報道発表資料

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2016年12月22日
  • 総合政策

(仮称)三森峠風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、22日、福島県で計画されている「(仮称)三森峠風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」(日本風力開発株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、福島県郡山市及び須賀川市において、最大で総出力90,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備の配置等を検討するに当たって、騒音等や風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること、土砂や濁水等による自然環境への影響を回避又は低減すること、鳥類に関する調査、予測及び評価を行い、風力発電設備等の配置等に反映すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である日本風力開発株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 ・事業者   日本風力開発株式会社
 ・計画位置  福島県郡山市及び須賀川市(事業実施想定区域面積 約2,524ha)
 ・出力    最大90,000kW(2,0003,600kW級×2025基程度)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定
 風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

(2)事業計画の見直し
 [2]の(1)、(2)及び(5)により、騒音等及び風車の影に係る環境影響並びに鳥類に対する影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し等を行うこと。

(3)環境保全措置の検討
 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

[2]各論

(1)騒音等に係る環境影響
 事業実施想定区域の近隣には、複数の住居が存在しており、工事中及び供用時における騒音による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備等を住居から離隔すること等により騒音等による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影に係る環境影響
 事業実施想定区域の近隣には、複数の住居が存在しており、供用時における風車の影による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備を住居から離隔すること等により風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(3)土地の改変に伴う自然環境に対する影響
 事業実施想定区域には、砂防指定地等が存在しており、土地の改変に慎重を要する地域であることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、専門家等からの指導・助言を踏まえること。また、土砂や濁水の流出等による自然環境への影響に対する調査、予測及び評価を行い、これらの結果を踏まえ、土砂流出の可能性の高い箇所の改変を回避するとともに、土地の改変量を最小限に抑えること等により、自然環境への影響を回避又は極力低減すること。

(4)水環境に対する影響
 事業実施想定区域には、複数の河川源流部及び沢筋等があり、須賀川市の水道の取水地点が存在していることから、本事業の実施により、工事中の土砂や濁水の流出に伴う水環境への重大な影響が懸念される。このため、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、河川や沢筋等から距離を確保するとともに、土砂や濁水の流出等を最小限に抑えること等により、水環境への影響を回避又は極力低減すること。

(5)鳥類に対する影響
 事業実施想定区域及びその周辺においては、クマタカ等の希少猛禽類の生息が確認されているほか、ハクチョウ類及びガン・カモ類の渡り経路となっている可能性があることから、本事業の実施により、風力発電設備への衝突事故等による鳥類のへの重大な影響が懸念される。このため、風力発電設備の配置等の検討に当たっては、専門家等からの助言を踏まえ、適切に調査、予測及び評価を行い、必要に応じ環境保全措置を講ずることにより、鳥類への影響を回避又は極力低減すること。

(6)植物及び生態系に対する影響
 事業実施想定区域には、自然環境保全法に基づく自然環境保全基礎調査において植生自然度が高いとされた植生、森林法に基づき指定された保安林及び福島県自然環境保全条例に基づく緑地環境保全地域が存在し、豊かな自然環境のまとまりの場となっており、本事業の実施により、植物及び生態系への重大な影響が懸念される。このため、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、専門家等からの助言を踏まえて調査、予測及び評価を行い、これらの重要な自然環境の改変を回避又は極力低減すること。

(7)景観に対する影響
 事業実施想定区域及びその周辺には、高旗山を始めとする主要な眺望点及び景観資源が存在し、本事業の実施により、眺望景観への影響が懸念される。このため、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、フォトモンタージュを作成し、垂直見込角、主要な眺望方向や水平視野も考慮した客観的な予測及び評価を行い、眺望景観への影響を回避又は極力低減すること。

(8)人と自然との触れ合いの活動の場に対する影響
 事業実施想定区域には、主要な眺望点である高旗山及び東北自然歩道が存在しており、これら人と自然との触れ合いの活動の場への影響が懸念される。このため、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、これらの主要な人と自然との触れ合いの活動の場の状態及び利用の状況に関する調査を行い、事業実施による影響を回避又は極力低減すること。また、人と自然との触れ合いの活動の場への影響に関する調査及びこれに係る環境保全措置の検討に当たっては、福島県並びに人と自然との触れ合いの活動の場の管理者及び利用者等からの意見を踏まえること。


(参考)環境影響評価に係る手続き
・平成28年11月 7日   経済産業大臣から環境大臣への意見照会
・平成28年12月22日   環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長   大井通博 (内6231)
室長補佐 伊藤史雄 (内6233)
審査官  谷本昌敏 (内6253)
担当   知名光太郎(内6209)

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