報道発表資料

平成29年2月27日
地球環境
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アジア太平洋地域における適応計画プロセス及び適応行動の推進に関するワークショップの結果報告

 2月15日(水)・16日(木)の2日間、タイ・バンコクで「アジア太平洋地域における適応計画プロセス及び適応行動の推進に関するワークショップ(環境省とタイ天然資源環境省との共催)」が行われました。
 このワークショップには、アジア太平洋地域各国や関係機関の担当官・専門家が参加し、同地域の適応計画の策定プロセス(NAPプロセス)、適応行動の実施に関する事例から得られる経験や教訓について共有・議論し、活発な意見交換がなされ、互いに理解を深めることができました。

1.名称  

 アジア太平洋地域における適応計画プロセス及び適応行動の推進に関するワークショップ

 Workshop for countries of the Asia-Pacific region: Advancing National Adaptation Planning and Implementation of Adaptation Actions

2.日時  

 平成29年2月15日(水)・16日(木)

3.開催場所

 タイ・バンコク

4.主催  

 環境省

5.共催  

 タイ天然資源環境省(MONRE)

6.参加者

 アジア太平洋地域諸国(14カ国)の政府関係者や二国間協力機関、研究機関等(11機関)の適応計画や事業等の担当官・専門家など、計56名

7.議論の概要

 冒頭、ワークショップの目的と日本の適応に関する取り組み(アジア太平洋適応情報プラットフォーム構想を含む)、本ワークショップに先立ち環境省が実施した「アジア太平洋地域各国における適応計画プロセス(NAPプロセス)および適応行動の実施に関する10のケーススタディ」の結果概要を紹介しました。

●その後、各議題について、各国参加者や専門家による講演、パネルディスカッション、グループディスカッションの形式で、闊達な発表・意見交換を行いました。

●議題別に共有・議論された結果概要は以下のとおりです。

(1) NAPプロセスの地方展開に必要な関連ステークホルダー間の調整

○バングラデシュ、中国、インド、ミャンマー、ネパール、ベトナムから、各国のNAPプロセスの現状や他省庁、地方政府などの関連ステークホルダー間での調整メカニズムについて紹介されました。

○ベトナムでは通信省や教育省を巻き込んで、適応に関する報道や学校教育を実施していること、ネパールでは地方のニーズを組み込んだ計画策定を行っていることや、中国では都市レベルで適応行動計画を優先的に実施していることなどが紹介されました。いずれの国でも、中央から地方へのトップダウン、地方から中央へのボトムアップの両方のアプローチが必要であり、両者のバランスを取ることが重要であることが共有されました。

○SDGsとの連携もひとつの有効な手段であることや、特に後発開発途上国に関しては、貧困の撲滅など他の開発目標との調整が重要であることが共有されました。また、テーマ別のステークホルダーの特定が重要であり、それらのステークホルダーの関与を促進するフレームワークの整備(定期的な会合の開催など)が効果的であることの理解をより深められました。

(2)NAPプロセスを推進するための国内予算と国際的な支援

○インドから、国の適応計画推進時のNAPプロセスについて講演が行われました。すでに進んでいる他の目的の開発予算のなかにも気候変動に資するものは多く、それらに整合させる形でNAPプロセス推進の国内予算を担保すると同時に、追加的に必要な部分を明らかにするプロセスを実施していることなどが紹介されました。

○その後、緑の気候基金(GCF)、国際協力機構(JICA)、ドイツ国際協力公社(GIZ)、国連開発計画(UNDP)、持続可能な開発に関する国際研究所(IISD)より、各機関のNAPプロセスに関連する支援動向について、発表が行われました。

(3)開発計画などへの適応の主流化による国内予算の確保と国際的な支援の活用

○国内予算の確保のためには他省庁を巻き込むためのトップダウン的な調整が必要であること、その際はSDG等の開発目標にも沿わせることが有効であることが改めて共有されました。あわせて、適応をビジネスの機会と捉え、民間セクターの巻き込みも重要であることが共有されました。

○いくつかの国々では、予算を省庁間で移転するメカニズムを用意しており、脆弱性評価が適応関連予算を確保する根拠となりうることが共有されました。バングラデシュのように、政府や支援機関に対しプロジェクトの提案をする際のガイドラインを政府側が設けることが有効であるという意見も出されました。

(4)適応策の実施のためのデータ活用・管理

○タイより、農業分野での影響評価(適地評価)、UNDPとともに実施している適応策の便益評価手法の共有、フィジーのコンサルタントよりサモアにおけるNAPプロセス及びデータ活用の現状、スリランカより、情報共有のための組織体制の構築、タイの研究者より地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)のADAP-Tプロジェクトについて、発表が行われました。

○脆弱性評価、適応策の立案、実施等の各段階における種々のデータの必要性が改めて共有されました。また、データ収集にあたっては、組織体制の構築を地方レベル、国レベルで行う必要があること、特に実施の段階では地方レベルが主導し、国レベルはそれを監督する責任があることを共有しました。

(5)適応に関わるプロジェクトの横展開・スケールアップ

○バングラデシュ、カンボジアから、各国のコミュニティレベルでの適応プロジェクトの事例が共有されるとともに、分野横断的かつ包括的な対策の実行、住民への能力開発の重要性が強調されました。

○さまざまな適応関連プロジェクトやその横展開・拡大方針が共有されました。地方のステークホルダー同士の情報交換の場の構築が有効であることや、成功事例だけではなく、失敗事例や、またそれに対する対処の仕方についても共有される仕組みが必要であることが共有されました。また、政策・制度はトップダウン、地方のプロジェクトの拡大はボトムアップという流れが基本だが、政策・制度の立案の際に地方のプロジェクトに関する認識共有がより必要であるなど、多くの意見が出されました。

(6)各国の適応に係る計画・政策・プログラム・行動のモニタリング・評価(M&E)

○インドネシア、ネパール、GIZ、UNDP、UNEPから、計画・政策・プログラム・行動のモニタリング・評価手法について理解を深めました。

○まずは予算管理、責任の明確化などM&Eプロセスの目的を明確化する必要があること、影響の連鎖を可視化してモニタリングすべき指標を探し当てるプロセスが有効であること、SDGs等の開発目標でも用いられる標準的な指標を用いることが有効であることなどが共有されました。一方で、複雑なプロセスを導入しようとすると使われないため、まずはスモールスタートで簡単なモデルから導入すべきであり、試行錯誤しながらM&EシステムおよびNAPプロセス自体を改善していく必要があることが共通認識として確認されました。

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
代表03-3581-3351
直通03-5521-8330
室長   木野修宏 (6772)
室長補佐 工藤里恵 (6786)
主査   寺岡裕介 (6774)

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