報道発表資料

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2016年10月28日
  • 総合政策

(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、28日、北海道で計画されている「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富に係る計画段階環境配慮書」(三浦電機株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、北海道稚内市及び天塩郡豊富町において、最大で30,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備の配置等を検討するに当たって、騒音等や風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること、鳥類に対する影響を回避又は極力低減すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である三浦電機株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 ・事業者   三浦電機株式会社

 ・計画位置  北海道稚内市及び天塩郡豊富町

       (事業実施想定区域面積 有明地区 約685ha 豊別地区 約929ha)

 ・出力    最大30,000kW(2,000~3,000kW × 10~15基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定

 風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

(2)累積的な影響

 事業実施想定区域の周辺においては、他事業者による複数の風力発電所が環境影響評価手続中であり、累積的な影響が懸念されるため、今後、新規に計画される事業者を含む他事業者との情報交換等に努め、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(3)事業計画の見直し

 [2](1)から(5)により、騒音等及び風車の影に係る影響並びに動植物及び生態系に対する影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直しを行うこと。

(4)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

(5)方法書以降の環境影響評価図書の作成

 複数案の検討過程の説明が不十分であるほか、適切に図示されていないことや多数の誤記があるなど、不備が見られるため、方法書以降の環境影響評価図書の作成に当たっては、客観的な根拠となる情報も含め、適切かつ正確に記載すること。

[2]各論

(1)騒音等に係る環境影響

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在しており、工事中及び供用時における騒音等による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備等を住居から離隔すること等により騒音等による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影に係る環境影響

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在しており、供用時における風車の影による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備を住居から離隔すること等により風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(3)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域の周辺には、渡り鳥の集団飛来地が存在するほか、海ワシ類の生息地となっており、風力発電設備への衝突事故や移動経路の阻害等によるこれら鳥類への重大な影響が懸念されることから、以下を実施すること。

1. 近隣には、ガン・カモ類及びハクチョウ類等の集団飛来地であるサロベツ原野が存在することから、適切な時期・回数の調査を実施し、渡りの経路及び餌場への移動経路を明らかにした上で、経路下を避けるとともに、可能な限り距離を確保すること。

2. 多数の海ワシ類の越冬や隣接する既設風力発電所におけるオジロワシ及びオオワシ等の衝突が確認されていることから、移動経路を調査し、海ワシ類の営巣地、ねぐらや餌場等の利用範囲や移動経路は避けるとともに、可能な限り距離を確保すること。専門家等からの助言を踏まえ、適切なを実施し、利用範囲並びに主な経路を避けるとともに可能な限り距離を確保すること。

(4) 動物(鳥類を除く。)に対する影響

 事業実施想定区域周辺には、重要な動物が生息しており、本事業の実施によりこれら重要な動物への影響が懸念されるため、専門家等からの助言を踏まえ、生息地の改変を回避又は極力低減するとともに可能な限り距離を確保すること。

(5) 植物及び生態系に対する影響

 事業実施想定区域内には、自然環境保全基礎調査において植生自然度が高いとされた植生等が存在するなど、豊かな自然環境のまとまりの場となっており、植物及び生態系への影響が懸念されるため、重要な自然環境のまとまりの分断を回避するとともに、改変を回避又は極力回避すること。

(6) 景観に対する影響

 事業実施想定区域周辺には、主要な眺望点及び景観資源が存在し、これらの重要な眺望景観への影響が懸念されるため、客観的な予測及び評価を行い、重要な眺望景観への影響を回避又は極力回避すること。

(参考)
環境影響評価に係る手続き

・平成28年 9月14日   経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成28年10月28日   環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8237
室長  :大井通博 (内6231)
室長補佐:伊藤史雄 (内6233)
審査官 :日下 崇 (内6248)
担当  :松浦 航 (内6209)

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