報道発表資料

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2017年04月28日
  • 地球環境

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)第22回政府間会合/科学企画グループ会合の開催結果について

 アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN: Asia-Pacific Network for Global Change Research)の第22回年次会合が平成29年4月26日(水)から27日(木)に、インド・ニューデリーで開催されました。
 APNは、アジア太平洋地域における地球変動研究推進を目的として、1996年に発足した政府間組織です。本会合では、途上国の研究能力向上のためのプログラムや若手研究者を対象としたプログラムなど3種類の公募型研究プログラムにおいて計20件のプロポーザルを承認しました。
 また、南アジア、東南アジア、東アジアの各地域委員会において研究ニーズなどの議論を行い、気候変動と人間の安全保障、防災、持続可能な開発目標(SDGs)、パリ協定に基づいた気候変動に対する各国の貢献(NDC)の実施に関する政策研究等を重点化していく方針が確認されました。
 先進国と途上国の共同研究を通じて科学的能力を向上させるAPNの枠組みは、IPCC、UNFCCCなど他の国際的な組織にも高く評価されており、今後も加盟国の気候変動政策等への貢献が期待されています。

1.開催日時・場所

  • 平成28年4月26日(水)~27日(木)
  • インド・ニューデリー

2.出席者

  • 16か国の政府代表及び/又は科学企画グループメンバー、招聘専門家等計53名
  • 我が国からは、環境省地球環境局総務課竹本研究調査室長、東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)福士教授(APN科学企画グループ共同議長)他が出席した。

3.主な成果

(1)公募プロジェクト

  • 地域共同研究プログラム(CRRP)については、公募に基づき提案された63件のプロジェクトの中から、気候変動の緩和と適応、生態系脆弱性評価、防災や都市強靭化などの分野に関する9件の新規プロジェクトが承認された。また、承認された9件のプロポーザルは質の高さ、研究者のジェンダーバランスが確認された。
  • 科学的能力の向上に関するプログラム(CAPaBLE)については、公募に基づき提案された53件のプロジェクトの中からシードグラントを含む8件の新規プロジェクトが承認された。女性農業従事者の気候変動に対する適応能力の強化を目的とした新規性に富む人材育成プロポーザル等が承認された。
  • 若手研究者を対象とした公募型共同研究プログラム(CRYS)については、8件のプロジェクトの中から、気候変動による干ばつ対策、農業セクターの気候変動適応、そして都市生物多様性等に関する3件の新規プロジェクトが承認された。また、承認されたプロポーザルの提案者は、過去のAPNによる若手研究者向けの人材育成ワークショップによりプロポーザル作成の能力強化が図られた研究者であることが確認された。

(2)APNの今後の活動方針

  • 初の若手研究者を対象とした公募型共同研究プログラム(CRYS)により承認されたプロポーザルの研究成果を、研究の対象地域・諸国における政策に活かすために、関係各国の政府代表と若手研究者が密に進捗を確認していくことが確認された。
  • 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づくパリ協定、持続可能な開発目標(SDGs)等の国際アジェンダの実施や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告サイクルに対してAPNとして、特に途上国の研究者による貢献をしていくことが必要である旨我が国から提案し、これを踏まえて来年度のプロジェクト公募等を行っていくことが確認された。
  • わが国より、各国特有の課題やニーズに対する研究を支援することで、各国の資金拠出を促進させることを提案し、これを踏まえて来年度のプロジェクト公募で優先すべき課題について各地域会合で議論された結果、気候変動と人間の安全保障、パリ協定の実施ための技術移転、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた水環境、そして都市・コミュニティ強靭性、防災等に関する科学的な研究に貢献する方針が確認された。

(3)その他議論

  • 開催国インドでは、地方政府における気候フレンドリーで持続可能な生活スタイルについて発表が行われた。物的消費における環境へ配慮した生活スタイル、廃棄物処理、バリューチェーン、持続的な開発目標との関連性、食料生産や交通効率、イノベーション、州レベルの気候変動適応政策についての発表が行われた。

【参考】APN概要

  • 日米のイニシアティブにより1996年に発足した政府間ネットワーク。我が国(環境省・兵庫県)は設立以来最大の拠出国としてAPNを支援している。事務局は神戸市。今回開催された年次政府間会合は同ネットワークの最高意思決定会合であり、22か国の政府代表が各国科学企画グループ代表と共にネットワークの活動について議論するもの。
  • 加盟国:オーストラリア、バングラデシュ、カンボジア、中国、フィジー、インド、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、韓国、ロシア、スリランカ、タイ、米国、ベトナム、ブータン

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)事務局/APNセンター(神戸市)

Website:http://www.apn-gcr.org

TEL:(078)230-8017 FAX:(078)230-8018 Email:info@apn-gcr.org

連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
直通:03-5521-8247
代表:03-3581-3351
室長 :竹本 明生(内線6730)
専門官:熊丸 耕志(内線7727)