報道発表資料

平成29年6月1日
保健対策
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平成27年度 大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査結果について

 この度、平成27年度の調査結果を取りまとめましたので、公表いたします。
 環境省では、公害健康被害補償法の昭和62年改正による第一種地域指定の解除に伴い、地域人口集団の健康状態と大気汚染との関係を定期的・継続的に観察し、必要に応じて所要の措置を講ずるために、大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査を平成8年度から毎年度実施しています。

1.調査結果の概要

 例年どおり、3歳児を対象とした調査(以下「3歳児調査」という。)及び小学1年生を対象とした調査(以下「6歳児調査」という。)を実施して、それらの調査結果についての単年度解析、並びに、平成8~27年度の3歳児調査及び平成16~27年度の6歳児調査のそれぞれを統合したデータを用いた経年・統合解析等を行った。また、平成27年度の6歳児調査回答者のうち平成23~24年度に実施した3歳児調査時に回答のあった者について追跡解析を行った。

 3歳児調査の対象者は全国36地域の約8万4千人(回答者は約7万1千人)であり、6歳児調査の対象者は全国37地域の約8万4千人(回答者は約7万1千人)であった。

 これらの解析の結果、呼吸器症状のうちぜん息については以下のとおりであった。

 3歳児調査及び6歳児調査ともに、単年度解析において対象者別背景濃度区分ごとの呼吸器症状有症率及び調査対象地域ごとの対象者別背景濃度の平均値と呼吸器症状有症率の検討において、大気汚染物質濃度が高くなるほどぜん息有症率が高くなる傾向はみられなかった。オッズ比による検討においても大気汚染とぜん息有症率に有意な正の関連性を示す結果は得られなかった。

 大気汚染物質濃度と呼吸器症状有症率の経年解析においては、大気汚染によると思われるぜん息有症率の増加を示す地域はみられなかった。

 統合解析では、対象者別背景濃度区分ごとの呼吸器症状有症率及び調査対象地域ごとの対象者別背景濃度の平均値と呼吸器症状有症率の検討において、大気汚染物質濃度が高くなるほどぜん息有症率(調整率)が高くなる傾向はみられなかった。オッズ比による検討においては、6歳児調査では大気汚染(SPM)とぜん息に有意な正の関連性(オッズ比1.03)を示す結果が得られたが、3歳児調査では有意な正の関連性を示す結果は得られなかった。SPM以外の大気汚染物質とぜん息については、3歳児調査及び6歳児調査ともに、有意な正の関連性を示す結果は得られなかった。

 追跡解析により、ぜん息発症率についても同様の検討(経年・統合解析を除く。)を行ったが、有意な正の関連性を示す結果は得られなかった。

 また、大気汚染物質以外でも、3歳児調査及び6歳児調査で、本人のアレルギー疾患の既往あり、親のアレルギー疾患の既往ありにおいて、単年度解析のオッズ比が2程度の有意な正の関連性を示す結果が得られた。統合解析におけるオッズ比の検討でも、同様の結果が得られた。

 なお、ぜん息以外の呼吸器症状有症率については、オッズ比の検討において、3歳児調査では、かぜひき回数(5回以上)とNO、NO、6歳児調査では、かぜひき回数(5回以上)とNOに有意な正の関連性を示す結果が得られた。

2.今後の課題

 これまでの調査報告では、3歳児調査(平成8~27年度の計20回)及び6歳児調査(平成16~27年度の計12回)の単年度解析で大気汚染(SPM)とぜん息又はぜん息(2年以内)において有意な正の関連性を示す結果が得られたことが過去に何度かあったが、常に有意な正の関連性を示すような一定の傾向として捉えられる状況にはなかった。統合したデータを用いた検討では、対象者別背景濃度区分ごとの呼吸器症状有症率、調査対象地域ごとの対象者別背景濃度の平均値と呼吸器症状有症率において、大気汚染物質濃度が高くなるほどぜん息有症率が高くなることを示す結果は得られなかった。6歳児調査のオッズ比による検討において大気汚染(SPM)とぜん息に有意な正の関連性(オッズ比1.03)を示す結果が得られたが、3歳児調査では有意な正の関連性を示す結果は得られなかった。

 追跡解析(平成16~27年度の計12回)においても、大気汚染(NO、NO)とぜん息の発症に有意な正の関連性を示す結果が得られたことが過去に一度あったが、常に有意な正の関連性を示すような一定の傾向として捉えられる状況にはなかった。

 環境調査における大気汚染については全般的に低下傾向にあるが、後述のPM2.5や光化学オキシダント等の他指標の検討も含め今後も大気汚染とぜん息の関連性について地域特性も踏まえて注意深く観察する。

 経年・統合解析においては、長期的な大気汚染の傾向を考慮して、例えば5年程度の統合したデータを用いて経年的に比較するなど、解析方法の検討を行う。

 また、追跡解析は、現在、単年度ごとの評価を行っているが、10年度分以上のデータが蓄積したことから、ぜん息の発症について経年・統合解析に係る評価方法及びデータの取扱いの検討を更に進める。

 PM2.5については、常時監視体制の整備が進められていることから、その状況を踏まえ、背景濃度を推計する等により、本調査で解析・評価するための手法について引き続き検討する。また、健康影響が懸念される光化学オキシダントについても検討を行う。

 なお、局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査(以下「そらプロジェクト」という。)の報告において、そらプロジェクトにより蓄積された科学的知見と結果を最大限に活用し、より効果的なサーベイランス調査となるよう留意することが必要との指摘を受けている。これを受けて、「環境保健サーベイランス・局地的大気汚染健康影響検討会」の下にワーキンググループを設置して継続して検討が行われているところであり、今後も引き続き検討を進める。


∗ ぜん息:(3歳児調査)平成20、25年度、(6歳児調査)平成19、21年度

 ぜん息(2年以内):(6歳児調査)平成19、21、25年度

⁑平成25年度

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境保健企画管理課保健業務室
直通:03-5521-8256
代表:03-3581-3351
室  長:倉持 憲路(6320)
室長補佐:田中 里依(6322)
主  査:津田 亮 (6327)

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