査

海面上昇等による塩水遡上の河川への影響調査

水環境・水資源

先行調査

気候変動による高層湿原の植生への影響調査

自然生態系

先行調査

熱ストレス増大による都市生活への影響調査

国民生活・都市生活

率先調査

気候変動による琵琶湖の水環境への影響調査【滋賀県】

水環境・水資源

⑤ 中国・四国地域

 (鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県の区域)

調査区分

調査名

分野

先行調査

暖冬によるナシ栽培への影響調査

農業

先行調査

気温上昇が家畜の繁殖率や成長に与える影響調査

農業

先行調査

海水温上昇等による瀬戸内海の水産生物や養殖への影響調査

水産業

先行調査

気候変動による宍道湖・中海の水質等への影響調査

水環境・水資源

先行調査

生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)適応策の検討

自然生態系、自然災害、農業

先行調査

気候変動による高山植生及び希少植物への影響調査

自然生態系

⑥ 九州・沖縄地域

 (福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の区域)

調査区分

調査名

分野

先行調査

気候変動による有明海・八代海における漁業及び沿岸生態系への影響調査

水産業

先行調査

気候変動による水害リスクの評価

自然災害・沿岸域

先行調査

熱中症発生要因の分析と熱中症予防行動の検討

健康

率先調査

気候変動による樫原湿原の生態系への影響調査【佐賀県】

自然生態系

率先調査

気候変動によるスイートピーへの影響調査【宮崎県】

農業

3.その他

「地域適応コンソーシアム事業」の情報は、気候変動適応情報プラットフォーム上に掲載しています。

 (ウェブサイト)http://www.adaptation-platform.nies.go.jp/lets/conso/index.html

連絡先
環境省地球環境局総務課気候変動適応室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8247
室長   木村 正伸  (内 6730)
室長補佐 小沼 信之  (内 6731)
室長補佐 秋山 奈々子 (内 7762)
担当   河野 郷史  (内 7717)
担当   知久 友太郎 (内 7717)