報道発表資料

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2016年09月06日
  • 総合政策

(仮称)八の沢風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、6日、北海道で実施予定の「(仮称)八の沢風力発電事業(株式会社斐太工務店)」に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、北海道石狩市八幡町において、総出力21,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、本事業の風力発電設備の設置による、希少猛禽類の移動経路の阻害、衝突事故等の重大な影響を低減するため、設置の再検討等の環境保全措置を講ずること、工事計画の詳細設計、仮設沈砂池等の配置等及び流末処理の方法等を十分に検討すること、周辺の住居における風車の影による影響を極力低減すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書※について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を言うことができるとされている。
 本件は、北海道の「(仮称)八の沢風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続きが求められる。

※環境影響評価準備書...環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

・事業者  株式会社斐太工務店
・計画位置 北海道石狩市八幡町(敷地面積:約208ha)
・出力  総出力21,000kW(単機出力3,000kW級×7基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

 事業実施に当たっては、以下の取組を行うこと。
①事後調査及び環境監視を適切に実施し、追加的な環境保全措置を講ずること。
②追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、検討に当たっての主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。
③調査の結果について、環境影響を分析し、講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

[2]各論

(1)鳥類に対する影響

 対象事業実施区域及びその周辺では、チュウヒ(絶滅危惧ⅠB類)をはじめとした希少猛禽類の生息及び繁殖が確認されているほか、石狩川下流域周辺をねぐらとして利用しているガン類及びハクチョウ類が対象事業実施区域を通過していることから、これら重要な鳥類に対する移動経路の遮断や衝突事故等による重大な影響が懸念される。
 このため、以下の措置を講ずること。
①チュウヒに対する重大な影響を回避するため、WT7については、設置の取りやめを含む抜本的な見直しを行うこと。また、WT5及びWT6についても配置の再検討によるチュウヒの重要な生息地からの離隔の確保、工事時期の調整及び繁殖期における稼働制限等の環境保全措置を適切に講ずること。
②希少猛禽類等の鳥類のバードストライクの発生を低減するために、ブレード塗装等の鳥類からの視認性を高める措置を設備稼働前に講ずること。
③事後調査を適切に実施し、影響が十分に低減できていないと判断された場合は、稼働停止等を含めた追加的な環境保全措置を講ずること。併せて、重要な鳥類の死亡・傷病個体が確認された場合は、確認位置や損傷状況等を記録するとともに、関係機関との連絡・調整、死亡・傷病個体の搬送、関係機関による原因分析及び傷病個体の救命への協力を行うこと。

(2)水環境等に対する影響

 対象事業実施区域及びその周辺には、河川及び溜め池等が存在しており、工事中の排水による水環境及び水生動物に対する影響が懸念される。
 このため、工事計画の詳細設計を検討し、伐採・改変面積及び土工量を可能な限り低減するとともに、仮設沈砂池等の配置等及び流末処理の方法等を十分に検討すること。その上で、水環境及び重要な水生動物に対する影響について適切に予測及び評価を実施し、評価書に記載するとともに、その結果に応じて必要な環境保全措置を講ずること。

(3)風車の影による環境影響

 対象事業実施区域の周辺には住居が存在しており、風力発電設備の稼働に伴う風車の影による環境影響が懸念されるため、その影響を極力低減すること。
 また、施設の稼働後に風車の影による影響を現場で適切に把握し、その結果、影響が十分に低減できていないと判断された場合には、追加的な環境保全措置を講ずること。

(4)騒音等による環境影響

 騒音等の事後調査について、事後調査計画を再検討し、その内容を評価書に記載した上で、適切に事後調査を実施すること。
 その結果、影響が十分に低減できていないと判断された場合には、稼働を調整又は停止する等の追加的な環境保全措置を講ずること。

(参考)環境影響評価に係る手続き

【方法書の手続き】
・縦覧        平成26年10月6日~平成26年11月6日(住民意見64件
・北海道知事意見提出 平成27年4月3日
・経済産業大臣勧告  平成27年5月1日

【準備書の手続き】
・縦覧        平成28年3月8日~平成28年4月7日(住民意見49件
・北海道知事意見提出 平成28年9月5日
・環境大臣意見提出  平成28年9月6日

※環境の保全の見地からの意見の件数

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局
環境影響審査室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8237
室長  :大井通博(内6231)
室長補佐:伊藤史雄(内6233)
審査官 :日下 崇(内6248)

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