報道発表資料

平成28年6月28日
地球環境
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第25回気候変動に係るアジア太平洋地域セミナーの結果について

環境省は、タイ天然資源環境省天然資源・環境政策計画局及びオーストラリア外務・貿易省との共催により、6月20日(月)・21日(火)の2日間、タイ・プーケットにおいて「第25回気候変動に係るアジア太平洋地域セミナー(The Twenty-Fifth Asia-Pacific Seminar on Climate Change)」を開催しました。
今次セミナーには、アジア太平洋地域の途上国より16カ国、日豪EU、国際機関や研究機関等(約10機関)より約50名の気候変動に関する担当官・専門家等が参加し、各国が提出した2020年以降の約束草案((Intended) Nationally Determined Contributions:(I)NDCs)の実施準備の状況、既存の報告制度及び2020年以降の透明性の枠組み、NDCsの実施や国内の透明性の枠組みの強化に向けた支援のあり方等について活発な議論が行われました。環境省からは森下大臣官房審議官他が出席しました。

1.日時

平成28年6月20日(月)・21日(火)

2.主催

環境省

3.共催

タイ天然資源環境省(MONRE)天然資源・環境政策局(Office of Natural Resources and Environmental Policy(ONEP))、オーストラリア外務・貿易省(Department of Foreign Affairs and Trade (DFAT))

4.事務局

海外環境協力センター(OECC)

5.開催地

タイ・プーケット

6.議論の概要

本セミナーでは、1日目に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)と第1回パリ協定特別作業部会(APA1)後の現状が研究機関等より共有された後、各国のNDC実施の準備に向けた組織的措置や利害関係者の関与、適応計画策定プロセス及び適応行動の実施の現状、適応報告書の想定しうる要素や提出することの便益、NDC実施と長期的な低GHG排出開発戦略含む関連作業の準備状況等につき、情報や経験の共有が行われた。2日目は既存の報告制度と2020年以降の透明性の枠組み、NDC実施と国内の透明性の枠組みに関する能力構築の支援プログラムや途上国からの支援ニーズ等につき、意見交換が行われた。

両日ともパネルディスカッションやグループ別議論などインターラクティブな議論時間を十分確保することにより、各国間の経験や知見の共有・理解の促進が進み、多くの参加者より好評を得た。議題別に共有・議論された結果概要は以下の通り。

(なお、当日の発表資料については、参加者からの許可を得たものについて、後日当省の同セミナー専用のウェブ(英語)に掲載予定)

(1)COP21とAPA1後の現状

  • 持続可能な開発・国際関係研究所が、パリ協定で合意された、各国の(I)NDCに基づく低炭素で強靭な道筋に向けた世界規模の努力のための新たな枠組み等を説明した後、UNFCCC事務局より、各国の(I)NDCの削減目標の積み上げと2度シナリオとの間に大きな乖離が依然としてあるため、各国が(I)NDCを分野別ロードマップや政策に位置づけ、NDCの実施を政府内で主流化することにより、NDCの早期実施が期待されていること等が共有された。その後、パリ協定と持続可能な開発目標との関係、(I)NDCの不確実性への対処、2018年の促進的対話やその後のグローバルストックテイクの役割等について活発な質疑応答が行われた。

(2)各国のNDC実施の準備に向けた組織的措置や利害関係者の関与

  • カンボジア、インドネシア、ラオス、タイ、ツバル、ベトナムより、(I)NDCの基礎になっている気候変動戦略や計画、異なる省庁間での調整、研究者、民間部門、NGOs等との調整、既存の枠組みに基づき設立されたタスクフォース等について、現状が共有された。
  • 全体議論では、NDCを実施のための国内計画に統合する際、マクロ経済モデルを用いたトップダウンアプローチとともに、関係省庁、自治体、産業界の役割を分担するために、関係省庁とともにボトムアップアプローチも取られるべきこと、関連する利害関係者の関与に際しては、削減目標の法的位置づけ、自国の報告制度、排出権取引制度の活用等が行われてきたこと、NDCを持続可能な方法で実施するためには予算措置が必要であり、国際的支援だけではなく、国内の予算措置を検討すべきといった意見が出された。

(3)適応計画策定プロセス及び適応行動の実施の現状、適応報告書の要素や便益

  • バングラデシュ、日本、マーシャル諸島、フィリピン、サモアより、国別適応計画プロセス(既存の計画への適応の主流化)は、各省庁の役割と責任にしたがい、国内の枠組みに基づいて効果的な方法で進めるべきこと、適応をセクターや地域の計画・予算に統合する必要性や、適応に係るアウトリーチや教育が、主要な利害関係者の関与や適応に関する報告やデータの提供を促す観点から重要であることなどが共有された。
  • 適応報告書の重要な要素の1つとして、将来、適応行動を強化するために各国が経験や教訓を共有し、相互に学びあう機会を持つことが挙げられ、報告を行うことで、国内の調整の促進のみならず、援助機関にニーズや優先事項を知らせ、国際社会からの協力を得るきっかけを得ることも可能といった意見が出された。

(4)NDC実施と長期的な低GHG排出開発戦略含む関連する作業の準備状況

  • 専門家より、(I)NDCを積み上げた排出削減量と2度目標の達成に必要な排出削減量の乖離について分析された様々な報告書の概要が紹介され、2度目標を達成するために残されている排出量を考慮すると、温度上昇は2100年までに1度しか上昇させられないこと、そのためNDCの完全実施が重要で、2030年以降は今よりGHG排出削減を早く進める必要があることなどが強調された。別の専門家からは、NDCの早期の実施を進めていくために、再生可能エネルギーの開発に対する技術的な支援を提供していることなどが共有された。
  • グループ別議論の冒頭、中国、東ティモール、マレーシア、ミャンマーより現状が共有された後、参加者より、費用便益の観点から各セクターにおける検証を含み、NDC実施のためのロードマップの作成を始めたこと、関係者間の責任や予算を割り当てたり、国内の透明性の仕組みを構築したりするうえで、課題があることなどが共有された。途上国では、各国の適切な緩和行動(NAMA)の策定や実施の経験が有益であること、各省庁の役割や責任を踏まえた異なるセクターの下での行動の細分化、活用される技術やメカニズム、一定の時間枠における検証プロセス(PDCAサイクル)等についても、各国の経験が共有された。

(5)既存の報告制度と2020年以降の透明性の枠組み

  • 研究者等より、パリ協定においては、条約下の経験に基づき、柔軟性を持った強化された透明性の枠組みを構築することの重要性が確認されたことが紹介された。
  • ある研究者からは、具体的な柔軟性の確保のオプションとして、既存の制度に基づく2つのシステム、2つのシステムから開始しつつ将来一本化するもの、能力に応じた段階的なアプローチ、(I)NDCのタイプ別などが紹介された。共通のモダリティ、手続き、ガイドラインについては報告する中身を改善し、検証や検討を通じ、各国の気候変動に係る行動を促進すべきと示唆された。別の研究者からは、共通の報告フォーマットを用い、共通の報告の要素を持つ一方、柔軟性が様々なレベルで適用されるべきだと示された。
  • 全体議論では、報告の準備と提出、検証の実施は、締約国に国内の能力と行動を強化する有益な機会を提供することが指摘された。アジア太平洋地域では、それぞれの経験を共有し、学ぶための材料が既にあることも確認された。
  • 多くの途上国にとって、国内の報告制度において、特に民間部門(エネルギー)、森林、その他関連分野におけるデータの保持者の関与が重要であり、国によっては国内の組織的措置を整え、データの提出を義務付けていることが共有された。

(6)NDC実施と国内の透明性の枠組みに関する能力構築の支援プログラム

  • 緑の気候基金は様々な金融ツールを通じ、途上国のNDC実施を支援していくこと、地球環境ファシリティはCOP21で決定した「透明性のための能力構築イニシアティブ」の実施の準備を進めていることを紹介した。他の国連機関や二国間協力機関等からも様々な能力構築プログラムが紹介された。ある国では関係省庁、開発援助機関等が参加し、調整するための情報共有の場が設立されていることが共有され、NDCの実施に向けた国内の協力体制の整備の重要性が強調された。

(7)途上国からの支援ニーズ

  • 途上国の中には主な行動、関係省庁の役割分担、組織・予算措置のための国内の法的枠組みを準備するNDC実施に向けたロードマップを検討し始めた国もあるが、多くの途上国は、全ての関連情報を統合するため、国別報告書、NAMAのような既存の計画・政策を見直すことが有益で、この中で費用便益分析等に係るリソースが重要で、これがNDC実施に係る行動の基礎になるべきといった議論が行われた。さらに議論では、多くの途上国では、データや情報の収集・一元的な管理が課題であり、これらを国内法で規定し、このための組織的措置や専門家チームの結成が必要であることが指摘された。

以上

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
代表:03-3581-3351 直通:03-5521-8330
室  長:木 野 修 宏 (6772)
室長補佐:浦 上 亜希子 (6774)

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