報道発表資料

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2016年09月15日
  • 大気環境

平成27年度アスベスト大気濃度調査結果について

 環境省では、アスベスト(石綿)による大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止対策を検討するための基礎資料とするとともに、日本で暮らす方々に対して情報提供するため、平成17年度より毎年度、大気中のアスベスト濃度を調査しています。このたび、平成27年度の調査結果を取りまとめました。
 平成27年度は全国44地点、110カ所で測定しました。一部の解体工事の作業現場や旧石綿製品製造事業場などでアスベストが確認されましたが、その他の地点においては、アスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度について、これまで調査した一般大気環境とほぼ変わりませんでした。
 平成28年度も引き続き大気中のアスベスト濃度を測定する予定です。

1.調査目的

 本調査は、平成17年12月27日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、アスベストによる大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するために実施しているものです。

2.調査方法

(1)調査地点

 旧石綿製品製造事業場等、廃棄物処分場等および建築物の解体工事等の作業現場を始め全国44地点110カ所で、大気中のアスベストおよびその他の繊維を含む総繊維数濃度を測定しました。このうち、福島県における継続調査地域の測定は、「東日本大震災アスベスト対策合同会議」でも報告しています。

(2)調査方法および測定精度の管理等

 試料の採取および分析は「アスベストモニタリングマニュアル(第4.0版)」(平成22年6月 環境省水・大気環境局大気環境課)に基づいて行いました。これは、位相差顕微鏡を用いてアスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度を求め、総繊維数濃度が1本/Lを超過した場合は、電子顕微鏡で物質を同定する方法です。
精度管理のため、測定者に対する講習会等を実施しました。

 調査の方法、調査結果の評価等については、「アスベスト大気濃度調査検討会」(座長:神山宣彦/東洋大学 客員教授)にて専門家の助言を得ました。

3.調査結果

(1)地域分類別の総繊維数濃度およびアスベスト成分の割合

 調査結果の概要は、表1のとおりです。また、表1のうちアスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点におけるアスベスト成分の割合およびアスベスト繊維数濃度は、表2のとおりです。一般環境大気中の調査結果のほか、解体等現場の集じん・排気装置の排気口等における調査結果も併せて示しています。
 なお、各調査地点の地域名、調査期間、アスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度等は、別添1に記載したとおりです。

 ア 発生源周辺地域

 調査を実施した19地点のうち、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点は旧石綿製品製造事業場等および解体現場の2地点であり、いずれもアスベストが確認されました。このうち、旧石綿製品製造事業場等の1地点については、総繊維の90%はアスベストではなく10%がアスベストと疑われる繊維と判定されました。この事業場については、自治体による聴き取りが行われるとともに、集じん装置の増設等の飛散防止対策が講じられています。また、解体現場の1地点については、セキュリティゾーン出入口内側において、アスベスト繊維数濃度が10本/Lを超えましたが、建物周辺の総繊維数濃度は0.11~1.5本/Lであり、アスベスト繊維は確認されなかったことから、周辺環境への影響はなかったと考えられます。

 イ バックグラウンド地域

 調査を実施した21地点のうち、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点はありませんでした。

 ウ その他の地域(破砕施設)

 調査を実施した4地点のうち、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点が1地点ありましたがアスベストは確認されませんでした。

 表1 地域分類別の総繊維数濃度結果

 注1)

解体等現場:建築物又は工作物の解体、改造又は補修作業現場

建物周辺 :解体等現場の直近で一般の人の通行等がある場所との境界

セキュリティゾーン出入口:作業員が出入りする際にアスベストが直接外部に飛散しないように設けられた室の出入口の内側又は外側

集じん機排気口:集じん・排気装置の外部への排気口内部又は排気口付近

 注2)

(参考)は表1の解体現場と同一の地点における調査結果(地点数は内数)

 表2 総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点におけるアスベスト成分の割合およびアスベスト繊維数濃度

 注:

透過電子顕微鏡(TEM)分析では、総繊維数濃度の90%はアスベストではなく、10%がアスベストが疑われる繊維と判定されました。

(2)継続調査地域における調査結果の推移

 今回の調査のうち29地点60カ所については、過去の調査(平成17年度~平成26年度)と同一地点において調査を実施しました。当該地点について、調査地域分類別に集計・整理した平成27年度の調査結果は、表3のとおりでした。平成17年度~平成27年度の調査結果を比較した表は表4、グラフは別添2のとおりであり、総繊維数濃度は、低いレベルで推移しています。

 表3 過去と同一調査地域における平成27年度調査結果(総繊維数濃度)

 表4 同一調査地域における総繊維数濃度の推移(平成17年度~平成27年度)

4.今後の対応

 環境省では、引き続きアスベストによる大気汚染の状況を把握するため、平成28年度も大気中のアスベスト濃度調査を行う予定です。

 また、東日本大震災の被災地である福島県においても、継続して大気濃度調査を実施しています。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課

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