報道発表資料
1.開催日程及び場所
(1)日時
平成28年10月25日(火) 日豪中韓4カ国全体会議
平成28年10月26日(水) 第18回日豪渡り鳥等保護協定(注1)会議(午前)
第13回日韓渡り鳥等保護協力会議(午後)
平成28年10月27日(木) 第16回日中渡り鳥等保護協定(注2)会議(午前)
(2)場所
オーストラリア・ケアンズ
2.各会議の概要
(1)日豪中韓4カ国全体会合
各国から、前回会議以降に講じた渡り鳥保全施策や、渡り鳥に関する新たな調査研究結果が報告されました。このうち、中国からは、平成29年1月に野生生物保護法の改正法が施行予定であり、野生生物の生息地の保護の強化、食用利用に対する規制の強化、野生生物を使った製品についてラベリング制度の導入、罰則の強化等がなされることが紹介されました。
(2)第18回日豪渡り鳥等保護協定会議
○前回会議以降の渡り鳥保全の取組
豪州より、サルハマシギ、ホウロクシギ等シギ・チドリ類7種を国内法に基づく絶滅危惧種に指定したこと、渡り性シギ・チドリ類の保全計画を策定したこと等について報告がありました。絶滅危惧種に指定された種はいずれも、黄海等の渡りの経路上の生息地の減少に大きく影響を受けていると考えられ、これらの種の保全のためには関係国で連携することが重要であることを確認しました。
日本からは、日豪渡り鳥等保護協定に基づきオーストラリアから絶滅危惧種の鳥類について通報があったことを踏まえて、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下「種の保存法」という。)に基づく国際希少野生動植物種の追加・削除等を行ったこと等を報告しました。
○共同作業計画の作成
豪州より、次回会議において、又はそれまでの間に両国で行うべき作業を作業計画として取りまとめることについて提案があり、合意されました。
作業計画には、ホウロクシギに関するモニタリングの実施とその結果の共有、ベニアジサシ及びエリグロアジサシに関して行われた調査結果の共有、協定に基づく通報の対象となる絶滅危惧種の指定に関する情報交換等が盛り込まれることになりました。
○その他
風力発電施設へのバードストライクの防止のための取組について意見交換しました。
オオジシギの渡りの経路に関する研究結果について情報交換しました。
日豪両国は、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(注3)の設立を主導した国として、来年1月にシンガポールで開催される第9回パートナー会議の成功や、同パートナーシップの一層の発展に向けて、引き続き連携していくことを確認しました。
次回会議はおおむね2年後に日本で開催することが合意されました。
(3)第13回日韓渡り鳥等保護協力会議
○陸生鳥類のモニタリング
前回の日韓会議及び日中会議での議論を踏まえて、東アジアにおける陸生鳥類及びその生息環境のモニタリングの推進を目的とする日本、韓国、中国及びロシアが参画する協力イニシアティブが平成27年に発足したことに関して、当該イニシアティブの重要性及び会議の定期開催の必要性について確認しました。
○日中韓ズグロカモメ共同調査
平成22年度より行ってきた衛星追跡調査については、これまでにズグロカモメの重要生息地や飛来経路に関する一定の知見が集積されたことから、来年度に成果の取りまとめを行った上で終了し、今後は各国で越冬個体数の調査を行い、同種の個体数の推移を注視していくことになりました。
○鳥インフルエンザ
日本又は韓国のいずれかにおいて、野鳥における鳥インフルエンザの感染が確認された際に速やかに情報交換を行う重要性を再確認し、連絡窓口の更新について確認しました。
○ツル類の保全
韓国より、生物多様性管理契約制度等を活用したスンチョン市におけるナベヅル等のツル類の保全の取組について報告があり、日本からはナベヅル及びマナヅルの新越冬地形成に向けた取組を報告しました。また、ツル類の回復目標を設定する際の考え方等について意見交換しました。
○その他
日韓の渡り鳥保護協定の署名に向けた両国の検討状況について確認し合いました。
カンムリウミスズメに関して、韓国での繁殖状況や、日本における保全の取組について情報交換しました。
次回会議はおおむね2年後に日本で開催することが合意されました。
(4)第16回日中渡り鳥等保護協定会議
○協定付表の改正
日本から中国に対して、協定付表(日中間の渡り鳥リスト)の改正案を提示しました。中国では、近々、中国産鳥類目録が改訂される予定であり、その改訂後に改正案の確認を行うことになりました。両国は、可能な限り速やかに付表改正のための作業を完了させることで合意しました。
○渡り鳥保護に係る法規制に関する動向
日本から、鳥類も含めて、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種の追加指定のための検討を進めていることを報告しました。中国からも、野生生物保護法に基づく保護対象として鳥類種の追加指定を検討しているとの報告がありました。
○陸生鳥類のモニタリング
(3)の日韓会議での議論も踏まえて、日本、韓国、中国及びロシアが参画する陸生鳥類のモニタリング推進のための協力イニシアティブの会議の定期開催に向けて調整を行っていくことで合意しました。
○日中韓ズグロカモメ共同調査
(3)の日韓会議で合意された方針について、中国も賛同の意を表しました。
○鳥インフルエンザ
野鳥における感染の早期発見や感染状況の把握のための両国での調査の実施状況について情報交換するとともに、野鳥での感染が確認された際に速やかに情報交換を行うための連絡窓口の更新を確認しました。
○その他
両国における全国規模の水鳥個体数調査の実施状況や、ツル類の越冬状況等について情報交換しました。
次回会議はおおむね2年後に日本で開催することが合意されました。
(注1)正式名称「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」:昭和56年4月30日発効
(注2)正式名称「渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」:昭和56年6月8日発効
(注3)平成18年11月に発足した、アジア太平洋地域の渡り性水鳥の保全のための枠組み。法的拘束力を持たず、アジア太平洋地域の政府機関、国際機関、NGO等計35主体が参画し、情報交換や共同保全事業を行っている。WSSDタイプⅡパートナーシップ及びラムサール条約の地域イニシアティブとして認められている。
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課
直通 03-5521-8284
代表 03-3581-3351
課長 植田 明浩(内線 6460)
課長補佐 中島 慶次(内線 6465)
専門官 辻田 香織(内線 6468)