報道発表資料

平成29年10月5日
地球環境
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アジア・太平洋地域におけるCOP23準備ワークショップの結果について

 環境省は、外務省、フィジー政府、オーストラリア外務・貿易省との共催により、9月26日(火)・27日(水)の2日間、フィジー・スバにおいて「アジア・太平洋地域におけるCOP23準備ワークショップ(Regional Workshop on preparation for COP23 in the Asia-Pacific)」(第26回気候変動に係るアジア太平洋地域セミナー)を開催しました。
 本セミナーはCOP23の主要議題についてアジア太平洋諸国の理解を促進することと合わせて、COP23議長国であるフィジーの支援を目的として開催し、アジア太平洋地域の13カ国、EU、国際機関等より約 50 名の気候変動に関する担当官・専門家等が参加しました。
 本セミナーでは、適応計画策定・実施を効果的・効率的な実施、及び2020年以降の透明性の枠組み等(各国の取組の報告・レビューの仕組み)について活発な議論が行われ、特に、適応計画を実施していく上でのリスクアセスメントや進捗管理(M&E)に関する現状と課題が認識されるとともに、パリ協定の下での透明性制度の在り方を検討する上で各国が抱える課題が共有されました。
アジア太平洋地域におけるCOP23準備ワークショップ(第26回気候変動に係るアジア太平洋地域セミナー)の開催(リンク:外務省)

1.日時

平成29年9月26日(火)・27日(水)

2.主催

環境省

3.共催

外務省、フィジー政府、オーストラリア外務・貿易省(Department of Foreign Affairs and Trade (DFAT))

4.開催場所

フィジー・スバ

5.主な出席者

日本:環境省高橋地球環境審議官、環境省竹本国際地球温暖化対策担当参事官、外務省石垣気候変動課長

フィジー:ジョン・コナー COP23事務局長、ニレッシュ・プラカッシュ経済省戦略計画室気候変動局長

オーストラリア:ドミニク・ランサン・クーパー オーストラリア外務・貿易省、メカニズム及び適応課課長補佐

6.参加国および地域・機関

参加国:

フィジー、インドネシア、キリバス、サモア、ソロモン諸島、ツバル、ナウル、マーシャル諸島、中国、タイ、EU、オーストラリア、日本、ニュージーランド

国際機関:

世界資源機関(WRI)、中国国家気候変動戦略研究・国際協力センター、オーストラリア国立大学、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)、豪州気候変動サービス(CCSA)、GIZ、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、国連開発計画(UNDP)、海外環境協力センター(OECC)

7.議論の概要 

 本セミナーでは、COP23におけるパリ協定の実効性を確保する実施指針の策定に関する実質的な作業の進展が期待されていることに鑑み、1日目にCOP23議長国フィジーより交渉と合意形成に向けたビジョンが示され、また研究機関により科学的な観点から1.5~2℃目標を達成し持続可能な開発目標を達成するためには、先進国・途上国を含むすべての国によるさらなる緩和・適応取組が望まれることや、CO2削減に加えハイドロフルオロカーボン(HFCs)の削減対策等、今後の取組で注目されつつある課題について議論が行われた。その後、科学的な知見に基づく適応を行うためのリスクアセスメントや、適応計画の実施と進捗管理(M&E)について議論が行われた。2日目は、各国が決定する自主的な貢献(NDC)の取組の進展状況に関する報告と、パリ協定の下での透明性制度の在り方を検討するため、既存制度の下での報告やレビューの経験の共有、さらにそれらを実態で支える国内制度におけるデータや情報収集・組織体制等の課題について意見交換が行われた。また、島しょ国を含む途上国の取組を促進するための二国間・多国間支援についても議論が行われた。

 両日ともパネルディスカッションやグループ別議論などインタラクティブな議論の時間を十分確保することにより、各国間の経験や知見の共有・理解の促進が進み、多くの参加者より好評を得た。議題別に共有・議論された結果概要は以下の通り。

(1) 2018年及びそれ以降に向けた気候変動国際制度構築に向けた議論

○ COP23の中心となるパリ協定の下での実施指針に関する議論について、議長国であるフィジー政府からビジョンが提示された。それらの主な内容としては、気候変動の科学的知見に基づいて多国間コンセンサスによるUNFCCCの下での作業を進展させること、パリ協定実施ガイドラインの作成を進め2018年の促進的対話(Facilitative Dialogue)のプロセスを設計する協議を行うこと、脆弱性の高い国のレジリエンスを高め、気候資金へのアクセスを含むリソースへのアクセスを可能にすること、2020年以降の取組について国家及び非国家主体との連携を加速させることなどが挙げられた。

〇 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)以降、締約国によるNDCを積み上げた場合においても、1.5~2℃目標を達成するためにはさらなる緩和対策を行う必要があることは明らかであり、2018年の促進的対話に向けて各国が取組を行う必要性が指摘された。また、モントリオール議定書キガリ改正により、これまで手がついていなかった途上国におけるHFCsへの対策も進めることが重要であるとの指摘がなされた。

(2)適応計画策定に反映される気候変動リスクアセスメント

〇 アジア太平洋地域において、適応計画策定の取組が進展している中、脆弱性に関する基本的理解と、様々な課題の優先順位付けを行う上で関係者間のコンセンサスを形成するうえで気候変動リスクアセスメントの重要性が高まっていることが指摘された。

〇 気候変動は、持続可能な開発に対するリスクを高め、その達成の脅威となっているとの認識が広まっている。例えば、「気候変動に伴うアジア・太平洋地域における自然災害の分析と脆弱性への影響を踏まえた外交政策の分析・立案」(平成29年、外務省)において指摘されているように、気候変動と安全保障、とりわけ社会経済安定に脅威を与えており、これらに対処するためには、様々な利害関係者との協力の下、これまでに取られてきた適応概念を超える包括的な政策の対応を取る必要がある。その際においても、意思決定と合意形成を円滑にする科学的知見に基づくリスクアセスメントを行うことが効果的である。

〇 取組の進展に合わせ、関連するデータについては徐々に入手可能となってきたが、それらをどのように活用するかについては知見が不足している国もあり、これらについては、地域協力や経験の共有を通じて能力を向上していくことが望ましい。環境省においては、「気候変動適応情報プラットフォーム(AP-PLAT)」を立ち上げ、他のイニシアチブと共同しながらこれらの後押しを図っていくことが紹介された。

(3)気候変動適応計画の実施と進捗確認

〇 国別適応計画(NAP)等の実施に当たり、多くの国で共通して課題として挙げられるのは、省庁間及び政府・地方自治体間等の調整と共同であり、実施体制の構築・強化を行うことが必要である。

〇 国別適応計画の効果的な実施は、適応を含む地域の開発計画とその下での活動に依拠することが多い。そのため、地方自治体や地域の利害関係者を巻き込んだ適応課題の主流化の取組を行うことが有効であるとの認識がなされた。

〇 多くの適応策については、緩和策と比較して計画策定と実施、具体的な成果の実現に至るまでを中・長期の時間軸で考える必要があることが多い。他方、適応と緩和のコベネフィットが見いだされる分野もあることから、国や地域の開発計画の中で統合的に取組を実施することが望ましいことが指摘された。

〇 適応計画については、実施が開始されてまだ間もないことから、実施と更新のサイクルに合わせて精度の向上を進めていくことが今後の課題となる。

〇 意義のある適応計画の実施のためには、主要な利害関係者の主体的な参加を確保することが重要であり、また地域に根差した伝統的な知見を有効に活用し、相互のコミュニケーションを重視した環境づくりを行うことが有効であることが認識された。

(4)パリ協定実施のための各国の取組の進展

〇 UNFCCC条約事務局より、2020年に実施を開始するパリ協定に向けた交渉スケジュールが示された。直近のマイルストーンとしては、2018年に予定されている促進的対話があり、それに向けた取組をCOP23で進めることが期待されている。また、いくつかの国からはNDCの見直しの提案が条約事務局に送付されているが、これについての扱いが必ずしも明らかでないことも説明された。

〇 アジア太平洋地域におけるNDCの実施に向けた国内作業の進展状況が報告された。それらによれば、国内での法制化、国やセクター、地方での開発計画への反映、実施のモニタリングとそのための組織体制の構築などが主要なものとして紹介された。

〇 NDC実施のリソース確保については、国内での予算確保や民間セクターからの資金動員に加え、緑の気候基金(GCF)の活用について関心が高まっており、アジア太平洋地域においても認証機関(AE)が活動を始めている。GCF資金を有効に活用するためには、各国における関係機関のキャパシティ・ビルディングを進めることが重要である。

(5)パリ協定の下での透明性制度設計に活用できる現状の透明性制度からの教訓

〇 2020年までの国際制度においては、カンクン合意及びダーバン決定の履行として、途上国については隔年更新報告書(BUR)と促進的意見共有(FSV)が実施されている。アジア太平洋諸国においてはいくつかの国がこれらのプロセスを経験しており、その結果、取組の漸進的改善を行うための技術的インプットを他の参加国から得られたことから、これらの経験や教訓をパリ協定の下での透明性制度の設計にも活用することが重要であるとの指摘がなされた。

〇 パリ協定の下での透明性制度の設計に当たっては、各国の取組の実施状況や課題についても留意することも検討がなされた。アジア太平洋各国からは、省庁横断の組織体制や、既存の報告制度の活用などが議論された。一方で、島しょ国においては、大規模な国内制度を構築することは現実的ではないことから、既存の制度の活用や地域機関の活用などの考えが共有された。

〇 パリ協定の下でのNDCおよびNAPの進捗状況を報告に記載する情報について、各国間の比較可能性や共通の要素を確保しつつ、各国の状況を踏まえて決定することが必要であるとの認識がされた。

○ 緩和の透明性においては排出量インベントリとNDCで取り扱われるデータの間には性格の違いがあること、また、適応の透明性に関しては気候リスクデータの整備に各国の関心が集まった。

(6)パリ協定実施のための協力

〇 アジア太平洋諸国では、NDC等パリ協定実施準備を行うための協力が進展しつつある。これらについては、UNFCCCやパリ協定の目標を達成すると同時に、持続可能な開発目標(SDGs)等のも踏まえ、各国の事情に柔軟に対応を行う協力の形態を模索することが重要である。

〇 本セミナーにおいて照会がなされた適応情報プラットフォームやアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)、透明性のためのキャパシティビルディング・イニシアチブ(CBIT)、緑の気候基金(GCF)などの取組を各国が主体的に活用することが重要であることが認識された。

以上

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策担当参事官室
直通 03-5521-8330
代表 03-3581-3351
参事官 竹本明生(内線6772)
主査 寺岡裕介(内線6774)

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