報道発表資料

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2016年03月31日
  • 総合政策

(仮称)福島阿武隈風力発電構想に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、31日、福島県で計画されている「(仮称)福島阿武隈風力発電構想計画段階環境配慮書」(福島県阿武隈風力発電環境アセスメントコンソーシアム)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、福島県いわき市、田村市、南相馬市、双葉郡広野町、双葉郡楢葉町、双葉郡富岡町、双葉郡川内村、双葉郡大熊町、双葉郡双葉町、双葉郡浪江町及び双葉郡葛尾村において、最大で総出力700,000kWの大規模な風力発電事業を実施するものである。
 環境大臣意見では、復興や今後の地域利用の方向性等を踏まえた事業内容等について、関係機関等と十分に協議及び調整するとともに、住民の関与の機会を確保すること、福島県が、今後、事業者の指導等を通じて本事業に適切に関与すること、累積的な環境について適切に予測及び評価を行い、配置等を検討すること等を求めている。
1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である福島県阿武隈風力発電環境アセスメントコンソーシアムに対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

 ※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、福島県、株式会社ジャパンウィンドエンジニアリング、株式会社ユーラスエナジーホールディングス及びエコ・パワー株式会社によって構成された福島県阿武隈風力発電環境アセスメントコンソーシアムが、福島県いわき市、田村市、南相馬市、双葉郡広野町、双葉郡楢葉町、双葉郡富岡町、双葉郡川内村、双葉郡大熊町、双葉郡双葉町、双葉郡浪江町及び双葉郡葛尾村の広範なエリアにおいて、最大で総出力700,000kWの大規模な風力発電事業を実施するものである。
 未来の新エネルギー社会実現に向けたモデルを福島で創出することを目指した「福島新エネ社会構想」に関連する事業であり、震災からの復興支援や地元振興への貢献が期待されている。一方、本事業の事業実施想定区域は避難指示区域を含んでいることから、生活環境等への影響が原因となって復興が妨げられることがないよう、国による中間貯蔵施設の設備や廃棄物処理の事業の実施にも留意しつつ、事業の具体化にあたり慎重な検討が必要である。

3.環境大臣意見の概要

1.総論

(1)関係機関等との連携及び住民への説明

 復興や今後の地域利用の方向性等を踏まえた事業の内容及び放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物等の処理等について、地元自治体を含む関係機関等と十分に協議及び調整するとともに、避難中の住民を含む、住民への説明や意見の聴取等の関与の機会の確保についても十全を期すこと。

(2)事業計画の具体化における留意事項

 福島県が、今後、事業者の選定及び指導等を通じて本事業に適切に関与するとともに、関係機関等との調整等に十全を期すこと。また、将来帰還する人も含めた住民の生活環境、自然環境に支障を与えないよう事業計画を慎重に検討すること。
 対象事業実施区域の設定に当たっては、重大な環境影響が避けられない区域を除外すること。
 環境影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、事業実施区域の見直し及び基数の削減を含む事業計画の柔軟な見直しを行うこと。

(3)累積的な影響と今後の環境影響評価図書の作成

 今後、複数の事業に分割されること及び複数の事業による累積的な環境影響が懸念されることから、事業者は引き続き協働して累積的な影響について適切に予測及び評価を行い、風力発電設備等の配置等を検討すること。

2.各論

(1)騒音等及び風車の影について

 工事中及び供用時における騒音等及び風車の影による生活環境への影響が懸念されることから、復興や地域利用の方向性を踏まえ、住居等への影響について適切に調査、予測及び評価を行うこと。その結果を踏まえ、騒音に係る環境基準等を達成するよう、風力発電設備等を住居等から離隔すること等により、影響を回避又は極力低減すること。

(2)一般環境中の放射性物質について

 土地の改変、森林の伐採、工事用資材等の搬出入等を行った場合、放射性物質を含む粉じんの飛散又は降雨等による表土の流出のおそれがある。このため、「環境影響評価技術ガイド(放射性物質)」等を踏まえ、適切に調査、予測及び評価を行い、放射性物質の拡散・流出を回避又は極力低減すること。その上で、残土や廃棄物の発生が極力抑制されるよう環境保全措置をあらかじめ検討するとともに、残土や廃棄物が発生する場合には、事業者においてその処理計画をあらかじめ明らかにすること。

(3)動物、植物及び生態系について

 県立自然公園、県指定鳥獣保護区及び自然環境保全地域等に指定された保全区域や重要なガン・カモ類の越冬地、自然度の高い植生及び特定植物群落等の重要な自然環境が存在していることから、関係機関及び専門家等からの助言を踏まえ、適切に調査、予測及び評価を行うこと。また、その結果を踏まえ、保全区域における特別地域及び重要な動植物の生息・生育地の改変を回避すること等により、影響を回避又は極力低減すること。

(4)景観及び人と自然との触れ合いの活動の場について

 関係機関及び専門家等からの助言、地域住民やその他の利用者の意見並びに復興や地域利用の方向性を踏まえ、適切に調査、予測及び評価を行い、影響を回避又は極力低減すること。

○事業概要
・名称 (仮称)福島阿武隈風力発電構想
・事業者 福島県阿武隈風力発電環境アセスメントコンソーシアム
・計画位置 福島県いわき市、田村市、南相馬市、双葉郡広野町、双葉郡楢葉町、双葉郡富岡町、双葉郡川内村、双葉郡大熊町、双葉郡双葉町、双葉郡浪江町及び双葉郡葛尾村(事業実施想定区域面積:約55,000ha)
・出力 最大700,000kW(最大3,500kW発電設備を200基設置)

○環境影響評価に係る手続
・平成28年2月12日 経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成28年3月31日 環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8237
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:日下 崇(内6248)

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