報道発表資料

この記事を印刷
2016年05月20日
  • 総合政策

唐津・鎮西ウィンドファーム(仮称)設置計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、20日、佐賀県で計画されている「唐津・鎮西ウィンドファーム(仮称)設置計画に係る計画段階環境配慮書」(九電みらいエナジー株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、佐賀県唐津市において、最大で総出力28,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備を住居等から離隔すること等により騒音等や風車の影による影響を回避又は極力低減すること、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、鳥類に関する調査、予測及び評価を行い、反映すること、並びに玄海国定公園からの眺望景観への影響を回避又は極力低減すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である九電みらいエナジー株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、佐賀県唐津市において、最大で総出力28,000kWの風力発電所を設置するものである。
 本事業の事業実施想定区域及びその周辺は、サシバ等の希少猛禽類の生息地及びツル類等の渡り鳥の渡り経路となっている可能性がある。また、事業実施想定区域の近隣には複数の住居等が存在する。

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定

 対象事業実施区域の設定並びに風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

(2)累積的な影響

 事業実施想定区域の周辺においては、他事業者による風力発電所が計画中であり、累積的な環境影響が懸念されるため、今後、他事業者との情報交換等に努め、適切な予測及び評価を行い、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(3)事業計画の見直し

 [2](1)及び(2)により、影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し及び基数の削減を含む事業計画の見直しを行うこと。

(4)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

[2]各論

(1)騒音等の影響

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居等が存在しており、工事中及び供用時における騒音等による重大な環境影響が懸念されることから、対象事業実施区域及び風力発電設備の配置を再検討し、風力発電設備等を住居等から離隔すること等により、騒音等による影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影の影響

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居等が存在しており、供用時における風車の影による重大な環境影響が懸念されることから、対象事業実施区域及び風力発電設備の配置を再検討し、風力発電設備等を住居等から離隔すること等により、風車の影による影響を回避又は極力低減すること。

(3)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺は、希少猛禽類の生息地及び渡り鳥の渡り経路となっている可能性があり、風力発電設備への衝突事故や移動経路の阻害等によるこれら鳥類への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、鳥類に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ、影響を評価し、反映すること。

(4)水生生物に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺には、河川源流部や沢筋、ため池等が存在していることから、工事実施時の土工量を抑制し、かつ、仮設沈砂池の設置等により、土砂や濁水の流出等を最小限に抑えるとともに、沢筋等から距離を確保すること等により、重要な水生生物への影響を回避又は極力低減すること。

(5)景観に対する影響

 事業実施想定区域の周辺には、玄海国定公園が位置しており、眺望景観への影響が懸念されることから、垂直見込角、主要な眺望方向や水平視野も考慮した客観的な予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、眺望景観への影響を回避又は極力低減すること。

【参考】

○事業概要
・名称 唐津・鎮西ウィンドファーム(仮称)設置計画
・事業者 九電みらいエナジー株式会社
・計画位置 佐賀県唐津市鳩川、相賀、湊町、屋形石、中里、鎮西町八床、鎮西町菖蒲、鎮西町塩鶴及び鎮西町赤木の各一部(事業実施想定区域面積:約310ha)
・出力 最大28,000kW(2,000~3,500kW程度の風力発電設備を8基程度設置)

○環境影響評価に係る手続
・平成28年4月5日  経済産業大臣から環境大臣への意見照会
・平成28年5月20日 環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代  表:03-3581-3351
直  通:03-5521-8237
室  長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審 査 官 :生田 雄一(内6239)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。