報道発表資料

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2016年12月09日
  • 総合政策

(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、9日、大分県で計画されている「(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業に係る計画段階環境配慮書」(関西電力株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、大分県大分市及び臼杵市において、最大で総出力32,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備の配置等を検討するに当たって、騒音等や風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること、鳥類に関する調査、予測及び評価を行い、風力発電設備等の配置等に反映すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である関西電力株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 ・事業者   関西電力株式会社

 ・計画位置  大分県大分市及び臼杵市にまたがる行政界付近の尾根部

        (事業実施想定区域面積:約680ha)

 ・出力    最大32,000kW(2,000~3,000kW級 発電設備 最大16基程度)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定

 風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

(2)累積的な影響

 事業実施想定区域の周辺においては、他事業者による風力発電所が環境影響評価手続中であり、累積的な影響が懸念されるため、今後、他事業者との情報交換等に努め、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(3)事業計画の見直し

 [2]の(1)、(2)及び(3)により、騒音等及び風車の影に係る環境影響並びに鳥類に対する影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し等を行うこと。

(4)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

[2]各論

(1)騒音等に係る環境影響

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在しており、工事中及び供用時における騒音による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備等を住居から離隔すること等により騒音等による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影に係る環境影響

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在しており、供用時における風車の影による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備を住居から離隔すること等により風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(3)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺は、クマタカ等の希少猛禽類の生息が確認されているほか、サシバ等の渡り鳥の渡り経路となっている可能性がある。このため、風力発電設備への衝突事故や渡り経路の阻害等によるこれら鳥類への重大な影響を回避するよう、風力発電設備の配置等の検討に当たっては、鳥類に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ、影響を評価し、反映すること。

(4)景観に対する影響

 事業実施想定区域内には、主要な眺望点である樅の木山山頂が位置しており、本事業実施により、眺望景観への重大な影響が懸念される。このため、垂直見込角、主要な眺望方向、水平視野等を考慮した客観的な予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、眺望景観への影響を回避又は極力低減すること。

(5)人と自然との触れ合いの活動の場に対する影響

 事業実施想定区域内には、樅の木山セラピーロード※等が存在し、これら人と自然との触れ合いの活動の場への影響が懸念される。このため、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、人と自然との触れ合いの活動の場の直接改変を回避すること。また、関係自治体、利用者及び地域住民等からの意見を踏まえて、調査、予測及び評価を行い、影響を回避又は極力低減すること。

※樅の木山セラピーロード:大分市が推奨している健康の維持・増進やリラックス効果の発揮を目的とした樅の木山山頂に向かうハイキングコース


(参考)環境影響評価に係る手続き

・平成28年10月25日   経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成28年12月 9日   環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長  :大井通博(内6231)
室長補佐:伊藤史雄(内6233)
審査官 :鈴木崇之(内6253)
担当  :松浦航 (内6209)

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