報道発表資料

この記事を印刷
2016年11月21日
  • 総合政策

槇川正木ウィンドファームに係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、21日、愛媛県で実施予定の「槇川正木ウィンドファーム」(株式会社ガイアパワー)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、愛媛県宇和島市及び南宇和郡愛南町において、最大で総出力25,000kWの風力発電所を設置する事業である。
 環境大臣意見では、本事業による重要な鳥類に対する影響について事後調査を適切に実施することや、足摺宇和海国立公園の眺望点である篠山からの眺望景観に対する影響を回避又は極力低減すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書※について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を述べることができるとされている。
 本件は、愛媛県の「槇川正木ウィンドファーム」に係る環境影響評価準備書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続きが求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

・事業者   株式会社ガイアパワー

・計画位置  愛媛県宇和島市、南宇和郡愛南町(敷地面積:約116ha)

・出力    総出力25,000kW(単機出力2,500kW級×10基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

事業実施に当たっては、以下の取組を行うこと。

① 事後調査及び環境監視を適切に実施し、追加的な環境保全措置を講ずること。

② 追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、検討に当たっての主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。

③ 本事業による環境影響を分析し、講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

④ 周辺の他事業者による風力発電所との累積的な影響が懸念されるため、周辺の他事業者と情報を共有し、地域全体で効果的な環境保全措置を講ずること。特に、鳥類に対する移動経路の阻害やバードストライク事故等の情報について、積極的に情報共有を図ること。

[2]各論

(1)鳥類に対する影響

 対象事業実施区域及びその周辺では、クマタカ等の希少猛禽類の生息・繁殖が確認されているほか、サシバ等の渡り鳥の飛翔が確認されている。このため、本事業による重要な鳥類に対する影響を回避・低減する観点から、事後調査を適切に実施し、希少猛禽類及び渡り鳥等の重要な鳥類に対する重大な影響が認められた場合は、ブレード塗装等の鳥類からの視認性を高める措置、稼働調整等の追加的な環境保全措置を講ずること。
 併せて、重要な鳥類の死亡・傷病個体が確認された場合は、確認位置や損傷状況等を記録するとともに、関係機関との連絡・調整、死亡・傷病個体の搬送、関係機関による原因分析及び傷病個体の救命への協力を行うこと。

(2)景観に対する影響

 対象事業実施区域の東側に位置する篠山は、足摺宇和海国立公園の特別保護地区に指定されており、また、篠山山頂部からの眺望は四方に開け、宇和海及び内陸部の山並が雄大かつ変化に富み、愛媛県内でも代表的な展望所の一つとなっていることから、風力発電設備の稼働により、篠山から宇和海及び内陸部の山並を望む眺望景観に対して重大な影響が懸念される。
 このため、景観資源として「宇和海及び内陸部の山並」等を追加するとともに、調査、予測及び評価の手法を再検討した上で、スカイラインの切断及び山腹への介在等風力発電設備による篠山からの眺望景観に対する影響について、再度、調査、予測及び評価を行うこと。また、その結果を踏まえ、風力発電設備の基数削減、配置の変更及び機種の選定等の環境保全措置を講ずることにより、眺望景観に対する影響を回避又は極力低減すること。
 さらに、調査、予測及び評価の手法の再検討及び実施、環境保全措置の検討及び実施においては、専門家等からの助言に加え、地域住民、利用者及び管理者等の意見を踏まえること。

(3)地形の改変に係る環境影響

 本事業の工事計画は、風力発電設備の設置及び道路の新設・拡幅により大きな改変が行われる箇所があるため、水環境及び生態系等への影響が懸念される。このため、構造物の活用等により切土量、盛土量の最小化を図り、可能な限り地形の改変を抑制すること。


(参考)環境影響評価に係る手続き

【方法書の手続き】

・縦覧         平成25年3月26日~平成25年4月30日(住民意見12件

・愛媛県知事意見提出 平成25年8月20日

・経済産業大臣通知  平成25年9月4日

【準備書の手続き】

・縦覧         平成28年7月22日~平成28年8月22日(住民意見119件

・愛媛県知事意見提出 平成28年11月18日

・環境大臣意見提出  平成28年11月21日

※環境の保全の見地からの意見の件数

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局
環境影響審査室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8237
室長  :大井通博 (内6231)
室長補佐:伊藤史雄 (内6233)
審査官 :生田雄一 (内6239)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。