報道発表資料

平成28年9月6日
地球環境
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「気候変動に関する日印政策研究ワークショップ」の結果について

8月30日(火)・31日(水)にインド・ニューデリーにて「気候変動に係る日印政策研究ワークショップ」が開催されました。参加国が定めた2020 年以降の約束草案と長期戦略との関係、2020 年以降の透明性の枠組みやグローバルストックテイクのあり方、適応報告書・透明性の枠組みやグローバルストックテイクにおける適応のあり方等について、両国の政策担当官・研究者が意見交換を行いました。

本ワークショップ(WS)は、気候変動対策に関する研究面からの知見について、両国の研究者が意見交換を行うものであり、インドより新・再生可能エネルギー省、エネルギー研究所(TERI)、エネルギー・環境・水カウンシル(CEEW)、アクション・エイド等、日本より地球環境戦略研究機関(IGES)、名古屋大学等に加え、欧米からは持続可能な開発・国際関係研究所(IDDRI)、世界資源研究所(WRI)、アメリカン大学等の研究者のほか、在印各国大使館や援助機関の気候変動に係る関係者が出席しました。

1. 開催地

インド・ニューデリー

2. 開催日

平成28年8月30日(火)・31日(水)

3. 議題

参加国が定めた2020年以降の約束草案(Nationally Determined Contributions:NDCs)と長期戦略、2020年以降の透明性枠組みやグローバルストックテイクのあり方、適応報告書・透明性枠組みやグローバルストックテイクにおける適応のあり方

4. 概要

開会セッション

 日本側より、全ての国が参加するパリ協定の合意が気候変動に係る歴史のなかで非常に重要であること、今年からはパリ協定の実施に向け、マラケシュで開催されるCOP22 ではパリ協定の実施に向けたルールに関する議論を着実に進めていくことが重要であることが表明された。インド側からは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下での国際交渉の進展を評価しつつ、今後は各国が提出したNDCs を地球規模で5年ごとに見直すサイクルが、各国の野心の向上や長期目標の達成に向けて重要であること、同国においてはNDC で宣言した通り、2030 年までにクリーンエネルギーを増加させるために、低炭素技術の開発や普及が必要であることが強調された。

セッション1:約束草案と長期戦略

 日本の研究者より、日本のNDC と長期目標を考慮し、独自のモデルにより評価した2050 年までの排出の道筋について紹介が行われた。日本とEU より、G7 やEU 等の共同声明で宣言されたパリ協定の早期締結、NDCs を実施していくための省エネ政策や再エネ開発促進策、長期戦略の検討状況、パリ協定2条と各国の長期目標・NDCs との整合性の確保の仕方、国内の行動を強化していく方策等が共有された。

 議論では、長期戦略が各国にGHG 削減を促す重要な役割を果たし、関係者に低炭素社会への移行を示すシグナルとなること、IPCC のような科学コミュニティからのインプットが効果的であること、具体的な行動を強化するために関連するセクター(特にエネルギー業界)を巻き込んでいくことが必要であることが指摘された。インドにおいては、再生可能エネルギーの達成目標(2030年までに300 ギガワット)の実現に向けて、国連の技術メカニズムだけではなく、二国間協力による技術移転等の支援が重要であると強調された。

セッション2:2020 年以降の透明性の枠組みのあり方

 最初に、緩和分野に焦点を当て、透明性の枠組みを構築していくプロセスにおいて考慮すべき点として、各国から提出されたNDCs を比較するための指標の検討、枠組みの「柔軟性」(能力の異なる国々の間のバランス)の確保の仕方等を取り上げて説明が行われた。

 参加者からは、透明性枠組みは、パリ協定の要であり、国際的にも各国内でも重要であること、各国がNDCs の目標の達成を目指す過程で、各国間の信頼を醸成するものであること、さまざまな能力を持つ国を配慮しつつ、将来、柔軟でダイナミックな1つの仕組み(Unified system)を構築していくことを目指すことが重要といった意見が出された。透明性枠組みの報告ガイドラインの作成に際しては、既に提出されたNDCs の情報を分析し、各国の取り組みの進捗を測ることができる、何らかの共通の指標を特定することが重要、共通のテンプレートを作ることも有用との指摘が行われた。また、透明性の枠組みの下での報告の実施に際しては、特に途上国にとって、地球環境ファシリティ(GEF)が構築した「透明性のための能力構築イニシアティブ(CBIT)」等からの支援が重要であることに加え、UNFCCC 下での経験(国別報告書や隔年報告書を検証するための多国間評価のプロセス等)から相互に学びあっていくプロセスが有益との意見も出された。

セッション3:グローバルストックテイクのあり方

 最初に、グローバルストックテイク(GST)についての概要説明が行われた後、GST のやり方、集約的な進捗をみるための情報の例、GST を通じた、各国に対する行動の促進とNDCs の野心(目標)の向上について、主に緩和分野に焦点があてられる形で議論が進められた。

 参加者からは、GST が、各国の取り組みを評価するのではなく、集約的な進捗を評価する場であり、各国に抱えている課題を特定し、野心の向上のために追加的な行動を促し、国際社会に対して必要な(追加的)協力を求める機会を提供するものであることが強調された。GST を行う上で有益なインプットの例としては、NFCCC 事務局からの各国のNDC の統合報告書のほか、IPCC 等科学的な知見、関連する国際機関(例:ICAO やIMO等)や研究者からのインプットが挙げられた。さらに、透明性枠組みの下での各国からの報告をベースに、各国共通の挑戦や課題等を共有することも有益なインプットになり得るという指摘も行われた。GST の進め方としては、UNFCCC の下で行われてきた既存の経験(例:2013-15 年レビュー)が役に立つこと、技術的な対話と(ハイレベルな)政治的な対話は分けて行われるべきこと、2018 年に開催される促進的対話が、締約国にとっての良いエクササイズの場となること等の意見も出された。

セッション4:適応

 最初に、パリ協定における適応報告書の概要、透明性の枠組みとグローバルストックテイク(GST)における適応の扱いについて説明がなされた後、適応報告書と透明性の枠組みの下での報告に含めうる基礎的な情報、GST のためにインプットされるべき情報源について意見交換が行われた。
 適応報告書と透明性の枠組みの下での報告に含めうる基礎的な情報については、5カ年開発計画や適応計画・適応策等が挙げられ、特に透明性の枠組みの下での報告には各国の適応策の情報やその進捗、教訓等を含めることが重要だと指摘された。また、各国が提出する情報については柔軟性が確保されているものの、途上国にとっては何らかの指針や共通のフォーマットが用意されることが望ましいといった意見も出された。一方、パリ協定では、途上国への追加的な負担を避けるため、適応報告書の提出や更新が義務づけられていないこと、適応報告書は透明性の枠組みの下で提出の対象とはなっていないことを指摘する研究者もいた。GST へのインプットについては、各国の適応報告書や透明性の枠組みの下での報告が対象となるが、適応と適応のための支援の効果と十全性を検証するために、何らかの(定量的な)指標が有用と考えられるが、困難も伴うことが指摘された。

※ 当日の発表資料等については、発表者の了解が得られたものについて当省或いは地球環境戦略機関(IGES)のホームページに後日掲載する予定。

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
平成28年8月29日(月)
直通 03-5521-8330
代表 03-3581-3351
室長  :木野 修宏 (内線6772)
室長補佐:浦上 亜希子(内線6774)

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