報道発表資料

平成28年6月28日
地球環境
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「気候変動に関する日中政策研究ワークショップ」の結果について

6月23日(木)に中国・北京にて「気候変動に係る日中政策研究ワークショップ」が開催されました。より詳しい内容については後日、当省のホームページ
(http://www.env.go.jp/earth/ondanka/assistance/post.html)にて公表される予定です。

○概要:

 本ワークショップは、気候変動対策に関する研究面からの知見について、両国の研究者が意見交換を行うため、環境省の支援により地球環境戦略研究機関(IGES)と中国エネルギー研究所(能源研)が協力して開催したものです。

 日中両国をはじめ欧米各国の政府系・非政府系研究機関等から約50 名の関係者、研究者等が参加し、中国の複数の研究者より中国の二酸化炭素排出シナリオについて概要の紹介があった後、各国が提出した約束草案(INDC)と長期戦略とのリンケージ、2020 年以降の透明性の枠組み、グローバルストックテイクのあり方等について、活発な意見交換が行われました。

○開催地:

中国・北京

○開催日:

平成28年6月23日(木)

○主な出席者(所属機関):

(日本)環境省、国立環境研究所、IGES、自然エネルギー財団
(中国)国家気候変動戦略研究・国際協力センター(NCSC)、自然資源防衛協議会(NRDC)、清華大学、中国鉱業大学、中国農業科学研究院、中国炭素フォーラム、天津科技大学、能源研ほか
(その他)パリ政治学院持続可能な開発と国際関係研究所(IDDRI)、世界資源研究所(WRI)、在北京各国大使館(英、豪、加、デンマーク、日本、米国)ほか

○結果概要:

(1)各国が提出した約束草案(INDC)と長期戦略とのリンケージ

  • 研究者より、NDC と長期戦略は結び付けられるべきであること、長期戦略の検討には、不確実性があること、排出削減の道筋のみならず、社会経済開発などの要素も組み込むべきとの意見が示された。長期戦略については、INDC 同様、各国主導で策定されるべきだが、各国の戦略を比較できるようにするため、活用される低炭素技術や関連政策などの共通の情報や報告様式(例:分野別や活動単位の詳細情報)がガイドラインとして必要であり、さらに全ての国が2度目標を念頭においた炭素バジェットを考慮すべきといった意見が出された。報告様式など長期戦略のガイドラインがUNFCCC の下、COP 決定等で合意されるのかは政治的にも容易ではないが、研究者が報告様式案の提案を行ったり、各国から提出される異なる長期戦略を解釈するための共通のツールを検討したりすることは有益との意見が出された。
  • 中国の研究者からは、先進国が長期戦略の策定において指導力を発揮すべきであり、率先して策定することで、他国にその経験や専門性を共有していくべきであるとの意見が出された。日本の専門家からは、日本の温暖化対策計画について、長期目標に言及している点は評価できるが、野心の程度や対策の強度が十分ではないとの指摘があった。

(2)2020 年以降の透明性の枠組み

  • 透明性の枠組みにおいて、堅牢なもの(robustness)でありつつも、柔軟性(flexibility)が確保されるべきと言われているが、ある研究者からは、具体的な柔軟性の確保のオプションとして、既存の制度に基づく2つのシステム、2つのシステムから開始しつつ将来一本化するもの、能力に応じた段階的なアプローチ、INDC のタイプ別などが紹介された。中国の研究者は、途上国において国内の透明性の枠組みを強化するためには、データ収集の改善(データの質の向上)、国と地方の両方のレベルでの統計制度の整備が必要であるが、特に後者の組織的措置の改善・強化や国内の法的枠組みの整備には国際的な協力が必要と強調した。
  • 研究者の間でも、パリ協定に含まれるさまざまな文言・規定を巡り、異なる解釈があることが共有された。ある研究者が、透明性の枠組みにおけるガイドライン等を通じ、各国の取り組みを比較可能なものとすべきと主張したのに対し、別の研究者は、パリ協定の該当する条項には比較可能なものとすべきとの文言が含まれていない、推奨する方法論等に合致していればいいと主張した。また、透明性の枠組みは、自国の取り組みの評価・改善につながればよいという考えと、取り組みを比較することにより、野心度の引き上げにつなげていくことが必要との考えが共有された。パリ協定の透明性においては、条約のインベントリに求められるような厳密性は必要ではなく、むしろ焦点を絞った簡潔なシステムが重要との指摘もあった。

(3)グローバルストックテイクのあり方

  •  グローバルストックテイクは、国際社会にとって重要な進展であるとの意見が共有された。グローバルストックテイクにインプットされるべきこととして、全体の排出削減量のみならず、セクター別の排出量や排出削減の速度、2度目標を維持するために残された排出削減量、長期戦略(長期の排出シナリオ)、非政府組織(企業やNGO など)による取り組みの優良事例や教訓などが挙げられた。
  • グローバルストックテイクのモダリティについては、各国から提供された情報を足し合わせるに際し、それを行う主体(例:第三者機関に依頼するのか)や採用される方法論含め、検討すべきことが多いこと、科学的・技術的な検証とともに、政治的な対話をどのように進めるかも検討していく必要があることが議論された。
  • 本ワークショップでは、主として緩和に重点を置いて議論がなされたが、グローバルストックテイクは適応、実施の支援を含めた包括的なものであることが改めて確認された。適応においては、緩和のように、排出削減量等、定量的な情報を提供できず、定量的な目標を設定することも難しいものの、例えば国別報告書では分野別に記述が行われており、脆弱性評価においても分野が意識されていることを考えると、適応においても分野別に情報の収集や共有を行うことは有益といった意見が出された。
  • グローバルストックテイクへのインプットは透明性の枠組みを通じて各国から提供される情報以外のものも考えうるため、研究者が提供できる枠組みも有用だろうとの意見も出された。

(4)討論

  • それまでの議論を踏まえ、主として中国と日本の研究者が、研究コミュニティが貢献できることについて議論を行った。現在のシナリオは主として気候変動(特にエネルギー分野)に焦点があてられてきたが、今後は、水の問題など、持続可能な開発目標に関連する主要なファクター、さらには社会経済の側面における影響も考慮すべきこと、2度シナリオとの乖離については、各国が自国のこととして認識するプロセスが必要であること、分野別に講じられてきた政策のギャップを検証することも重要であることなどが議論された。

以上

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
直通:03-5521-8330
代表:03-3581-3351
室  長:木 野 修 宏(内線6772)
室長補佐:浦 上 亜希子(内線6774)

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