報道発表資料

平成29年1月10日
総合政策
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(仮称)三大明神風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、10日、福島県で実施予定の「(仮称)三大明神風力発電事業」(株式会社ユーラスエナジーホールディングス)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、福島県いわき市遠野町において、総出力35,700kWの風力発電所を設置する事業である。
 環境大臣意見では、1)風力発電設備等の建設手法、道路計画等を見直すとともに、改変区域の大幅な変更がある場合には、必要な環境保全措置を講ずること、2)事後調査及び環境監視等を適切に実施し、必要に応じて、追加的な環境保全措置を講ずること、3)水環境等に対する影響について適切に予測及び評価を実施し、その結果に応じて沈砂池の配置等を十分に検討し、必要な環境保全措置を講ずること、4)人と自然との触れ合いの活動の場としての価値を有する登山道に対する環境影響を回避又は極力低減すること、等の措置を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を述べることができるとされている。
 本件は、福島県の「(仮称)三大明神風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続きが求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

 ・事業者   株式会社ユーラスエナジーホールディングス
 ・計画位置  福島県いわき市遠野町入遠野地内(対象事業実施区域 約427ha)
 ・出力    総出力35,700kW(2,100kW☓17基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

  (1)関係者との協議等を踏まえた事業計画の検討について

 本準備書は、事業計画の熟度が不十分で、事業者の評価が適切とは判断できない。
 このため、評価書の取りまとめに当たっては、必要な項目について関係機関及び専門家からの指導・助言を得るとともに、関係者との協議・調整を行った上で、環境保全措置の具体的な内容及び詳細な事業計画を検討し、それを踏まえ、調査、予測及び評価を再度実施すること。

  (2)工事計画の見直しについて

 対象事業実施区域のほぼ全域が森林法に基づく水源かん養保安林等の保安林及びいわき市水道水源保護条例に基づく水道水源保護地域に指定されている。また、改変区域の一部は山地災害危険地区に指定され、さらに、対象事業実施区域周辺は、南西側を中心に多くの河川が砂防法に基づく砂防指定地に指定されているなど、土地の改変に慎重を要する地域でありながら、現状計画では、風力発電設備等の設置により非常に多くの土地の改変が行われ、土工量が著しく多いものとなっている。
 このため、水環境、動植物の生息・生育環境、生態系等への重大な影響が懸念されるが、一方で、風力発電設備等に関する工事計画の見直しにより、環境影響を低減させることも可能と考えられる。
 このため、以下の事項を念頭に、風力発電設備等の建設手法、道路計画等を見直すとともに、改変区域の大幅な変更がある場合には、調査、予測及び評価を再度実施し、その結果に応じて必要な環境保全措置を講ずること。
1) 切土高、盛土高を減じ、土地の改変面積の最小化を図ること。検討に当たっては、擁壁工、補強土工、橋梁等の構造物の活用も念頭に置き、複数案から選択すること。
2) 切土量、盛土量のバランスをとることにより、残土の発生を最小限に抑えること。ただし、改変面積を減ずることを優先し、バランスをとることのみを目的とした改変面積の増加を行わないこと。
3) やむを得ず残土が生ずる場合には、まず、既存の残土処理施設で適切に処理すること。新たに土捨場を設けて残土を処理する場合には、盛土の安定性を確保できる場所、工法を選択すること。
4) 希少な動植物の生息地・生育地の改変を極力回避すること。
5) 1)から4)の措置を講じてもなお、大規模な土工量が発生する風力発電設備等については、これらの設置の取りやめや配置等の見直しを行うこと。

  (3)事後調査等について

 上記(2)の措置を講ずることを前提として、事業実施に当たっては、以下の取組みを行うこと。
1) 事後調査及び環境監視等を適切に実施すること。また、必要に応じて、追加的な環境保全措置を講ずること。
2) 上記1)の追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、措置の内容が十全なものとなるよう客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。
3) 事後調査及び環境監視等により本事業による環境影響を分析し、判明した環境の状況に応じて講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

[2]各論

  (1)騒音等に係る環境影響 

 対象事業実施区域の周辺には複数の住居地区が存在しており、このうちの本事業の搬出入経路付近の住居地区においては、騒音による生活環境への影響が懸念されるため、その環境影響を極力低減すること。また、近隣住民の生活環境への影響について確認するとともに、影響が懸念される場合には、追加的な環境保全措置を講ずること。

  (2)水環境等に対する影響

 対象事業実施区域のほぼ全域が水源かん養保安林の保安林及びいわき市水道水源保護地域に指定されている。また、改変区域の一部は山地災害危険地区に指定され、さらに、対象事業実施区域周辺は、南西側を中心に多くの河川が砂防指定地に指定されているなどから、工事中の排水及び土砂流出による水環境等に対する影響が懸念されるが、現状計画では、沈砂池の配置等及び排水機構等について十分な検討が行われていない。
 このため、[1](2)に記載した工事計画の見直しを行うとともに、水環境等に対する影響について適切に予測及び評価を実施し、その結果に応じて、沈砂池の配置等及び排水機構等を十分に検討し、必要な環境保全措置を講ずること。
 併せて、地下水への影響について、対象事業実施区域及びその周辺における地下水及び湧水の利用状況の把握に努めるとともに、環境監視を実施すること。

  (3)鳥類に対する影響

 対象事業実施区域及びその周辺では、希少猛禽類であるクマタカの生息が確認されている。このため、クマタカに対する環境影響を可能な限り回避・低減する観点から、供用後の事後調査を実施すること。
 また、事後調査において、クマタカの衝突等重大な影響が認められた場合は、追加的な環境保全措置を講ずること。

  (4)人と自然との触れ合いの活動の場に対する影響

 対象事業実施区域内には人と自然との触れ合いの活動の場である登山道が存在し、直接改変による影響のほか、隣接して風力発電設備が存在・稼働することにより、人と自然との触れ合いの活動の場としての価値が損なわれる等の影響が生じるおそれがある。
 しかし、本準備書においては、当該登山道の設置者・管理者との協議・調整が行われていないことに加え、利用特性への影響に係る調査、予測及び評価並びに環境保全措置の検討が十分に行われていない。
 このため、設置者・管理者と十分に協議・調整を行うとともに、利用特性を考慮して、本事業による環境影響を適切に調査、予測及び評価すること。
 また、それらを踏まえ、環境保全措置の具体的な内容を検討するとともに、人と自然との触れ合いの活動の場に対する影響を回避又は極力低減すること。



(参考)環境影響評価に係る手続き

 【配慮書の手続き】

  ・縦覧           平成26年10月21日~平成26年11月20日
  ・福島県知事意見提出  平成26年12月19日
  ・環境大臣意見提出   平成26年12月19日

 【方法書の手続き】
  ・縦覧           平成27年7月1日~平成27年7月31日(住民意見22件
  ・福島県知事意見提出  平成27年12月4日
  ・経済産業大臣勧告   平成27年12月18日

 【準備書の手続き】
  ・縦覧         平成28年7月29日~平成28年8月29日(住民意見30件
  ・福島県知事意見提出  平成28年12月28日
  ・環境大臣意見提出   平成29年1月10日

                                 ※環境の保全の見地からの意見の件数

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長   大井通博(内6231)
室長補佐 伊藤史雄(内6233)
審査官  日下 崇(内6248)

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