報道発表資料

この記事を印刷
2015年12月25日
  • 総合政策

一般国道153号伊駒アルプスロードに係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、25日、長野県で計画されている「一般国道153号伊駒アルプスロードに係る計画段階環境配慮書」に対する環境大臣意見を国土交通大臣に提出した。
 本事業は、長野県駒ヶ根市を起点とし、同県伊那市を終点とする約11kmの一般国道を整備するものである。また、当該配慮書において、ルートの位置に関する複数案を設定している。
 環境大臣意見では、現道活用ルートの採用可否の判断に当たり、住居等保全対象への騒音や排気ガスの影響を回避・極力低減できるか慎重に検討すること、詳細なルート・構造の検討に当たり、重要な種の生息地の改変や水の濁りの抑制に配慮すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法では、4車線以上・10km以上の一般国道の設置・改良の工事を対象事業としており、環境大臣は、計画段階環境配慮書(※)について、国土交通大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。

 本件は、一般国道153号伊駒アルプスロードに係る計画段階環境配慮書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。

 今後、国土交通大臣から長野県に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、長野県は、意見の内容を検討したうえで詳細計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造・位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 一般国道153号伊駒アルプスロードは、長野県駒ヶ根市を起点とし、同県伊那市を終点とする約11kmの道路を整備する事業である。本路線は、伊南バイパスと伊那バイパスを結び、一般国道153号の混雑解消等を目的に計画されている。

 本ルート帯及びその周辺の地域は、中央アルプス、南アルプスに挟まれた伊那谷に位置し、天竜川水系によって河岸段丘が形成されている。低地部は主に農地利用、台地部は市街地が形成されている。

3.環境大臣意見の概要

(1)対象事業実施区域の設定

 区域の設定に当たり、環境の保全上特に重要と考えられる以下について、事業の影響を回避・極力低減すること。

[1]市街地、集落

[2]学校・病院その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設、住居

[3]重要な動物の生息地、重要な植物の生育地

[4]景観資源、人と自然との触れ合いの活動の場、重要な史跡

[5]駒ヶ根市景観計画「景観育成重点地区」、伊那市景観計画「景観育成住民協定地区」

(2)環境影響評価の項目の選定

 上記の重要な保全対象が区域やその周囲に存在する場合は、これらを考慮して環境影響評価の項目を適切に選定すること。

(3)各論

1)大気質及び騒音

 詳細なルート及び構造の検討に当たっては、下記(ⅰ)、(ⅱ)に特に留意すること。

(i)天竜川右岸部

 現道活用ルートは、天竜川沿いルートと比較して、現道拡幅に伴う騒音及び排気ガスの影響が大きくなるおそれがあることから、採用可否の判断にあたり、住居等保全対象への影響を回避・極力低減できるか慎重に検討すること。また、天竜川沿いルートを採用する場合も、道路設置に伴う騒音及び排気ガスの影響が生じるおそれがあることから、住居等保全対象への影響を回避・極力低減するよう検討すること。

(ii)天竜川左岸部

 道路設置に伴う騒音及び排気ガスの影響が生じるおそれがあることから、住居等保全対象への影響を回避・極力低減するよう検討すること。

2)動物

 本ルート帯及びその周辺の地域には、ミヤマシジミ(昆虫類)、ギンブナ(魚類)といった希少種の生息地が確認されているため、これら重要な動物への影響を回避・低減するため、詳細なルート及び構造の検討に当たっては、生息地の改変及び水の濁りの抑制に配慮すること。

3)景観及び人と自然との触れ合いの活動の場

 本ルート帯及びその周辺の地域は、中央アルプス等伊那谷特有の景観を有し、人と自然との触れ合いの活動の場が存在しているため、これら景観及び活動の場への影響を回避・低減するため、詳細なルート及び構造の検討に当たっては、本地域の景観との調和を図り、人と自然との触れ合いの活動の場の機能を低下させないよう配慮すること。

【参考】

○事業概要

・名称 一般国道153号伊駒アルプスロード

・事業予定者 長野県

・事業地 長野県駒ヶ根市、上伊那郡宮田村、伊那市

・事業規模(想定) 4車線 約11km

○環境影響評価に係る手続

・平成27年11月10日 国土交通大臣から環境大臣への意見照会

・平成27年12月25日 環境大臣から国土交通大臣への意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8237
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:岸田 周(内6253)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。