報道発表資料

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2017年12月08日
  • 地球環境

第3回国連環境総会(UNEA3)の結果について

12月4日(月)から12月6日(水)にかけて、ケニア・ナイロビにおいて「第3回国連環境総会(UNEA3)」が開催されました。
我が国からは、高橋地球環境審議官がハイレベル会合に出席し、「汚染のない地球へ向けて」をテーマとして議論が行われました。
本会合では、閣僚宣言「汚染のない地球へ向けて」及び海洋ごみ、環境と保健等に関する14本の決議等が採択されました。

1.会合日程:平成29年12月4日(月)から12月6日(水)まで

  ※うち、ハイレベル会合は12月5日(火)から12月6日(水)まで。

2.所:ケニア・ナイロビ

3.主催者:国連環境計画(UNEP)

4.参加国等:

○約160ヶ国の代表が出席し、ホスト国であるケニア共和国からは、ウフル・ケニヤッタ大統領が出席。我が国からは、環境省・高橋地球環境審議官及び外務省が出席。

○主催者であるエーリック・ソールハイムUNEP事務局長の他、エドガー・グティエレ・エスペレタ国連環境総会議長等を含め、関係国際機関の代表が出席。

○非政府機関の代表等が出席。

5.会合概要

○国連環境総会(UNEA)は、UNEPの意思決定機関であり、原則2年に1回開催される国際会議。

○2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)において、UNEPの強化策として、これまで58か国の理事国で構成されていたUNEP管理理事会に代わり、すべての国が参加する国連環境総会を開催することとされた。

○2014年及び2016年に続き、今回は3回目の開催。

○11月29日から12月1日までの3日間は準備会合が、12月4日から12月6日までの3日間は事務レベル会合が、12月5日及び12月6日の2日間はハイレベル会合がそれぞれ開催された。

(1)会合の成果

○閣僚宣言「汚染のない地球へ向けて」が採択された。((3)参照)

○海洋ごみ、環境と保健等に関する14本の決議等が採択された。特に、海洋ごみに関する決議では、海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに対処するための障害及びオプションを更に精査するための専門家グループ会合を招集することを決定した。

○第4回会合について、2019年3月11日から15日に、ケニア・ナイロビで開催することを決定した。

(2)我が国の貢献・発信

(ア)会合における発言等

12月5日及び12月6日、「汚染のない地球へ向けて」をテーマとして、閣僚級の議論が行われた。我が国からは、高橋地球環境審議官が以下の発言を行った。

○リーダーシップ対話

「変革のための科学、証拠及び市民啓発」のセッションにおいて、①環境汚染の解決に取り組むことにより、経済成長及びイノベーションにつながること、②「もったいない」精神により、3Rを推進することが重要であること、③持続可能な開発のためには、教育が重要であることを指摘した。

○ステートメント

汚染のない地球へ向けて、①持続可能な開発目標(SDGs)の実施、②大気汚染対策、③海洋ごみ対策、④水銀対策及び⑤環境インフラ整備が重要と述べた。また、日本は、公害経験を克服して培ってきた環境技術やノウハウを提供することにより、世界の環境問題の克服に貢献できると述べた。

(イ)バイ会談

高橋地球環境審議官と、①エーリック・ソールハイムUNEP事務局長、②キンモ・ティーリカイネン環境・エネルギー・住宅大臣(フィンランド)、③ナムスライ・ツェレンバト自然環境・観光大臣(モンゴル)、④ジェーン・ニシダ米国環境保護庁副長官補代行(米国)、⑤ケイヴェ・マダニ環境庁教育・研究局次長兼国際関係・条約センター長代理(イラン)、⑥ドミニク・ワグレイ世界経済フォーラム官民パートナーシップ責任者・執行委員会メンバー等との間で意見交換を行った。主な内容は以下の通り。

○ソールハイムUNEP事務局長と会談し、今後のUNEPにおける取組や協力等について意見交換を行った。

○各国とのバイ会談では、循環経済、水銀、気候変動、大気汚染、第三国における協力等、両国の関心事項についてそれぞれ意見交換を行い、引き続き、環境分野で緊密な協力を図っていくことで一致した。

(ウ)サイドイベント

 高橋地球環境審議官が、「What you measure matters - Harmonization of marine litter monitoring」と題された海洋ごみに関するサイドイベントに登壇し、マイクロプラスチックの調査手法等に関する日本の取組を紹介した。

(3)2017年国連環境総会(UNEA)閣僚宣言「汚染のない地球へ向けて」概要(仮訳)

我々は、以下により、大気、土地及び土壌、淡水並びに海洋の環境汚染を防止し、緩和し、及び管理するための行動を拡大することを約束する。

1.研究を進め、信頼できる科学データの構築、照合及び利用を奨励すること。

2.公共・民間セクターにおける科学に基づいた意思決定、全てのステークホルダーによる効果的な基準設定及び様々な個人の参画の増加を推進すること。

3.環境の合意及び適合した行動を通じて、汚染物質の全ての形(Forms)を標的にすること。

4.汚染を防止、管理及び削減するため、既存の多国間協定、条約、規制及びプログラムの実施を加速すること。

5.包括的かつ持続可能な経済生産性、イノベーション、雇用創出及び環境に配慮した技術を促進すること。

6.持続可能なライフスタイル及び持続可能な消費と生産への移行を奨励すること。

7.化学物質及び廃棄物の適正な管理のための政策及びアプローチの採用を推進すること。

8.科学、教育、政策の連関、貿易、投資及びイノベーションの機会を最大限に利用すること。

9.都市開発の持続可能なモデルの推進へ向けて、地方政府と作業すること。

10.より統合された政策、規制及び法律を強化し、実施すること。

11.汚染問題への取組を可能にする環境を整備することに関する政治的コミットメントを再確認すること。

12.政府、民間セクター、学界、国連機関、先住民、地域社会、市民社会及び個人の間でパートナーシップを創出し、拡大し続けること。

13.南北協力、南南協力、三角協力、地域対話及び国連全体の調整を通じて汚染問題に取り組むこと。

汚染を打ち負かすキャンペーン(Beat Pollution engagement campaign)によせられた約230万の誓約を称賛する。【注:UNEPがウェブサイト上で汚染を打ち負かすことを誓約する個人の登録を受け付けるキャンペーン】

第3回国連環境総会で合意された行動と決議を支持する。

次回国連環境総会までに、常駐代表委員会と協議の上、我々が検討する実施共通計画を提出することを国連環境計画事務局長に要請する。

この宣言を持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム等において支持するとともに、2019年の次回会合(注:2019年3月ケニア・ナイロビで開催)で本宣言の実施をフォローアップする。

連絡先
環境省地球環境局国際連携課
03-3581-3351(代表)
03-5521-8243(直通)
課  長:福島 健彦 (6760)
室  長:杉本 留三 (6765)
課長補佐:田中 英二 (7760)
係  員:山田  麗 (7722)