報道発表資料

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2017年03月30日
  • 大気環境

光化学オキシダント調査検討会報告書の公表について

 大気汚染物質である光化学オキシダントについては、環境基準がほとんど達成されておらず、関東地方等を中心に依然として注意報の発令がみられています。
 このため、環境省では、「光化学オキシダント調査検討会」(座長:秋元肇 国立研究開発法人国立環境研究所客員研究員)において、平成26年度から光化学オキシダント濃度の長期的な傾向に影響を及ぼす要因の検討を進めてきました。具体的には、シミュレーションモデルを用いて、各種の要因の程度を明らかにすることや光化学オキシダントの原因物質の削減による感度解析等に取り組んできました。
 このたび、同検討会において報告書が取りまとめられましたので、お知らせします。

報告書の概要

(1)日本国内における光化学オキシダント濃度の長期変動要因

① 前駆物質排出量変化(固定蒸発発生源のVOC排出量削減)の影響

 固定蒸発VOC排出量の削減対策によって関東地域では光化学オキシダント新指標相当値(日最高8時間値の暖候期98%値)が低下し、特に東京都東部から埼玉県東部における地域で削減効果が大きいことが確認された。これらの結果は、2013年度までの測定濃度の解析結果とも整合した。

② 越境大気汚染増加の影響

 東アジア大陸における光化学オキシダント前駆物質(VOC及びNOx)排出量の増大によって、日本国内の広い範囲で光化学オキシダント新指標相当値が増加し、増加割合は関東地域よりも九州地域の方が大きいことが確認された。

③ NOタイトレーションの影響

 関東地域において、NOxの排出削減に伴いNOタイトレーション効果(一酸化窒素NOが光化学オキシダントと反応して二酸化窒素NO2となり、光化学オキシダントを減少させる効果)が低下し、光化学オキシダント濃度の減少抑制が示唆された。

(2)前駆物質排出量削減の感度解析

 関東地域におけるVOC及びNOxの排出削減効果を評価するために、10 km格子のシミュレーションモデルを用い、関東地域の2008~2010年を対象として、人為起源排出量の削減に伴う感度解析を実施することで、以下の点が確認された。

・関東領域内のVOC及びNOx排出量を一律に25~100%に削減した場合のシミュレーション結果によると、VOC削減は光化学オキシダント高濃度事例の減少につながるが、NOx削減だけを実施すると、東京湾周辺の南関東では高濃度事例が増加する可能性が示された。

・北関東ではVOCとNOx排出量を同時に削減すると、VOCのみの削減時より、光化学オキシダントの低減効果が同等か、やや大きくなる可能性が示された。

・物質別の排出削減効果では、内陸域でVOC及びNOxの同時削減が光化学オキシダントの低減に有効であるのに対して、東京湾周辺域では特にVOC削減による効果が顕著となった。

今後の予定

 検討会で取りまとめられた科学的知見を踏まえ、光化学オキシダントの原因物質の排出抑制対策の検討など、より適切な政策の立案に向けて取り組んでいきます。

*これまでの光化学オキシダント調査検討会の開催状況は、以下を御参照ください。

https://www.env.go.jp/air/osen/pc_oxidant.html

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通 03-5521-9021
代表 03-3581-3351 
課長   瀧口博明(内線6530)
課長補佐 船越吾朗(内線6556)
担当   井形瑛梨(内線6539)

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