報道発表資料

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2017年12月26日
  • 自然環境

生物多様性地域連携保全活動の促進に関する検討会の結果について

 今年度、施行から6年が経過した「生物多様性地域連携促進法」を活用し、生物多様性分野において今後さらなる地域の連携の促進を図るため、「生物多様性地域連携保全活動の促進に関する検討会」を開催しました。
 この度検討会は、3回にわたる検討を経て、報告書を取りまとめましたので、公表します。

1.検討会について

 生物多様性地域連携促進法は、生物の多様性が地域の自然的社会的条件に応じて保全されることの重要性にかんがみ、地域における多様な主体が有機的に連携して行う生物の多様性の保全のための活動を促進するための措置等を講じ、もって豊かな生物の多様性を保全し、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的として平成23年10月に施行されました。

 この度、本法の施行から6年が経過したため、さらなる法の活用に向け、関係省庁、有識者、自治体により現状を共有し、課題や今後の方向性の検討を行うため、検討会を開催しました。

(1)日時 

第1回 平成29年10月31日(火)9:00~12:00

  (施行状況の説明、関係自治体ヒアリング、検討課題の整理)

第2回 平成29年11月20日(月)16:00~19:00

  (関係団体ヒアリング、検討課題ごとの対応方針の整理・検討、報告書(素案)の検討)

第3回 平成29年12月18日(月)15:30~18:00

  (検討課題ごとの対応方針の確認、報告書のとりまとめ)

(2)構成メンバー

  別紙のとおり

2.報告書の概要

 生物多様性地域連携法施行後6年が経過しているが、地域連携保全活動計画の策定は13件にとどまり、地域連携保全活動支援センターの設置も13自治体となっているなど、本制度に対する地域の取組は十分に浸透しているとは言えない状況であり、本制度を有効に活用していくことが課題である。

 本制度を有効に活用ためには、以下の基本的方向性を踏まえ、短期的、長期的視点を持ち、具体的取組を推進していくべきである。

基本的方向性

<各主体の特徴を踏まえた連携性の向上>

 「地域連携保全活動の促進に関する基本方針」第2章3「多様な主体に期待される役割」に記載されている各主体の役割を改めて確認するとともに、上記の課題を踏まえ、各主体に対してこれまで以上に、その特徴を生かした役割が期待されていることの認識を促進する。

<活動の持続性・継続性の向上>

 活動の持続性が重要であるとの認識を高める必要がある。具体的には、継続のための財源の重要性に対する認識を高め、活動自体が収益を生む仕組みの構築など、活動の資源の獲得に関する方法論を獲得する。また、多様な主体の継続的参加を可能とするため、活動による生物多様性の保全等に対する貢献の明確化や効果の見える化を推進する。

<地域の資源管理や活性化等への貢献>

 生物多様性保全のための活動を核としつつ、活動の幅を広げることや、関連する諸活動との連携を通して、地域資源としての自然環境の適切な管理を促し、地域活性化や域外の人々との交流による地域課題の解決へと結びつける。

具体的取組

対応を要する課題

各課題に対する取組の推進方策

1.地域連携保全活動計画作成の意義、効果の発揮

(1)活動計画の作成意義の発信

・計画作成意義の明確化(活動を公の計画に位置付けることにより、多様な主体の支援を得て、活動の継続性を確保)

(2)活動計画の作成労力の軽減

・活動計画を他の計画に内部化して位置づけ

(3)制度の周知の改善・強化

・都道府県、市町村、センター等によるNPO法人や事業者への制度の周知の強化

・優良取組事例の整理、情報提供

2.地域連携保全活動支援センターの設置促進、機能強化

(1)既存の組織・施設の活用を含む簡素なセンターの設置促進

・既存部署、施設を活用したセンター(窓口やプラットフォーム)開設の促進(NPO交流プラザ、ボランティアセンター等)

・全都道府県での早期のセンター設置

・都道府県の実情に応じたセンター設置の考え方等の提示

(2)能動的かつ戦略的な連携促進のための機能強化

・期待される以下の役割発揮のため、地域の関係部局との連携のための情報交換の実施

(センターの役割)

・各活動の進捗管理や評価を担い、活動を改善

・地域の総合計画との関係を整理し、活動計画作成や活動内容を誘導

・地域住民が大切にしたい身近な自然の保全に貢献

(3)専門性の確保

・研修制度の活用による人材育成(環境パートナーシップ研修等)

・既存施設(NPO交流プラザ等)のスキルの活用

・近隣の教育・研究機関、専門家等との連携強化

(4)環境省とセンターの連携強化

・環境省から各センターへ各種研修制度の周知

・全国のセンター一覧の公表・周知

・各種顕彰制度・表彰制度の情報提供

・センターの愛称の検討

3.活動の資源(資金・担い手)の持続的な確保

(1)活動資源の確保

・活動の中で資金を生み出す仕組みの紹介(資源のブランド化、エコツーリズム、森里川海プロジェクト等)

・活用可能なメニューの提示(生物多様性保全推進支援事業、森林・山村多面的機能発揮対策交付金、多面的機能支払交付金、統合河川環境整備事業、水産多面的機能発揮対策事業、地方自治体の事業等)

・地域自然資産法の入域料、国立公園協力金等の情報提供

(2)事業者との連携強化

・事業者参画による活動と事業者双方へのメリットの認識強化

・事業者が参画しやすい条件(地域ぐるみの取組体制構築等)を把握し、活動団体や地方公共団体に提示

(3)他の分野との連携強化

・親和性の高い政策分野との関連性を整理し、これらの部局や事業者等との連携を強化

・多様な部局が連携し実行している事例情報の共有

4.所有者不明又は所有者の協力が得られない土地への対応

(1)関連制度の対応状況の周知

・生物の多様性を保全するための既存制度の紹介(外来生物法、種の保存法の改正)

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性主流化室
代  表 03-3581-3351
直  通 03-5521-9108
室  長 長田 啓 (内6661)
室長補佐 中原 一成(内6666)
担  当 野口 智彬(内6490)

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