研究機関における競争的資金に係る不適切な経理処理について

１．不適切な経理処理の概要

不適切な経理処理が確認された事業等の概要は以下のとおりです。

（１）環境研究・技術開発推進事業（現、環境研究総合推進費）

研究課題名　　　　　　　ダイオキシン類汚染土壌・底質の分解酵素を用いた浄化システムの開発

研究期間　　　　　　　　平成19年度～21年度

代表研究実施機関　　　　高砂熱学工業株式会社

研究再委託機関　　　　　独立行政法人森林総合研究所（当時）

研究分担者　　　　　　　中村　雅哉（元チーム長）

不適切な経理処理の種類　預け金及び一括払い

不適切な経理処理の金額　1,067,028円　　　

不適切な経理処理の内容　

　上記の研究分担者は、契約した研究用物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成させ代金を支払い、後日これを利用して代金を支払った研究用物品とは異なる物品を納入させていた（預け金）。また、正規の経理手続きを行わないまま、随時、物品を納入させた上で、後日、納入された物品とは異なる研究用物品の契約依頼票を提出し、業者から同物品の納入書等を提出させて代金を支払っていた（一括払い）。

（２）環境研究総合推進費

研究課題名　　　　　　　熱帯雨林の減少に伴う森林劣化の評価手法の確立と多様性維持

研究期間　　　　　　　　平成21年度～23年度

代表研究実施機関　　　　国立大学法人愛媛大学

研究再委託機関　　　　　独立行政法人森林総合研究所（当時）

研究分担者　　　　　　　津村　義彦（元室長）

不適切な経理処理の種類　一括払い

不適切な経理処理の金額　634,725円　　　

不適切な経理処理の内容　

　上記の研究分担者は、正規の経理手続きを行わないまま、随時、物品を納入させた上で、後日、納入された物品とは異なる研究用物品の契約依頼票を提出し、業者から同物品の納入書等を提出させて代金を支払っていた（一括払い）。

　なお、上記の両事案とも、不適切な経理処理が行われた研究費は、研究で使用する消耗品・研究物品の購入費に充てられており、私的には使用されていないことを環境省において確認しています。

２．環境省が行う措置の内容及び今後の対応

　環境省は、「環境省の所管する競争的研究資金における不正使用及び不正受給に係る研究費の執行停止、応募資格の制限及び研究費の返還等に関する規程」（平成17年3月22日環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部、総合環境政策局、地球環境局決定、平成25年2月1日改正）に基づき、以下の措置を講じることとします。

（１）応募資格の制限

　上記１．（１）の研究者に対しては、研究費が返還された年度の翌年度以降3年間、１．（２）の研究者に対しては、研究費が返還された年度の翌年度以降2年間、環境省の所管する競争的資金への応募資格の制限を行います。

（２）研究費の返還

　上記１．（１）の高砂熱学工業株式会社に対し、不適切に支払われた研究費1,067,028円（間接経費及び消費税を含む）及び利息年5％を、期限を定めて返還させます。

　上記１．（２）の愛媛大学に対し、不適切に支払われた研究費634,725円(間接経費及び消費税を含む)及び利息年5％を、期限を定めて返還させます。

（３）今後の対応

　今後、このような不適切な経理処理が発生することのないよう、「研究機関における競争的資金の管理・監査のガイドライン（実施基準）」（平成19年3月30日総合環境政策局長決定、平成26年9月25日改正）に沿った取組を関係者に周知し、一層の不正の防止に努めてまいります。

　なお、環境研究総合推進費については、平成28年10月より独立行政法人環境再生保全機構へ配分業務等の移管を予定しているところ、環境省は同機構と共に研究経費の適正な執行に向けた管理・執行体制の構築、ルールの周知徹底等に取り組んでまいります。