報道発表資料

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2015年12月28日
  • 総合政策

「小規模火力発電等の環境保全に関する検討会」報告書のとりまとめについて(お知らせ)

 環境省は、小規模火力発電所の設置等の際の環境保全について、「小規模火力発電等の環境保全に関する検討会」を設置し、様々な観点から総合的に検討を行いました。
 今般、検討会の報告書である「今後の小規模火力発電等の環境保全について(課題・論点のとりまとめ)」がとりまとまりましたので、お知らせします。

1.報告書の概要

小規模火力発電について

(1)背景

 東日本大震災以降の電力ひっ迫状況や電力システム改革等の電力をめぐる動向を背景に、近年、環境影響評価法の対象規模未満、特に、第2種事業の規模要件である11.25万kWをわずかに下回る程度の小規模火力発電所の設置計画が急増。

(2)現状の課題

①温室効果ガスの排出

・小規模火力発電所の設置等の事業・計画により、約1,100万t-CO2の温室効果ガスの排出。

・石炭火力発電の場合、一般的に小規模火力発電のCO2排出係数は大規模なものと比較して1割程度大きい。

・温室効果ガスの排出については、世界各国と協調の下で国全体で対策を進めるとともに、火力発電については、出力規模に応じてそれぞれに発電効率を確保する必要。

②大気環境等への影響

・10万kW前後の案件では、環境影響評価法の対象案件より、それ以外の案件の排出ガス濃度が高い傾向。

・環境影響評価法の第2種事業であれば、累積的影響により第1種事業に相当するとして環境アセスメントの対象となりうる事例が複数存在。

③よりよい環境保全のための意見聴取・情報交流

・環境アセスメント制度対象外の小規模火力発電所の設置に当たっては、よりよい環境保全のために意見を聴くという事例は少なく、その範囲は環境アセスメントよりも狭い傾向。

(3)追加的な施策の検討に当たっての論点

・現在実施・検討されている対応策にはそれぞれに課題・特徴等がある。

・小規模火力発電の環境保全を適切に行うためには、追加的な対応を検討することも考えられるとの指摘があった。

現在実施・検討されている対応策と想定しうる追加的な施策案

現在の対応策 温暖化

・電力業界による「自主的枠組み」

・省エネ法における火力発電に係る判断基準
大気

・条例に基づく環境アセスメント

・公害防止協定等
情報交流 ・自主的な環境アセスメント
施策案

①環境影響評価法の対象規模の見直し

②ガイドライン(事例とりまとめ)の充実及びフォローアップの継続(自主的な環境アセスメントの奨励)

③温室効果ガス排出抑制等指針のエネルギー転換部門の策定

【環境影響評価法の対象規模の見直しに関する主な課題・特徴等】

・小規模火力発電事業が大規模火力発電所と同様の項目・手法で調査予測評価が求められると、相対的に過大な負担とならないか

⇒条例に基づく環境アセスメントにおいては、1年半程度の期間で手続を実施した例があり、このような事例を参考にするべき。

・対象を見直した場合には新たに対象規模未満のものが出てくる可能性についてはどのように対応するのか

⇒現在小規模火力発電所の設置等の事業・計画を行う理由の多くは売電であることから、少なくとも主な売電用発電がカバーされる程度の規模を設定することが望ましい。

⇒自家発電でのコジェネ・老朽設備の更新による環境対策強化や再生可能エネルギーのバックアップ電源には一定の配慮が必要。

 検討会では、様々な観点から環境保全上の効果に鑑み、環境影響評価法の対象規模を見直すことを検討するべきではないかとの指摘があった。なお、検討に当たっては、質が高く効率的な環境アセスメントの在り方について検討すべきとの指摘が多かった。一方、新たに対象事業に追加することは、期間・費用が事業者の負担になること等から反対であり、実際の建設・運用実態も見極めるべき等の意見があった。

燃料転換について

(1)背景

 環境影響評価法においては、タービン・発電機は交換せず、ボイラーの交換又は改造と共に燃料種の転換を行う「燃料転換」は対象となっていない。今後燃料転換を実施する計画少なくとも9事例ある。

(2)現状の課題

 SOx、NOx、ばいじんについては、燃料転換に合わせて環境保全対策を講じることによって、排出量が減少している事例が多いが、重油・石油から石炭への燃料転換では、排出ガス量が増加する事例も見られる。

(3)追加的な施策の検討に当たっての論点

下記に示す個別の施策の効果や課題について整理。

①自主的な環境アセスメントの奨励(ガイドライン・事例集の作成など)

②環境影響評価法の対象の見直し

2.今後の予定

 環境省においては引き継き、関係者の声を幅広く聴き、また関係省庁とも緊密に連携しつつ、多様な関連施策の検討状況も踏まえ、滞ることなく検討を行っていく。

※これまでの検討会開催状況 https://www.env.go.jp/policy/assess/5-11stp/index.html

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課
(代表)03-3581-3351
(直通)03-5521-8236
課  長:大森 恵子(内6230)
課長補佐:福嶋 慶三(内6232)
担  当:安陪 達哉(内6208)

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