報道発表資料

平成29年5月30日
地球環境
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「ペータースベルク気候対話VIII」の結果について

5月22日(月)~5月23日(火)、ドイツ・ベルリンにて開催された「ペータースベルク気候対話VIII」に、我が国環境省から地球環境審議官が出席しました。
結果概要を以下のとおりお知らせします。

1.会合の概要

(1)日程・場所

 5月22日(月)~5月23日(火) 於 ドイツ・ベルリン

(2)主催

 ドイツ及びフィジー(共同議長:バーバラ・ヘンドリクス・独・環境・自然保護・建設・原子炉安全大臣及びバイニマラマ・フィジー首相)

(3)出席者等

 ドイツ(議長国)及びフィジー(COP23議長国)並びに、33か国の主要先進・途上国の閣僚級、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長、経済協力開発機構(OECD)事務総長、パリ協定に関する特別作業部会(APA)共同議長等が出席。日本からは梶原環境省地球環境審議官ほか、外務省、経済産業省から出席した。

2.議論の概要

 今次会合は、ボンでのAPA会合及び補助機関(SB)会合の終了後、G7サミットを週末に控える中開催された。出席者の多くの関心は米国が気候変動政策を見直し中である中、同国のパリ協定への関わり方に寄せられた。多くの出席者が、パリ協定の実施へのコミットメントを強調するとともに、脱炭素化経済に向けた潮流は不可逆的であり、気候変動対策と経済成長は両立するものであると述べ、米国がパリ協定にとどまるよう間接的に示唆した。クロージング・セッションにおいてもメルケル首相から、そのような考えに懐疑的な国に対して説得を試みる旨の発言があった。また、COP23議長を務めるバイニマラマ・フィジー首相が、フィジー語で意思決定における包摂性・透明性を意味する「タラノア」精神に則ってCOP23を運営していく旨述べ、多くの支持を得た。

 各議題の議論の概要は以下のとおり。

(1)様々な課題に直面する世界における政治的コミットメントの維持

 多くの出席者が、地政学的な不確実性に直面する中、パリ協定の実施へのコミットメントを強調するとともに、パリ協定は不可逆的であること、緩和及び適応努力に向けたグローバルな協力を継続することが必要性であることに言及した。また、多くの出席者が、脱炭素で強靱な経済社会への移行に向けた各国の取組や具体的な進展について紹介した。

我が国からは、パリ協定以前の議論に戻ることなく、2018年を期限とする実施指針等の策定作業を着実に進めパリ協定へのコミットメントを示すことの必要性、国内でNDCを実施する上での透明性の確保の重要性、長期戦略策定に向けてG7伊勢志摩サミット首脳宣言におけるコミットを踏まえて対応すること等を発言した。

(2)COP23への期待

 多くの出席者が、COP23の成果として、実施指針等の要素の特定、2018年促進的対話のデザイン、気候行動を強化する上での非政府主体の関与の促進に言及した。APA共同議長からは、先般終了したAPA会合において概念的な議論から技術的な議論へ成功裡に移行できたものの政治的課題が残存していること、COP23までの作業計画に合意できたことは前進であること、次なる課題はCOP23で実施指針等の構成を具体化することであるとの言及があった。これを受けて、実施指針等の要素を特定した後のテキストの作成のあり方に関しては、各国の見解をとりまとめてテキスト案を作成するべきとする意見とテキストありきではなく技術的議論を通じたプロセスを重視すべきとする意見があった。また、2018年促進的対話の対象範囲として、緩和に焦点を当てるべきとする意見と緩和、適応及び支援を包括的に扱うべきとする意見があった。

 我が国からは、先般終了したAPA会合において次のステップに合意を見たことを評価した上で、実施指針等の要素の特定等に向けた実質的な作業の進展の必要性、透明性をはじめとする各アジェンダの関係性を踏まえた2018年の採択までの明確な作業計画の必要性等を発言した。

(3)パリ協定の国内実施:緩和及び適応とSDGs

 多くの出席者から、NDCの国内実施がパリ協定の根幹であること、緩和と適応はコインの表裏の関係にありSDGs(持続可能な開発目標)と密接に連関していることへの言及があった。その関係で、NDCパートナーシップがNDC実施における協調支援や知見共有の触媒となっていることに幅広い支持があった。また、特に小島嶼国にとって適応行動は喫緊の要請であり、そのために気候変動リスク保険が有効であるとの言及があった。

 我が国からは、適応計画を開発アジェンダの中で主流化していくことの重要性、科学的知見に基づく脆弱性・リスク評価を踏まえた適応計画の策定の必要性、我が国の貢献策としてアジア太平洋諸国への適応支援策やUNEP等とともに取り組んでいるGlobal Centre of Excellence on Adaptation(GCEA)発足も含めた気候リスク情報の充実化、アーカイブ化が世界全体の気候変動への強靱性を強化につながると発言した。

(4)持続的な経済成長の触媒としての気候変動

 冒頭、グリアOECD事務総長から、G20議長国であるドイツからの要請で作成した「気候への投資、成長への投資」報告書のプレゼンテーションがあった。その中で、低炭素で気候変動に強靱な発展に向けた取組が経済成長に資すること、その取組が遅れるほどコストが増大すること、2度目標に向けて今後15年間で平均約6.9兆ドルのインフラ投資が必要であること、炭素税の導入が科学的に証明されている有効なツールであること等への言及があった。これに対し、出席者から気候に配慮した投資の重要性や投資がもたらす雇用創出やイノベーションの促進といった副次的利益への言及があったほか、自国の経済を化石燃料に依存するサウジアラビアやノルウェーからは、再生可能エネルギー導入を含む経済の多角化に向けた取組とその課題について言及があった。

(5)メルケル・ドイツ首相及びバイニマラマ・フィジー首相(COP23議長)の基調演説

 メルケル首相は、本年のCOP23は開催地としてのドイツと議長国としてのフィジーの共同作業であるとし、パリ協定の実施に向けた実施指針等の策定や2018年促進的対話の意義に言及するとともに、再生可能エネルギーの導入のコスト低下がドイツを含む世界各地で普及加速化を可能にしている点に触れ、ハンブルグでのG20サミットではアフリカに焦点を当てて民間投資の可能性について議論したいと述べた。また、G7エルマウサミットにて発足したカーボンマーケットプラットフォームについては引き続き取組み、G20においても検討をしていきたいと述べた。最後に、G20サミットでは各国が気候変動の重要性について団結し運命を共有していることを示したいと述べ、懐疑的な国に対しては説得を試みる意向を示した。

 バイニマラマ首相からは、米国の政策がもたらし得る課題はあるが、パリ協定の実施に向けた各国の強い意志表明があった、特に気候変動に脆弱な国々による結束が見られたと述べた。また、フィジーがCOP23の成果の一つとして考えている海洋問題に関し、来月ニューヨークで開催予定の世界海洋サミットに対する各国からの協力を要請した。

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
代表03-3581-3351
直通03-5521-8330
室長  木野修宏(内線6772)
交渉官 永森一暢(内線6773)
係長  影山凡子(内線6789)

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